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となりのトトロで一番好きなシーン

義務教育、ちびっこたちの夏休みが始まったらしい。ああ、いいなあ。大学を卒業して2年。夏休みはご無沙汰している……と思ったけれど、私は昨年仕事を辞めて夏休みをしていた。夏と、休むがあわさった魔法の言葉。

そして夏休みといえば、金曜ロードショーのジブリ特集だ。今年は、「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「耳をすませば」の3本。

私が小学生のときに出会った初めてジブリが「となりのトトロ」だった。メイちゃんが「あなた、トトロっていうの?」と言って、「トットロ~」と目をとろんとさせる。そこでトトロの柔らかさが伝わるのがすごいと思った。

だけどそれよりも好きなトトロのシーンはここだ。

これを見ただけで、どのシーンかわかる人とは仲良くしたい

さつきとメイのお母さんは病気で療養している。だから毎朝、さつきがお母さんの代わりに自分をいれた家族分のお弁当を作るのだ。そして最後の仕上げとして、みんなのお弁当に桜でんぶを振りかける。

このシーンの何が良いのかというと、さっさっと振りかける桜でんぶ適正量職人なところもさることながら、この表情だ。

さつきは小学6年生。

家族三人分のお弁当を朝から作りながら、この愛おしそうな表情。

さつき、君は本当に小学生なのか……!?

このさつきに「大人……!」とドキっとさせられる。私よりも何十歳も年下なのに、大人を感じる。とても好きなシーン。

少しぐらい桜でんぶの量を間違えてテーブルに零すとか、「今日は冷凍食品弁当にしちゃうぞ~」とか言ってくれてもいいのに。


このシーンのあと、さつきの友達みっちゃんが登場する。さつきと一緒に小学校に行くためだ。

「さあぁ~つきちゃぁ~~ん!!!」とみっちゃんが呼ぶ。

転校数日で、家の外からこんなに大きな声で呼ぶ友達を作れるさつきのコミュニケーション能力にも脱帽だ。

自分の名前が呼ばれたさつきは、こう返事を返す。

「はぁあ~いぃぃ!!!」

さつき!? え、さつき!? さっきまで桜でんぶを振りかけていたさつきと同一人物ですか!?!?!

突然、さつきが年相応の小学生になる。この小学生さつきの返事シーンがあるから、さっきの桜でんぶが際立つのだ。

さつきだってまだまだ小学生。おっきい声で返事をするし、メイとは喧嘩もするし、茶碗を傾けてご飯をかきこむ。

だけども、家族のためにお弁当を作り、桜でんぶをかけるとき、さつきは一人の女性になる。お母さんがいないこの家で、さつきが一歩大人になる。

この瞬間が私はたまらなく好きなのだ。

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。