021ポケット図

<番外編>野地先生の診察室(前編) /歯科医師・野地一成の「維持論」

[※この記事はどなた様も全文、無料で読めます。]

歯が、無くなっちゃった!

歯科医院に行っても歯医者さんの説明は分かるようでよく分からず、理解していないうちに歯を削られたり抜かれたりして、よく分からないまま通院しているということはありませんか?

『ビジネス発想源』の筆者・弘中勝は若い頃から虫歯の治療痕が多く、でもいつもよく分からないし痛いしで、虫歯が痛み出したら仕方なく通院するけれど、普段はけっこう歯医者さんを敬遠していました。

2017年、昔の治療痕の被せ物が取れたので、テキトーに徒歩数分の歯医者さんに飛び込みで行ってみたところ、説明もよく理解できないままに、一番奥歯を丸ごと抜かれてしまいました。さらには入れ歯を引っ掛けるため正常な歯もガンガン削られ…。

数年前に野地デンタルクリニックの野地一成院長に『歯科医師・野地一成の「維持論」』を連載して頂いていただけにショックも大きく、そこまでいってようやく「そうか。野地先生に診てもらえばよかったんだ…」と気づいてしまうという愚かさ。

ということで、東京都千代田区にある野地デンタルクリニックへ行き、野地一成先生に診察していただくことになりました。

今回は『歯科医師・野地一成の「維持論」』の番外編として、弘中勝が実際に野地先生の診察を受けた「野地先生の診察室」をお届けします。

これはインタビュー記事や対談記事ではなく、れっきとした「診察」で(弘中は保険証を提示し、診察料も払っています)、その後も同院で治療することになりましたので、皆さんも実際に初めての歯医者さんに行かれた気持ちで読んでいただければと思います。

1回目の初診と2回目のカウンセリングの内容を掲載していますが、野地先生も私も読者へのコンテンツのためではなく、普通に一医師と一患者としての対話をしているものを文字起こししただけなので、文字だけで読む読者の皆さんには分かりづらい説明や表現などもいろいろあるかと思いますが、その点はどうかご了承ください。


<前日まで>

-弘中勝、以前に右上奥歯の被せ物が取れたために自宅近くの歯科医院に行った時、分からないままに右上奥歯をマッハで抜かれてからというもの、再び歯医者恐怖症に。

右下奥歯と左上犬歯の詰め物も取れてしまい、そのまま歯医者に行かないままでいると、詰め物が取れた右下奥歯が熱い食べ物や冷たい飲み物で激しく痛むようになり、以前に「維持論」を連載して頂いた野地一成先生に診ていただくべく、野地先生が院長を務める野地デンタルクリニックへ初診を予約。


<1日目>

-東京都千代田区小川町の大通り沿いのビル2階にある野地デンタルクリニック。自宅からは電車を乗り継いでもドアtoトアで40分程度だと分かった弘中、かつて安易に徒歩数分のよく分からない歯科医院を選んだことに後悔する。歯医者さん選びのコツは「維持論」第4回を参照のこと。(よく読んでおけばよかった…)

-野地デンタルクリニックの1階入口にはいつも、歯のことが書かれた立て黒板が。毎日異なることが書かれていて、道行く人の目を楽しませる。ちなみにこの一帯は歯科医院の激戦区なんだとか。弘中、野地デンタルクリニックに入り、受付を済ませて診療室に入る。


弘中:こんにちは。よろしくお願いします。

野地一成先生:こんにちは。

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▼野地 一成 (のじ いちなり)

野地デンタルクリニック院長。歯学博士。東京都出身。2007年に地元の神田小川町にて野地デンタルクリニックを開業。2010年より母校の日本大学松戸歯学部薬理学教室兼任講師。臨床歯周病学会、スタディグループ救歯会、臨床歯科を語る会所属。発表論文も多数。2012年、『ビジネス発想源 Special』にて『歯科医師・野地一成の「維持論」』を連載。

野地デンタルクリニック

・公式ブログ「のじでんのひとりごと

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野地先生:どうぞこちらにお掛け下さい。どうされましたか?

弘中:えっと、1ヶ月ほど前に右下の歯の詰め物が取れまして。忙しさにかまけてそのままにしていたら、熱いもの食べたりすると痛くなってきて…。

野地先生:しみるんですね。何もしない時に痛い、というわけではないんですね?

弘中:そうですね、特に何か食べたり飲んだりした時ですね。それと、左上にも何ヶ月か前に詰め物が取れた歯があって、別に痛くはないんですが、食べたら物が詰まりやすくて。

野地先生:左上もですね。

弘中:あっ、あと。僕、1年前ぐらいに右の上の一番奥の歯を歯医者さんに抜かれて、今その奥歯がないんです。そこも今後どうしたらいいのか、野地先生に相談しようと思って…。

野地先生:なるほど。じゃあまず、応急措置が必要かどうかを見させて下さいね。お口を開けてください。


-椅子が倒れ、弘中、口を開ける。野地先生、口の中を確認。


野地先生:あと一箇所、欠けている歯がありますね。

弘中:あ、それ、前に一番奥の歯を抜いた時、ブリッジと言うんですかね、入れ歯を作って、それを固定するための金属みたいなのを引っ掛けるところを作るために、なんかバッと削られました。

野地先生:あぁ、なるほど。その入れ歯は一時的に使うものですか? それともずっと使うためのものですか? 使えてます?

弘中:多分ずっと使うためのものだと思うんですけど、全然使ってないんです。うまくはまらないし、痛いし、面倒だし…。

野地先生:分かりました。しみるということなので、神経の反応があると思うので、ちょっとレントゲンを撮りましょう。


-弘中、レントゲン室へ。口周りのレントゲン写真を撮る。

-診療室へ戻る。


野地先生:お疲れ様でした。これが弘中さんのレントゲンですね。

弘中:えっと、右の奥歯の場所は…。

野地先生:レントゲンでは右の歯が左に写ってます。一番大きな虫歯は、しみるという、この外れて欠けたところですね(A)。このH型をしている暗いところ。この部分には神経がありますが、大きな虫歯とかなり近接をしています。この後ろ側の部分は、虫歯の穴が神経のある部分に達していると、神経が機能しなくなってしまう可能性があります。

弘中:そこまで進行してるんですね。

野地先生:それと、噛み合わせる力が強いですね。この部分(B)、ホチキスとかクルミ割りの支点のようなもので、ここが強いとそれに近い後ろの歯ほど負担が強くなるんです。なおかつ奥はお手入れしづらいし、悪くなりやすくて、そういう理由でこの右の一番奥の歯(C)はなくなったのかなと。

弘中:前の歯ではなくて、奥の歯から無くなりやすいものなんですね。

野地先生:前のほうの歯は、弘中さんの年代では何かにぶつけたとか、よっぽど歯周病のリスクが高いという人じゃないと無くなりにくいですね。

弘中:奥の歯が一本ないことで、問題ありますか。

野地先生:咀嚼の効率が落ちます。また統計的な話ですけど、無い場所の手前側の歯と反対側の一番奥の歯が負担がかかりやすいので気をつけないといけないですね。

弘中:やっぱり安易に抜かずに、きちんと補っておくべきだったですかね。

野地先生:今となっては、その歯が残せたのかどうかは分からないですが、大事なのはこれからどうするかです。「ここが発端で悪くなっていくから補いましょう、入れ歯は入れられなかったのだから、じゃあインプラントを…」と普通は言いたくなります。噛み合わせが完全に回復すると、有益かもしれません。現在の状況では、この部分に噛み合わせを回復する方法は、インプラントと自家歯牙移植しかありません。

弘中:それしか噛み合わせが戻らない…。

野地先生:完全な噛み合わせを得るためには、背負うリスクが多いのも確かです。先ほどの話に矛盾しますが、もう一つ楽観的な考え方をすれば、入れなくても持つということもありえるし、入れなくて持つんだったらそっちのほうが楽ですよね。無くなった歯に対向する咬みあわせの歯が移動してくるというお話もありますが、経過を写真で見ていると移動しない方も多くいらっしゃいます。

弘中:あ。入れなくてもいいという選択肢もアリなんですね。何が何でも、インプラントでも入れなきゃいけないかな、と思ってたので…。

野地先生:インプラントは確かに便利なシロモノではあるんですけど、ただ入れた後に、外すのがやっかいだったり、ずっと後まで残るものだから、そのうち手を動かせなくなったりという事態が起きた時に足をひっぱらないかということもあります。インプラントも歯周炎と同じ症状を起こすこともあります。

弘中:そっか、インプラント入れたらもう完全に万能というわけではなくて、そういうリスクも考えなければいけませんね。

野地先生:極端な話、私は歯医者さんの治療って、過剰ではなくてちょっと足りないぐらいでいいのではないかと思うんです。どれもこれも完璧に治して耐震強度をバッチリにしてすごい頑丈なものを作ったとしたら、快適にはなるんですけど、過剰設計になりがちです。何かの病気で何種類も薬が処方されて得られる結果と、生活習慣の改善のみで処方の必要なく得られる結果が同じであれば明らかに後者の方が良いと思います。

弘中:はい。確かに、その通りです。

野地先生:歯がないという状況は、歯を失うための原因があったからです。生活習慣の改善や、メンテナンスのない端的なインプラント埋入や自家歯牙移植には、歯を失うに至った原因を解決することができません。

弘中:そうですね、ただ修繕を施しただけだと、根本的解決にはなってないですね。

野地先生:それと、親知らずの扱いですね。後で詳しくご説明しますが、親知らずがあると「じゃあ抜きましょう」ということになりがちです。これも親知らずを抜いたことによるメリットとデメリットもあります。これはけっこう難しい抜歯になるのと、下の唇が痺れたりするリスクがあります。親知らずをないところへ移植という方法もないわけではないんですが…

弘中:移植というのもできるんですか。

野地先生:可能は可能ですが、そうするにはリスクが大きすぎるなと。やるとしても今すぐという感じではないと思います。原因となった問題が解決した後でもいい、または悪くなる兆候というものが出てくればやるという感じです。欠損を埋めないといけない…、あ、欠損というのは歯がないという状態のことですが、それを今すぐ埋めないといけないという状況ではないから、まだしばらく見定めたほうがいいと思います。

弘中:今は急いでそこまでの大手術をする必要はないんですね。

野地先生:そうですね、恐らく根の治療に入る可能性が高いですが、とりあえず取れて虫歯になっているところですね。それでは、今度は歯や歯石の状態を見ていきますね。椅子を倒しますので、大きく口を開けてください。


-弘中、口を開ける。野地先生、口内を測定。


野地先生:お待たせしました。これが弘中さんの歯の状態を表している図です。

野地先生:これもレントゲンと同じで、左側が右の歯、右側が左の歯。緑の数字が歯の前からの順番を示しています。一本無い奥歯は、この右(図だと左方)の上の7番ですね。

弘中:その横の8番もないのは…

野地先生:8は親知らずです。そしてその周りの数字が書いてあるところは歯周ポケットをmmで表していて、数字が多いほど歯周病が進行しているということです。歯肉炎と歯周炎はちょっと違っていて、簡単に言うと、歯肉炎は上に腫れることを言って、歯ブラシで治ります。歯周炎は歯肉が下に下がっていく病気で、ある程度まで下がると、歯周治療をして進行を止めないと歯が抜けちゃうんです。

弘中:なるほど。支える土台が崩れてるようなものですからね。

野地先生:そして、一つ問題点があります。この表だと左下、お口の中の右下にある親知らずと12歳臼歯の間に唯一、歯周ポケットと呼ばれる部分があります。

弘中:この図の左下の7番の歯の、赤い数字の6が並んでいるところですね。

野地先生:そうですね。現在12歳臼歯(図の左下7番の歯)の後ろと親知らずの前の部分には6mmの深さのポケットがあるわけですが、先ほどの親知らずのお話とも関係してきます。この親知らずは抜歯をすると手前の歯のポケットが少なくなる場合があります。しかし全ての症例で6mmのポケットが回復するわけではありません。一方で埋まっている親知らずは完全に健全な状態で埋まっている事の方が多いんですね。12歳臼歯のダメージと埋まっている親知らずのダメージを考えると12歳臼歯のほうが不利なんです。だから親知らずと言えども端的な抜歯は避けなければなりません。

弘中:なるほど。

野地先生:もしかしたら12歳臼歯の方が先に悪くなってきて、残った親知らずを12歳臼歯の位置に何らかの方法で移動できるかもしれない。先ほどの親知らずを抜歯した際のリスクと同時にこのようなことを考えなければならないんですね。「親知らず=抜歯」という簡単な問題ではなく、ケースバイケースで「診断」をしなければなりません。そのため、現時点では12歳臼歯と親知らずは「運命共同体」と思って下さい。

弘中:はい。2つの歯は一緒に考えておくんですね。

野地先生:それ以外の部分ですが、ここの黒い3の字の部分は、腫れが跳ね上がって3mmになっていて、歯ブラシを頑張ってしていれば2mmになるでしょうし、3mmがすごく病的かというとそこまで大したことでもありません。

弘中:そうなんですね。よかったです。

野地先生:それより見てほしいのは、赤い数字のところです。測定時に出血したところで、普段あまり磨けていないということです。比較的上下左右にばらけていますが、強いて言えばあまり磨けていないのはこの左上(図の右上)のあたりですね。

弘中:ほんとだ。左上は、3とか2とか数字が集中してますね。ここは磨き方が悪いということですね。

野地先生:歯の磨き方はまた、後日にトレーニングしましょう。今日はこの後、プラークを取りますね。今回は簡単な説明になったんですが、2回目の次回は今までの治療の話や、今の健康管理の話などを伺いながらカウンセリングを行なっていきます。

弘中:はい、ありがとうございます。


-野地先生、弘中の歯のプラーク除去。1日目診療終了。


<2日目>

-数日後。野地デンタルクリニック、カウンセリングルーム。

野地先生:こんにちは。歯のほうは痛みが増していますか?

弘中:いえ、前とさほど変わらず、熱いものを飲んだらしみるという感じです。

野地先生:そうですか。では今日は治療に入る前に、カウンセリングを行なっていきます。これまでのことや普段の生活習慣などのことを分かっていないと、治療しても一時的なものになってしまいますから。まず弘中さんは、治療を経てどんな風になりたいとか、漠然とでもいいので教えてもらえますか?

弘中:どんな風に、ですか。えー、そうですね…。難しい質問ですね…。左右を気にせずモノを噛めたらいいなと思います。

野地先生:どちらでも噛めるように、ということですか?

弘中:えっと、前は左上の詰め物が取れてモノがつまるから意識して右で噛んで、今度は右下の詰め物が取れてしみるようになったから意識して左で噛んで、でも無意識に右で噛んでしまって痛い、…みたいにいちいち左右を意識するのが面倒くさくって。そういうことが気にならないようになったらいいなと。

野地先生:なるほど。では、右側の一番奥の歯を抜歯したといういきさつをもう少し詳しく伺いたいんですが。抜く時に、詳しく説明されなかったということでしたよね?

弘中:確か被せ物が取れたんですが、近くの歯医者に行ったら、歯の残っている部分が4分の1ぐらいしかなったらしく「残しても意味ないので取っちゃいましょうね」とサラッと言われて、気づいたら抜かれてたという…。

野地先生:細かい説明がなかった感じですね。「取りましょうね」って言われたら部分的な何かを取るんだなと思いますもんね。

弘中:そうなんです。それで、「こういう場合は普通はインプラントがいいと思うので、インプラントにするかどうか、終わるまでに決めといて下さい」とこれまたサラッと言われて。以前に野地先生の「維持論」も読んでいたので、こんな10分、20分という短い時間でそんな重要なことを決めなきゃいけないのかと。

野地先生:不安になったんですね。

弘中:はい。それでインプラントは勘弁してくださいということにしたら、じゃあ入れ歯ですねと、その入れ歯の金属を引っ掛ける部分の歯もウィーンって削られて。どんどん歯がなくなっていくなぁって。

野地先生:なるほど。ご自分は健康なほうだと思いますか?

弘中:かなり健康なほうだとずっと自負してたんですが、最近「予防論」の特別編でも書いたんですけど、右腕がしびれるという症状があったんですね。原因は首の頚椎のようで、今は軽いリハビリをして症状は治ってきてます。

野地先生:そうですか。それでは、弘中さんの中で今一番大事なものって何ですか。自分の生活とか人生の中で。

弘中:大事なもの、ですか…。今、長男が5歳で次男が2歳なんですが、何かあった時に子どもを守れるということですかね。右腕の痺れが一番ひどかった時、2歳の次男を片手ですぐ抱きかかえられなかったんです。

野地先生:2歳ぐらいになると歩き出しますからね。

弘中:そうなんです。すぐ道に飛び出したりして。だからいざ危ない時があるのに、パッと抱きかかえられない。あとは買い物に行ってもお米を右手で担げないとか、海外旅行に行くのもスーツケースを守れない気がして行く気が失せるとか。何かのために余力を残しておきたい、というのが一番ですかね。

野地先生:健康は大事だと思われているんですね。

弘中:思います。調子が悪かったり万全ではなかったりすると行動が狭まるんだな、という気がします。腕が痺れている間は海外に行けないなとか、今は顔のここに火傷があるので顔にテープしてるんですが(当時、右眼の下を少し火傷していた)、これだけでも人には会いたくないなとか。

野地先生:元気が出なくて塞ぎ込むこととか、ありますか?

弘中:塞ぎ込んだり落ち込んだりということはそんなにないんですけど、万全だったらもっと可能性が広がるな、とは思います。

野地先生:やりたい気持ちになりますもんね。今度は、生活習慣についてお聞きします。お仕事のオンオフははっきりできていますか?

弘中:いや、あまり…。

野地先生:お仕事中に食事があったりとか多いですか?

弘中:よくあります。作業に没頭している時は作業机で食べながらとか。ただ、子どもたちの夕食は僕が作っているので、夕食だけは子どもと一緒にきちっとした時間にきちっと食べています。それ以外はテキトーという感じですね。

野地先生:朝食と昼食は食べないこともありますか。

弘中:朝はほぼ食べなくて、昼もたまに食べない時があります。僕、けっこう朝方まで仕事をして遅く起きるということが多いんです。むしろ、夜のほうが夜食食べたりお菓子食べたりしてますね。

野地先生:それなのに、体にあまり問題がないんですね。甘いものはどうですか?

弘中:かなり食べます。お菓子大好きで、仕事場で作業中もチョコレート食べたり。

野地先生:デスクワークだと食べちゃいますもんね。乳歯の頃は虫歯にけっこう苦労しましたか?

弘中:けっこう歯医者さんには通ってました。でも僕、小さい頃は歯を磨くのも面倒で、磨いていると嘘を言って磨いてなかったので、それでよく虫歯になっていただけだと思います。

野地先生:そうなんですか。今はその頃よりは気をつけられているという感じですか。

弘中:子どもができてからは、子どもに歯磨きをさせるために自分もきちんとするようになりました。

野地先生:なるほど、分かりました。弘中さんは年齢から見ると虫歯のリスクが平均よりちょっと多いかなと思うのですが、今までの話を聞いていて、逆に幸運にもこのぐらいで済んでいるとも考えられます。先天的なものは比較的良いんじゃないかという予想と、生活習慣の改め方によっては十分良くなっていって維持できるのではないかな、という気がします。

弘中:これからの意識の変え方次第ということですね。

野地先生:ただし、後天的なものというのはなかなか変えづらいんです。特にみんな、甘味は難しいらしくて。

弘中:あー。甘いものはやめられないですね。スイーツ大好きなので…。歯がどんどんなくなっていっちゃいますね。

野地先生:統計学的には歯は2回しか生えてこないので、歯を失うということを生涯の中で経験しない方は少ないようです。弘中さんの場合だと、10年に1本ぐらいのペースを考えるとリアルかなと。

弘中:これから10年の間に、あと1本無くなる計算なんですね。

野地先生:根拠もありまして。この図を見てもらえますか。

野地先生:これはパーセンタイル曲線というものなんですが、これは横軸に年齢があって、縦軸が本数なんですが、右に行くほど下がっているということは…。

弘中:年齢と共に、歯の本数が減っていくということですね。

野地先生:そうです。そして線は何本もありますが、同級生の間で自分がどの位置にいるのかが大雑把にわかるグラフなんです。弘中さんの年齢と、機能してない親知らずも入れた本数だと、上から3本目のグラフに当てはまりますね。

弘中:えっと、「25」って青い吹き出しに書いてあります。

野地先生:そうですね。25パーセンタイルというのはつまり、同級生の間で100人中25番目の位置にいるということです。まあ悪くないんですね。そしてこの先に行くと、10年で1本失って、それでもまだ25番目ということになります。大事なのはまず、ご自分がこういう位置にいるんだなということ、10年間で1本を失うかもしれないんだなということを覚えていてほしいんです。そしてその1本を失わないために、生活習慣の改善やメンテナンスを行うことが必要になります。

弘中:はい。

野地先生:それで真ん中の赤い線は20本のラインですが…

弘中:赤色の横線ですね。20本の歯が残っているというのは、何かの目安なんですか?

野地先生:20本というのは人間が最低限自力で咬むことができる本数なんです。「8020運動」(ハチマルニイマル運動)という、80歳になっても20本以上の歯を残そうという運動があるんですね。この20本を守るために、その10年間で1本失うというスピードを一緒に頑張って遅らせていきましょう、というのが当院の考えです。

弘中:無くなったものはすぐ補えばいい、というわけではないんですね。

野地先生:はい。先ほども申しましたが、「無くなったもの」には「無くなった理由」が必ず存在します。その理由の解決なくしては、根本的な解決は成し遂げられません。そして、今から説明する4つのことをこれから守っていただけると、その歯を失うスピードを少なくすることができます。

弘中:はい。4つですね。

野地先生:まず1つ目が…  (つづく)


--番外編「野地先生の診察室」、前編はここまで。

「維持論」の連載を野地一成先生にお願いして自ら編集までしておきながら、その内容を全く実行・実践してこなかったことで、歯を失い凄まじく虫歯を進行させてしまっていた弘中勝。そんな意識の低すぎた弘中は、野地先生にどんなことを指導されてしまうのでしょうか。

次回の後編では、歯を残していくために知っておくべき虫歯進行の原理、歯磨きの仕方や日々の生活の改善など、有用な話がいろいろと出て来ます。そして、弘中が一番気になっていた、別の歯医者さんでマッハで抜かれてしまった奥歯の欠損はどうするべきなのか、野地先生の診断は…。

後編(2017年4月上旬公開予定)をお楽しみに!


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※今回の「番外編」の内容は、『歯科医師・野地一成の「維持論」』本編を読みながらご覧いただければ、何倍もその有用性が理解できます。よろしければぜひ、本編のご購読もお願いいたします!

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