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年中白夜に花一匁

 夜が好きだ。


 なんだよてめえまたアレの話かよ……って思った人、ちょっと待ってよ。まだ何も言ってないんだから、とりあえずアタシの話を最後まで聴いて。


 いや、本当にもともと好きだったんですよ、夜は。小さい頃は暗いとこ嫌いだったんだけど。コレで書いたように、小学校のときパソコンを手に入れて夜な夜なチャットに勤しんでみたり、ココで堕ちたとおり少しの間学校に行けなくなってみたり、そんなことを繰り返していたらいつの間にか親しみを覚えていたのが、夜という時間帯であって。だからちょっと昼とは疎遠になっちゃった感。朝は頼んでもいないのに毎日ウチまで来るから嫌い。夕方は夜に近いし、わりと仲がいいかな。


 小中高のあいだ、基本的に私はビビリの良い子ちゃんグループにいたのだけど、たまに悪いことばっかしてる友達とかに誘われて、夜中に遊びに出たりすることもあった。ってかそいつが私の家の斜め前に住んでたんだよね。コンビニ行こうぜ、くらいなノリで声かけてきたからホイホイついていった。ただし、いくら放任型の我が家とはいえ、毎晩のように家を空けるのは気が引けたし何より私がダルかったから、たまにだけ。

 草木も眠る丑三つ時、ヒトどころかネコ一匹歩いてないド田舎の街をプラプラしてるだけだったのに、なんだかやけに楽しかった。当時はまだ少なかったコンビニのイートインでくっちゃべったり、学校の敷地に忍び込んでみたり。うちらアウトローだよね、と。そんな生活をしていて本当にアウトだったのは学校の成績だけだった。まだ若かったから……と言い訳はできないが、中学の頃は数学の成績に「1」がついた経験がある。まあ、あのまま家でひとりぼっちだったら人生に落第してたから、それよりはマシじゃないか。


 大学生になって一人暮らしを始めてからはもう完全に生活リズムが死んだ。家賃で言えば今の部屋が2.5部屋は借りられるような新築マンションに住んでたくせに、全然家に帰らずYOASOBIの日々。沈むように溶けてゆくように、毎日毎日夜に駆けた結果、1年生の前期の時点で単位が欠けた。♪ah------------------------(幾田りらvoice)

 でもほんとに楽しかったんだよ。毎日のように友達の家で飲み会してたら4日に1回くらいしか家で寝てないことに気づいたり、夜中にいきなり先輩が「彼女に別れ話しに行くから誰かついてこい」って言われて札幌から室蘭までドライブしたり、23時から翌朝6時までトイレ行く以外はずっと歌い続けるカラオケを毎週のようにやったり。あと2〜3回くらいベロベロに酔っ払って、気づいたら知らない天井の部屋にいたり、逆に(なんでこの人がウチで寝てんの……)ってことはあった。
 世間的には大学生で、本質的には人間のクズっていう仕事をしてたあの頃を思い出すのも、また夜。


 ここで記事が終わると、なにも成し遂げずなにも残してないなんの興味もない一般人の思い出話だけ聞かされて「こんな話書くのにはチラシの裏すら勿体ないのはわかるけど、せめてメモ帳で書いてデスクトップに保存してくんない?」ってなっちゃうよな。どうしたもんかな。基本的にエッセイではきっちりケツまくって話終わらせようなんて思ってないんですけど。別に小説ではきっちりできてますなんて言ってないけど。スカートの裾からトイレットペーパー生えてるような作品もよく書くけども。

 でも、だからって他人の苦労話ばっかそんなに聞いてみんな楽しい? こいつバカだけど面白いな、のほうが自分の人生輝かせるんじゃない? ドキュメンタリーとか絶対観られないんだけど私。今は成長して超大企業、でも創業者はこんなに大変で……みたいな番組観てたらいつも「この人こんなに頼み込んでるのに適当に融資断るなんて、ゴミだよこの銀行。ダイナマイト爆破かなんかしてブルドーザーで片した方が良い」とかめっちゃイライラする。
 だから「新人育成に密着!」みたいなのも嫌い。最初なんだからできないの当たり前じゃん。おまえ生後3ヶ月で九九ぜんぶ言えたのかよ、って吐き捨てながらいつもチャンネル変えてたわ。

 にしてもおまえはもう少し厳しくしごかれたほうが良いよ西野。話が3歳児が遊んでるプラレールより脱線してるから。恥ずかしすぎて自分が「物書き」だなんて自称するのはとっくの昔にやめたんだけど、それにしたって無軌道に話を続けすぎ。ひとりで気持ちよく宇宙遊泳してんじゃねえ。冥王星あたりまで行っちゃえ、金かかんねえから。






 んで、多分私は、お昼だときっちりしてる世界しか見えてこないから嫌いなんだろうな。
 夜が適当で雑か、って言われたらそうではないんだけど。

 でも、真っ暗でどこが果てなのかわからないあの時間が、少しだけみんなの心を緩くさせている面があるのは事実なんじゃないかなって思う。昼だって空はどこまでも青いにしても、道がどこまで続いてんのかは見えちゃうじゃないですか。勝手に限界感じて鼻血出しながら芝生にぶっ倒れて、草のにおいと鉄サビみたいな血のにおいが混ざり合うマリアージュ・半額シールを添えて。お天道様の下でそんな醜態晒せないじゃん。「人間ごときが!!!!!」って怒られるよ。
 あ、4:00まで飛ばして観てください。


 その点、夜だったらズタボロで倒れてても圧倒的な月が私の醜く汚いところまで全部照らしてくれて、同じく照らされていても白くぼんやりした月光は無慈悲すぎて勝手に悲劇の主人公気取りになれるし、なんとも自分勝手に赦された気持ちになれる。だから恥ずかしい話とか平気でできちゃうし、こんなくそくだらないエッセイも書けちゃって、顔と名前がわかんないならどうでもいいやとネットの世界に笹舟よろしく流したりできちゃうわけです。ほんと、ずっと真夜中でいいのにな。白夜でもいいぞ。Reolさんの歌もわりと好きだから。


 なんだろね。前向きになれるという意味では太陽光でもいいんだろうけど、どこか

心配しないで!
ネバーギブアップ!
夜はきっと明けるから!

 みたいな感じがすごいして、私みたいな陰の者には、ちいとばかり辛いんです。
 どういう意味かわかりますか。


 月明かりってもうちょっとフンワリしてて、同じく前向きになれるとしても

「このまま生きてても、確かに楽しいことばっかじゃないけどさ。
 だから楽しいことが起きたときは純粋に”たのしいなー”って思えるんじゃない?
 そしてきみがそう感じた瞬間に、きみの隣にいるのがあたしだったとしたら、もっと楽しくしてあげられる自信あるなー……って、今思ってたりするんだけど」

頼れる先輩女子っぽいイメージ。

 くらい、主張はするけど無理強いはしない感じがして好き。感じ方には個人差があります。詳しくはオペレーターへお訊ねください。この表現って擦られすぎてもうキートップの印字が見えなくなってそうですが、私は好きなので今後も多用していきます。あらゆる可能性を排除せず検討していきたいです。


 結局は単に見たくないものを見ないようにしてるだけじゃねえか、って? 別に、見たい奴は好きに見てろよ。何でもかんでも「みんな弱っちぃな。俺はこんなに強いのに」みたく言うのってさすがにダサい時代になってきてるんじゃないですかね。知らんけど。



 あ、太陽光のメッセージの意味わかりましたか?

 湊かなえさんの「告白」を読んだことがある人はピンとくるんじゃないかな。
 ポジティブなメッセージの裏に隠された何らかのネガティブな念みたいなのを勝手に感じちゃう、って話です。中二病もいいところだ。中二病でも恋したっていいじゃないか。したい人は自由にしてください。ここは日本だ。

お読みいただきありがとうございます。いただいたサポートは、創作活動やnoteでの活動のために使わせていただきます。ちょっと残ったらコンビニでうまい棒とかココアシガレットとか買っちゃうかもしれないですけど……へへ………