見出し画像

【参考書】『The Rules 1』関正生【ブックレビュー】


いまや受験生の英語長文問題集の定番となった感もあるこちらのシリーズですが、私も学生たちと一緒に読み込んでみて、なるほど、基礎文法・英文解釈をある程度身につけた人が最初に取り組むのに相応しい参考書と思いました。

以下に素晴らしい点をあげると、

1.長文のテーマが面白いし新しい

アメリカのスポーツ、カナダの移民政策、医療、広告、マイクロプラスチック汚染、動物、エッセイ風文章などなど、どのテーマも最近よく話題になるようなものばかりで、短くてもしっかり読み応えがあり、背景知識まで得られるものが選ばれている。現状の英語力を過信していきなり『The Rules2』からはじめようとしたがる生徒もいるのですが、ほとんどの場合、この1からはじめることをおすすめします。

2.一文一文に単語・表現のみならず、SVOCMの構文解析やスラッシュがつけてある

この点は独習、または指導者の解説を受けた後に復習する際にとても重宝します。ただし、なぜそういう構文になるのかの説明は難所以外はついていないので、最低限の文法・解釈の力は前提として必要。

3.スマホで聴けるネイティブ音源がついている

これは現在の参考書だと当たり前なんでしょうが、昭和・平成初期の地方公立教育を受けてきた私からすると信じられないほど恵まれています。にも関わらず活用してない生徒が多いこと多いこと。。よく聴いて、正しい発音で音読しよう!

以上のような圧倒的な美点がありつつ、それでも可能ならば、しっかり読解指導のできる方と一緒に読み込む体験をしておくことを推奨します。

なぜならば、独習の場合、特に基礎文法を終えたばかりぐらいだとかなり勝手読みをしてしまっているケースが多く、それでも設問自体はたまたま解けたりするから誤読・誤解に気づけていない!ということが往々にしておこるからです。

例えば、最初のLesson1の中で、あなたは、

○関係副詞のthatが一箇所使われていることに気づきましたか?
○「〜として」という意味ではない前置詞のasがあったことに気づきましたか?
○別冊解説の中に重大な誤植(p16.「長い間」のところを参照。2023年重版のもの)があることに気づきましたか?

どれも重要表現・文法ですが、独学では見逃してしまいがちではないでしょうか?

これらに自分で気づけていない場合は、しっかりした指導者と共に読解する経験を積むことを強くおすすめします。

最後に、強いて本書の問題点をあげるとすると、それは解法の「ルール」はあまり役に立たないということです(笑)

大学入試のほとんどの英語長文問題は文章がちゃんと読み取れれば普通に解けるものばかりです。本文に根拠を持って読み解けたものを無理矢理後付けで「ルール」に当てはめて理解する必要はまったくありません。本文が読めているはずなのに解答を間違えている場合に適宜参考にするくらいの使い方で良いと思います。数学の公式のようなものではないので、84個(!)もあるルールをいちいちおぼえる必要はないです。

実際、私の生徒でこの参考書のおかげで読解力がつきました!ということはよくあっても、あの何番の「ルール」のおかげで解けました!というのは一度も聞いたことがないです(笑)

以上、実際に本書を使い込んでいる現場からのレビューでした。とても良い参考書ですが、そのポテンシャルを最大化する使い方をして、長文読解力をつけていこう!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?