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「神学と神話 ドイツ文化誌の視座から」 河崎靖 著 を読んで

人類の言葉・伝承の原生林へ

ドイツ語の大家である著者が、神学と神話について、原語を大切にしながら、丁寧に人類史の端緒の解明に格闘するという感じでしょうか。北欧に残っているゲルマン民族の古来の神話、キリスト教との邂逅、ナチ時代のキリスト者の葛藤、、

テーマは多岐にわたり、とても一言では言えませんが、

かつて言葉や伝承の原生林があったところが、舗装されたアスファルトで埋め尽くされている中、元の原生林の臭いを頼りに、輪郭をおぼろげながらに掴もうとするような姿勢を感じました。。。

言葉のもつパワーや可能性と、伝承の中で変容、変節、喪失され易い虚弱性の両面性が描かれています。著者は原語を大切にされますが、それも翻訳の危うさを知っているからだとの事です。

神話時代の原生林、神学理解の補助線、そのようなものに興味のある方にはお勧めです。

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