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目先の愛

新海誠監督の作品には、
「世の中の莫大な問題よりも、ぶっちゃけ目先の個人的な愛」
という特徴があるように感じる。
井上陽水さんの『傘がない』を思わせるような、リアルで綺麗事なしの正直な切り取り方で人間を捉えていると思う。
もちろん、新海誠監督は、社会全体を思いやる心も丁寧に描いているが、それだけではない、人が良くも悪くも「人間」であることで自覚しておかなければならないことも、作品の中に秘めているように感じずにはいられない。

時に善とも悪とも捉えがたい、生きるための本能の横で、確かに存在する生き物の美しさをただひたすらに描き切る。
作品の描き込みがすごいのに、言いたいことは要領を得ていて、素直で簡潔だ。

新海誠監督の作品には、村上春樹さんや井上陽水さんと近いものを感じる。

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