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覇権争いの場としての家

「家を片づけたいのに夫がそれを阻む」というケースは珍しくない。

・せっかく私が片づけて何もないスペースを作ったと思ったら、
 夫がこれ見よがしに自分の荷物を置いてくる。
・夫が趣味の道具で戸棚をいっぱいにするせいで、
 リビングが片づかないし、私好みの空間からほど遠くなる。
・共有のクローゼットに夫が自分の服を大量にしまいこんで
 少しも捨てようとしないので、私の服をしまえなくて散らかる。
・夫が捨てられない人で、夫の荷物で部屋がひとつ埋まり、
 子ども部屋を作ってあげたいのにそれができない。

などなど、夫が片づけに非協力的なだけでなく、
片づけたそばからその努力を踏みにじるように、
モノを持ち込んだり、散らかしたりするという訴えをよく聞く。
当然、夫婦仲は悪いとまではいかなくても、良好とはいかない。

なんにせよ、こういうケースで話を聞いて感じることは、
夫婦が家を通して覇権争いをしているということ。
言い換えれば、自分が家を思い通りにすることで、
パートナーに自分の思いを認めさせたり、
優位性を示そうとしたりしているようだということ。

・私はあなたが好き勝手するための家政婦みたいに扱わないで!
・妻である私にも家を好きにする権利を認めてよ!
・大黒柱である僕が誰よりも尊重されることは当然だろう! 
・父親なんだから私まかせにしないで、子どもに愛情を注いでよ!

というような叫びを、
「モノを片づけて理想の空間を作ろうとする」とか、
「自分の好きなものを身の回りに散りばめる(散らかす)」など、
モノに投影する形で無意識に表現しているのだな。
その状況の人がいざ本格的に片づけにとりくもうとすると、
片づけられないもしくは散らかることが問題だったはすが、
家(家庭)の中での夫婦の覇権争いという実態が浮かび上がってくる。

そうなるともはや片づけの成功は
モノを捨てるか捨てないかみたいな物理的な話ではなくなり、
家をどちらの思い通りにするかで夫婦が力関係を争っている状況に、
どう向き合っていくか?にかかってくる。
片づけの前にそれをやるのか、片づけを通してそれをしていくのか、
人によって違いはあるだろうけど。

そこにマニュアルはない。残念だけど。
片づけなら、一定の方法があるのにねぇ。

ただ、ひとつのヒントとなるのは、
モノを通じて相手と争っているとき、
その心の奥には、さみしさや怖さ、不安があって、
そこから救ってほしいと願っているということ。
自分も。相手も。

「家政婦みたいに扱わないで!」は、
「召使い扱いされて悲しい」「お姫様みたいに大切にしてほしい」
だったりするし、
「大黒柱は尊重されて当然!」は、
「もっと僕の価値を認めてほしい」「僕をリスペクトしてほしい」
だったりする。

自分や相手の行動の奥にある叫びの、さらに根っこの思いを知り、
受け入れ、寄り添うことが大事だろうと思う。
もちろん、この状況で相手に寄り添うのはだいぶ難しいだろうから、
まずは自分に寄り添うので十分。
自分の気持ちをわかってあげる。しっかりと言い分を聞く。受け止める。

そこから、見えてくること、変わってくること、たくさんあると思うよ。


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