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ていねいな暮らしをしたいなら

「ていねいな暮らし」って言葉が流行ったよね。
自称「片づけられない」人からも、
「家を片づけて、ていねいに暮らしたい」という言葉を
何度聞いたかわからない。
「ていねいに暮したい」と思っている人は意外に多いみたいだ。

で、そこでポイントになるのが、
「ていねいに暮したい」人が想像する「ていねい」の中身なんだが、
聞いてみるとどうやらそれは、
掃除、洗濯、料理など、すべての家事を手を抜かず、
きっちりやることであることらしい。
毎日すべての部屋の床に掃除機をかけ、雑巾がけもする。
洗濯物はためずに毎日するし、乾いたらすぐさま畳み、所定の場所へ。
アイロンだってサボったりしない。
料理は全て手作りで、季節ごとにジャムとかピクルスとかも仕込んじゃう。
…みたいな、家事のあらゆる工程にきっちり手をかけるイメージ。
人によっては、これに加えて、
フルタイムの仕事と育児も完璧にやろうとしていたりする。

うん。
それは「ていねいな暮らし」という名の「無理ゲー」ってやつだね。
もしくは、無尽蔵な体力と有り余る時間を持つ人の「贅沢」か。
そういう暮らしが楽しくて好きならいいんだけど、
それが正しい暮らしと思ってやるなら、
体力と気力と時間を家事に全振りした、暮らしという名の苦行だよ。

人の体力と気力と時間には限りがある。
だから私は「ていねいに暮す」には暮らしの効率化が
必要だと思っている。
ていねいに暮したいからこそ、やるべき家事の優先順位を決めたり、
したくない家事を間引いたりしないと、やっていけない。

たとえば、私はアイロンがけが大嫌いなので、
アイロンに時間を取られるのはいやだ。
だから、アイロンが必要な服は買わないことにしている。
すると私の暮らしから
「アイロンがけの時間」が消えるので、
その分の時間を他の家事に回すことができる。
たいていは掃除とか片づけ。
だから私はアイロンがけの時間分だけ、
掃除や片づけが「ていねい」にできるという寸法だ。
そのおかげで、ときどき我が家に来た方に、
「ていねいに暮しているんですね」と誤解してもらえる。

私は「アイロンがけ」も「掃除」もどちらも、はできない。
「全部ていねいに」は無理。家事は無限にあるから。
それはみんなそうでしょう。
溢れかえるモノを全て「ていねいに」手入れできないように、
たくさんの家事の全てを「ていねいに」やることはできない。
だから、「ていねい」を実現するためには、
どの家事を「ていねい」にするかっていう取捨選択が求められる。

「片づけられない」人が「ていねいな暮らし」に憧れるのは、
「ちゃんとしてない」と自分を責めるのが苦しくて、
「私はちゃんとしているという自信を持ちたい」という心理から
来ているようにお見受けする。

だけど、そのためには、
彼らがモノにおいて苦戦している「取捨選択(特に捨て)」を、
家事(というか暮らし)においてもしなくちゃいけないということで、
ああ…と言葉にならないため息が漏れる。

でも、それができたら、
自分の大切にしたい家事を大切にして暮らすこと
という意味合いの「ていねいな暮らし」ができるかもしれない。
それはきっと、「あなたらしい暮らし」でもあるに違いない。


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