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読書三昧、ちょっと一服 🍷                    モーツァルト、アンネ=ゾフィー・ムター、そして小澤征爾のことなど     

 集中読書月間につき、依然としてnoteお休み。
 でも時には安否連絡代わりの音楽エッセイを。


🌸

 修行僧のごとき読書生活にもさすがに少し倦んだので、気分転換にモーツァルトを聴くことに。

『ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長 K.364』より

第2楽章(アンダンテ  ハ短調)

アンネ=ゾフィー・ムター(ヴァイオリンと指揮)
ユーリ・バシュメット(ヴィオラ)
ロンドン・フィルハーモニック

 第1楽章(アレグロ)と第3楽章(プレスト)はいかにも「これぞモーツァルト!」の世界。
 それだけにこの第2楽章のスラブの深い憂愁を想わせるアンダンテ・ハ短調の存在がいっそう際立ってくる。

アンネ=ゾフィー・ムター(ドイツ)
ユーリ・バシュメット(ロシア)

 この楽章におけるアンネ=ゾフィーとユーリの演奏はあまりにも濃密な情緒性を強調しているため、「やり過ぎ」の一歩手前で留まっている感もある。
 だが、それだけにモーツァルトの持つ陰影の深さをいっそう浮き彫りにしているともいえる。
 物語の世界に沈殿している最中の僕などは、この演奏に素直に身を委ねているのが心地よい。


  【第1楽章、第3楽章を合わせて聴いてみようと思われる方の参考に】
 第1楽章
 アレグロ・マエストーソ 変ホ長調(協奏風ソナタ形式)

 第3楽章
 プレスト 変ホ長調 (ロンド形式)



🌸 🌸 
 ところで、アンネ=ゾフィー・ムター。
 14歳でカラヤンに見出され、常に第一線で弾き続けながら今では60歳の大御所となった。
 今回の協奏交響曲もそうなのだが、オーケストラを相手に弾き振り(自ら楽器を演奏しながら指揮をすること)する機会が増えた。

ヴィヴァルディ『四季』より「冬」

 少女時代からのアンネ=ゾフィーを知る者としては、今の彼女の円熟ぶりを目にするにつけ感慨深いものがある…

少女時代のアンネ=ゾフィー
(カラヤンと共に)

 年齢を経ることで円熟の高みに登り詰める人の姿とはこういうものなのだろう。
 老化(衰退)の一途を辿るしかない凡人の目には眩しく映る。


🌸 🌸 🌸
 2016年のウィーンフィル日本公演での小澤征爾とアンネ=ゾフィー・ムターの共演風景。

 この二人は年齢こそ離れてはいるが、カラヤンに育てられた兄妹弟子の間柄でもある。

 小澤の身体は消えても、彼らが交差して融和した東西の熱い魂は、次の新たな時代へと受け継がれていくだろう。
 これもまた、小澤征爾の残した大きな功績の一つだ。



 ということで、再び本の世界に戻ります。
 また1週間か10日後にはお便りをすると思います。

 じゃ、またね🖐️

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