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『めぐり逢い』                                    ♥大人のメロウな音楽と映画とイラストの世界♥                           【アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ】

 分かる人には分かっても、そうでない人には何も分からない世界…
 いえいえ、けっしてそんなことはありません。

『くつろぎの庭』
ペンと水彩

♣ 
 余計な解説なしで、理屈抜きにノスタルジックで夢見心地の世界に誘われるようなショパンの美しい小品を。

 ショパン
『アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ』からピアノ前奏部分(4分47秒)
ピアノ:イディル・ビレット

 流れるような分散和音の伴奏、真珠を散りばめたように滑らかで華麗な装飾音に彩られた主旋律、泣かせどころを心得た巧みな和声進行。
 ショパンの甘美さの極致…(⁠ ⁠˘⁠ ⁠³⁠˘⁠)⁠♥

 
♣ ♣
 この曲を聴くと必ず重なり合う古い名画のシーンがある。

『めぐり逢い』(原題  An Affair to Remember『過ぎし日の出来事』)という昔の名画をご存知だろうか。
「すれちがいメロドラマ」の古典中の古典であり秀作だ。

1957年 20世紀フォックス映画
ポスターが実にレトロで味がある(⁠^⁠^⁠)

 船旅の中で知り合った画家でプレイボーイのニッキー(ケーリー・グラント)と元歌手のテリー(デボラ・カー)。
 二人が旅の途中でフランスの保養地ヴィルフランシュ=シュル=メールに住むニッキーの祖母ジャンヌの屋敷を訪ねる場面がある。

おぼろげな印象と記憶を元にしているので
おそるおそる輪郭を描いていく。

       ↓
(うん、こういう色彩感だった気がする(⁠^⁠^⁠)

『めぐり逢い』イメージスケッチ1
ペン、透明水彩(F2)

 そこは亡き夫の想い出と共に暮らす祖母の、夢の花園のように美しい世界。

『めぐり逢い』イメージスケッチ2

 僕が初めて観た時点ですでにリバイバル上映だったし、あの時代のハリウッド映画だから当然ほとんどのシーンはスタジオセットだったはずだ。

『めぐり逢い』イメージスケッチ3
ペン、透明水彩(F2)

 しかし、それが分かっていても当時17歳の僕のハートには十分に衝撃的なほどに美し過ぎる「ヨーロッパの大人の世界」として、甘美なサウンド・トラックに増幅されて心に焼きつけられたのだ。


♣ ♣ ♣
 映画の中でニッキーの祖母ジャヌーの弾くピアノに合わせてテリーが歌い始める曲がこれ。
 “An Affair to Remember”
 
二人が決定的に惹かれ合う名場面だ。

 ハリー・ウォーレンという人の作曲だが、この曲がどうしても先ほどのショパンの「アンダンテ・スピアナート」の曲調に重なってしまうのは何故?


 ※ サントラ付きの名場面集。
   YouTubeより拝借しました。

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