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今週のお弁当 2021.11.15-

先週の可燃ごみの収集日に、ため込んでいた廃棄油をようやく捨てることができたんですよ。

わがまちの可燃ごみ収集日は週2回なのだけれど、そのうちの片方の日に、隔週で廃棄油も回収していただけることになっていて……って自分で書いててすでに混乱してきた。要するに、月木=可燃ごみだけ、第一・第三木=油も出してヨシ!ってシステム(曜日は地区によって異なる)。昨年までは、私がこの回収デーを利用するのって、せいぜい年に1度あるかないかだった。「油がはねるのが恐ろしい」というしごく真っ当な理由で、揚げ物全然やらなかったから。当然廃棄油が出ることもほとんどなく、廃棄油回収デーってのは私の中で非常にうっすい存在感しかなかったってわけ。

ところが今年は———いや、より正確に言うならば、世界一と最強の男爵に身も心も狂わされた夏以降からは、台所のかたすみに廃棄油入りのペットボトルが、ひっそりと林立するようになった。そりゃそうだわ、半月に一度、ひどい時には週末ごとに揚げ物してれば、古い油も溜まってくるってもんです。でも今まで廃棄油をゴミ出しする習慣がなかったもんだから、当然回収日もなかなか覚えられず……あくまで静かに、ひそやかに、しかしながら確実に増殖してゆく琥珀色のペットボトル軍団に、そろそろやばいなと思っていた。

先週全部まとめてゴミ捨て場に運んだあとは、とてもすがすがしい気分になった。これでまた揚げ物しても大丈夫だな!なんてごく自然に思い、その後すぐに、そんなことを思った自分にちょっとびっくりした。揚げ物、あんなに苦手だったのにな。今さら言うまでもないけれど、へっぴり腰でも回数を重ねてゆけば、少しずつ慣れていくし恐怖心も薄らぐ。そうすると揚げ物も苦にならなくなり、自然、アゲアゲ頻度も上がってますます手慣れてゆき……今、とてもいい流れの中にいる自分をひしひしと感じる。男爵野郎はもちろん、鶏のから揚げもちくわの磯部揚げも、以前よりずっと上手にできるようになった。そろそろ初心者マークを卒業して、次のステージへとステップアップをはかる頃合いなのかもしれない。ドキドキするけど、でもちょっぴりワクワクするし、何より自分の成長ぶりがうれしいな。ウフフ……ウフフ、アハハ!


さて長すぎる前振りはそろそろよかろう。



今週のお弁当は、

・タラのフライ

・厚焼きたまご

・れんこんとにんじんの中華風きんぴら

・野沢菜漬けとラディッシュ梅酢漬け

以上4品。


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ヒュウ……ごはんに鮭が載った時の昭和感すげえな。


壮大な前振りからもお察しいただけましょうが、今週のメインおかずはタラのフライ。週末に大帝国ロピアの公式LINEから、「タラがやすいよ!」ってお知らせが届いたので、ヨッシャヨッシャと腕まくりして出かけていった。お知らせの通り、ぷりんぷりんのタラちゃんが100g100円というすてきなお値段で売られてい……たのはよかったのだけれど。どういうわけか、1kgがパックされた『メガ盛り』しか売られていない。私が欲しい300gくらいのパックだと、100g170円とかする。マジかよ……


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まあ連れ帰りましたけどね。これで950円くらい。どう考えてももて余すので、恋人にもおすそわけをすることにした。


で、これを半日貴族のラップでピチットしてから適当な大きさにカットして、マジックソルト、塩こしょう、マヨネーズを揉みこんで20分くらい放置してからパン粉つけて揚げた。ぷりんぷりんのタラちゃんがピチットのおかげでいい感じに引き締まっていたし、味つけからパン粉まぶしまでの手際もよく、いやーもう今日は大勝利しか見えねぇ見えねぇよブハハハハ!くらいのテンションだった。言い換えれば天狗になっていた。しかしながら、そういう天狗の鼻は容赦なくぶち折られるのが古来よりのしきたりである。

油に投入した途端、まずパン粉がものすごい勢いでタラちゃんからの離脱を始めた。ええ、なんでどして……と動転しながら油の温度を上げたら、みるみるうちにきつね色を飛び越えて明らかな焦げ色へと変色した。あわてて引き上げようとしたら、箸の先でタラちゃんが空中分解を起こした。なんだよこの畳み掛けるような盛り上がり!ラヴェルのボレロのクライマックスですか?!


一巡目を揚げ終え、そうか、揚げ焼きみたいにしようと思ったけどダメなんだな、と気づいて追い油を追加したところ、先ほどよりはマシな仕上がりになった。でもみんなもれなくハゲ散らかしてるし、三タラに一タラの割合で身が崩壊してる。なんなのこれ……なんなのもう……どういうことだってばよ……(って料理中ずっと呟いてた)

かくしてすべての作業が終わったあと、台所には油を含んだ香ばしい香りと共に、タラの死屍累々が築かれることとなった。初心者マーク卒業延期を決意したのは言うまでもない。むしろ教習所からやり直せ。


こんなことを言ってると、心やさしき紳士・淑女のみなさまは「写真のタラは全然ハゲてないじゃん!大丈夫大丈夫!」って思ってくださるかもしれません。でもね、今日のお弁当には死屍累々の中でいちばんマシな面構えのやつを、撮影用としてピックアップして入れただけなんです。死屍累々には一切触れずに、しれっと成功した感を装うことも考えたのだけれど、こう見えても私は正直者なので、いさぎよく本来の姿も晒しておこうと思います。


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ああ、聞こえてくる

「こんなもののために生まれたんじゃない」

っていうタラたちの悲痛な叫びが……




というわけで、見た目は大変に痛ましい有り様なのだけれど、味はちゃんと決まっていたのでおいしくいただいた。白身魚の淡白な旨みって、揚げるとギュッと凝縮されてとってもいい感じだ。適当に振ったわりに塩加減もバッチリだったし、さんざん空中分解して私を苦しめただけあって、冷めてもしっとりやわらかくてホロホロだった。おすそわけした恋人にも、「言うほどハゲてないしちゃんとおいしいよ」と褒めてもらえたので(やさしい人なんですホント)、どうか成仏してほしい。夢枕に立たないでほしい。

たぶん敗因は、衣つけるのがめんどうくさいからってマヨネーズで代用したことと(でもササ美さんはうまくいったんだよなー)、揚げ油をケチったことだろう、と憶測している。空中分解については皆目見当がつかんのですが、もしかしてタラって『揚げ物用』みたいな種類があるのか。それとも今回はたまたま、揚げ油の海に出ると波乗り始めちゃうサーファー野郎に当たっただけなのか。真相解明のため、また特売タラちゃんに遭遇したらがんばってみようと思う。


れんこんとにんじんのきんぴらは、いつもならしょうゆと砂糖とほんだしで和風甘辛味にするのだけれど、今回はちょっと目先を変えて中華風に。創味シャンタンにみりんとはちみつで甘みをつけて、仕上げにオイスターソースも入れた。中華風のこってり甘辛味、悪くないですねぇ。メインがさっぱり味だからちょうどよかったな。

野沢菜漬けは、先日信州で二袋買ってきたのにもう残り少なくなってきた。晩酌の肴に調子こいて食べすぎたな……次回は五袋買ってこよう。


週明けから帰宅が遅くなったのだけれど、夜の冷え込みがまたレベルアップしてますねえ。そろそろ毎日鍋を食べるシーズン到来だな。

よーし、今週もがんばるぞーい!

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