ワーキングメモリ教育推進協会

一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会理事・上級インストラクター野瀬愛未がお届けしま…

ワーキングメモリ教育推進協会

一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会理事・上級インストラクター野瀬愛未がお届けします。ワーキングメモリの研究に感銘を受け、当協会代表理事で広島大学教授の湯澤正通先生と共に「学び方の個性」を知るアセスメント『HUCRoW』の普及に励んでいます。ewmo.or.jp

最近の記事

ワーキングメモリは伸ばせる? 楽しく学習するのが効果的

「ワーキングメモリはどうすれば伸びますか?」 「ワーキングメモリは鍛えられますか?」 親御さんや教職員の方から、相談を受けることがあります。 人それぞれにその容量が異なるワーキングメモリは、会話、読み書き、計算、日常生活のあれこれなど、あらゆる思考、判断や行動にかかわっています。 そのため、WISCなどの知能テストで「ワーキングメモリが低い」という結果が出たら、「トレーニングなどで伸ばしてあげたい」と思うのは親心。 ワーキングメモリの発達については盛んに研究されており

    • 算数の文章題が解けない!? 4ステップのつまずき箇所を明らかにして対策を

      算数において「計算や九九は出来るが、文章問題が苦手」という子どもが見られます。実際テストの結果を見て、「計算問題は正答しているのに、文章問題だけができていない」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 これまでに紹介した「黒板の文字を写すのが苦手」「特殊音の読み書きが苦手」などと同様に、その原因は子どもによって違います。 なぜなら、算数の文章問題はワーキングメモリのいろいろな機能を使って解くため、たった1ヶ所につまずくだけでも答えにたどり着けないからです。 その原因が

      • 学習方法だけでなく、親子コミュニケーションも改善する!【HUCRoWを受けた保護者座談会】

        子どものワーキングメモリの特性から、学びの個性がわかるHUCRoWアセスメント。HUCRoWを受けてから子どもの困りごとが改善した3人の保護者に集まってもらい、座談会を開催しました。 切羽詰まっていた人から、子どもに対する情報の1つにしたいと考えた人など、三者三様のリアルな声は、これから申し込みを検討している方の参考になるかもしれません。 「癇癪を起こして泣きわめく。どうしていいかわからなかった」 ――HUCRoWを受ける前の困りごとや心配ごとを教えていただけますか?

        • 「どうしてノートが取れないの?」板書は、実は複雑な処理をしていた【弱みを対策できた親子のケース④】

          学校での困りごとの相談を受けることが、よくあります。その中でも、「黒板の文字をノートに写せない」という子どもは比較的多い印象です。 「そのまま写すだけでしょう?」と大人には簡単に思えるため、できない理由がわからないのではないでしょうか。 実は、板書をするプロセスは、複雑な処理が絡み合っています。 処理の途中でつまずく箇所は、子どもによって違います。まずは、つまずいている場所を探り当てる必要があります。その後で、対策を講じていきましょう。 黒板の文字をノートに書き写すの

        ワーキングメモリは伸ばせる? 楽しく学習するのが効果的

          言語かイメージか? 「文章を読む」という共通ゴールも、得意な領域で達成すればいい【開発者インタビュー/後編】

          現在の教育システムが抱える、集団教育ゆえに個別の支援がままならない課題について、前編『「うちの子、発達障害!?」 言葉を一人歩きさせず、客観的指標で原因を知ろう』で取り上げました。 個別の支援をサポートするツールとして、私たちワーキングメモリ教育推進協会では、HUCRoWアセスメントを提供しています。 今回も、広島大学大学院の教授であり一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会の代表理事である湯澤正通さんと一緒に、HUCRoWへの思いや活用方法について考えます。 イギリス

          言語かイメージか? 「文章を読む」という共通ゴールも、得意な領域で達成すればいい【開発者インタビュー/後編】

          「うちの子、発達障害!?」 言葉を一人歩きさせず、客観的指標で原因を知ろう 【開発者インタビュー/前編】

          現代の教育システムが抱える問題の中でも、個別の支援がままならない状態は大きな課題の1つ。集団学習が基本にあることで、平均から大きく外れる子どもの生きづらさを生んでいるともいえます。 今回は、一般社団法人ワーキングメモリ教育推進協会の代表理事であり、ワーキングメモリ理論に基づいた教育支援の第一人者、湯澤正通教授を迎え、現代の公教育が抱える課題と解決策について聞きました。 発達障害の可能性がある児童は9%も? 野瀬愛未(以下、野瀬) 現代の教育システムにおいて、湯澤先生が課

          「うちの子、発達障害!?」 言葉を一人歩きさせず、客観的指標で原因を知ろう 【開発者インタビュー/前編】

          「勉強ができない」の解決方法、どの子も同じではない!

          「勉強しているのにテストの点が取れない」 「毎日、親御さんがつきっきりで教えているのに、学校のテストの点が取れない」「宿題をちゃんとやっているのに、点数が悪い」という子ども。 ―それは、勉強の量がまだ足りていないのでしょうか? 「いくら教えても理解ができない」 「わかるように教えているつもりなのに、伝わらない」「何度教えても、少し時間が経つとまた聞いてくる」「なんでわからないの!?」と親御さんがイライラしてしまう。 ―それは、「理解力」が低いからなのでしょうか?

          「勉強ができない」の解決方法、どの子も同じではない!

          「きゃ」「しゅ」「っ」などの特殊音の読み書き。苦手な子どものためのトレーニング 【弱みを対策できた親子のケース③】

          何気なく使っている、「ぎゅうにゅう」「しっぽ」「おちゃ」などの特殊音が含まれる言葉。 大人は無意識に使っているだけに、子どもが聞いた言葉を正しく真似したり書いたりすることができないと戸惑い、その理由をわかってあげられないことが少なくないようです。 特殊音には、「ちょきん(貯金)」「でんしゃ(電車)」などに使われる小さな「ゃ」「ゅ」「ょ」が含まれる拗音(ようおん)、「はっぱ」「ねっこ(根っこ)」など、小さな「っ」で表す促音、「きゅうり(読み方は『きゅーり』)、「とけい(読み

          「きゃ」「しゅ」「っ」などの特殊音の読み書き。苦手な子どものためのトレーニング 【弱みを対策できた親子のケース③】

          簡単なたし算や、数を数えるのが苦手なのはなぜ? 【弱みを対策できた親子のケース②】

          「数をただしく数えられない」「簡単なたし算やひき算ができない」。 未就学児から小学校1~2年生くらいで起こることが、少なくありません。 大人から見るととても簡単なことなので、「どうしてできないの?」と戸惑う親御さんは多いです。理由も、なかなかわかりません。当然ながら、子ども自身もうまく説明ができません。 「1から10までの数字の順番を覚えていない」「数の大きさのイメージがない」「リンゴをどこまで数えたかわからなくなってしまう」など、子どもによってできない理由はさまざまで

          簡単なたし算や、数を数えるのが苦手なのはなぜ? 【弱みを対策できた親子のケース②】

          「文章読解が苦手」な理由は、ワーキングメモリのタイプでわかる 【弱みを対策できた親子のケース①】

          小学生、中学生くらいの子どもを持つ親御さんで、「うちの子は国語の文章読解が苦手」という悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。それはただ単に、読書や勉強が足りないせいだと考えていませんか? ひとことで「文章読解」と言っても、その中にはさまざまなプロセスがあり、つまずいている箇所は子どもによって様々。親御さんは、「内容を把握する力がない」「文章を根気強く読めない」「つっかかる読み方をする」など、漠然とは把握しているものの、それだけではなかなか対策が取れません。 今回は、「文

          「文章読解が苦手」な理由は、ワーキングメモリのタイプでわかる 【弱みを対策できた親子のケース①】

          子どもの学習のつまずきは「ワーキングメモリ」に注目 【知能検査WISCとワーキングメモリアセスメントHUCRoWの違い】

          私たちが開催する講演会や、塾・スクール向けの研修会で、よく質問されることがあります。 「WISCは思っていたことと結果が違うのですが、どうしてなんでしょうか?」 「WISCを受けてみましたが、その後どんな対策をすればいいかわからないんです……」 WISCとは、5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月の子どもを対象とした知能検査です。この検査を受けて結果を見ても、「なんだかぴんとこない」という親御さんが少なくないようです。切羽詰まったような表情で、相談しに来てくださいます。 学習の困り

          子どもの学習のつまずきは「ワーキングメモリ」に注目 【知能検査WISCとワーキングメモリアセスメントHUCRoWの違い】

          「この子、どうして解けないの?」 ワーキングメモリの研究で理由がわかった

          「こんなに量をこなしているのに、どうして覚えられないのだろう?」 私が小・中学生対象の 塾の講師をしていたころ、どうしても解決できなかった悩みです。 塾には、年齢に関係なく、何度言っても、何度読んでも覚えられない子どもたちがいました。「音読しましょう」「何度も反復しましょう」と伝え、勉強につき合い、保護者の協力を得ても、一向に覚えられません。 当時の私は、やる気や量の問題だととらえていました。その考えは、完全に間違っていました。いまとなっては、「本当の理由をもっと早く知

          「この子、どうして解けないの?」 ワーキングメモリの研究で理由がわかった