【Research】 ミュージシャンのデザイン( Spinal Tap，Lustfaust )
前回に引き続き，リサーチをどんどん紹介していきます。
今回は主にミュージックバンドの特集です！
【 1 - 04. Spinal Tap 】
60年代にデビューし，かつて一世を風靡したイギリスの人気バンド Spinal Tap は，アルバム「Smell the Glove」のリリースが決定をきっかけに大々的な全米ツアーが決定しました。彼らの大ファンである映画監督マーティ・ディ・ベルギーはツアー密着を決意し，映し出されたのは結成秘話からメンバーたちの苦悩，歴代ドラマーの怪死，トラブルから感動のステージまで，次々と明かされるファン必見のエピソードの数々でした。
しかし，この全ての話は架空です。このバンド自体も1984年公開されたアメリカのロックモキュメンタリーコメディ映画「This Is Spinal Tap」の題材となった虚構のバンド。ドキュメンタリーのような撮り方と設計された脚本などの手法による，観者たちが完璧に騙されました。面白いのは，実在しなくてもこの映画でバンドのたくさんのファンができたり，高い評価を受けるなど，多くの人に影響を与えた点です。
映画のラストで Spinal Tap は日本に演出して新しい旅に出ます。その演出については細かく書かれていませんが，時代背景や作り方を調べて，グッズやポスターなどをこのバンドは実際に存在する，実際に日本に来たようなもの作ってみたいです。
【 1 - 05. Stonehenge，stage set 】
こちらは前述の Spinal Tap というロックバンドがあたかも実在したように作られた映画です。
オーダーの詳細には，「この映画内に登場する※『ストーンヘンジ』のステージセットを参考にオブジェを作れ」と書いてあります。
映画の劇中でこのバンドがライブで「ストーンヘンジ」という楽曲を演奏する場面を示しており，そのライブのために，メンバーが楽曲の名前の由来でもある「ストーンヘンジ」をステージセットとしてオーダーするシーンもあります。
※ストーンヘンジとはイギリスの世界遺産で、謎の巨石建造物
その際に，メンバーの一人が走り書きでセットのサイズをメモするのですが，これがきっかけでオーダーミスが起こり，小さなサイズのストーンヘンジになってしまいます。原因は単位の認識のズレ。なぜなら，そのシーンはちょうどアメリカツアーの真っ最中で，イギリスはインチ，アメリカはフィートを用いるのが一般的。1フィートは12インチなので，実際のイメージからはかけ離れた，12分の1のサイズになってしまったのです。
もしその「スパイナルタップ」がライブツアーのために来日し，日本人に舞台美術をオーダーしたらどんなモチーフを扱い，どんなミステイクが生まれるのか。元の映画のユーモアを参考にアイデアを考えています。
【 1 - 06. Lustfaust 】
Lustfaust は，70年代後半~80年代前半にかけて西ベルリンで活躍した実験的ノイズバンドです。
しかし，前述の Spinal Tap 同様このバンドも実在せず，イギリス人のコンセプチュアル・アーティストである Jamie Shovlin が生み出した架空のバンドです。Lustfaust は音源のない空のカセットを配ったり，偽のウィキペディアを制作するなど言葉とイメージの中でのみ存在してきました。彼はこの作品で「観客が徐々に騙されていることに気付き，観客に先入観を疑うように仕向けたい。」と主張しています。
また，このバンドのカセットカバーやポスターのデザインは，ポップアートのアンディーウォーホル的なデザインが踏襲されています。
今回私たちは，このバンドのカセットカバーを日本のファンが作った設定でデザインします。70年代〜80年代前半当時の時代背景や音楽，アートの文脈を踏まえながら，Lustfaustという架空のバンドを紐解き，再構築していきます。
【 クラウドファンディングのご支援のお願い 】
本プロジェクトは，今秋の展覧会開催のためにクラウドファンディングを実施しています。
現在目標金額400万のうち，200万円弱のご支援をいただいております。
ご支援いただいた皆様，本当にありがとうございます。
少しでも「応援したい」と感じた方は，ぜひご協力よろしくお願いします。
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