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今年(2024年)の産地訪問に向けて

こんにちは。品質管理部の佐藤です。

2024年が始まりました。今年も2月末からグアテマラとエルサルバドルに産地訪問の予定が立ち、買い付けのことで頭がいっぱいの時期となりました。今回のnoteでは、今考えていること「グアテマラではどのような生産処理にしようか」「エルサルバドルではどんな豆を探したいのか」といったことを書いていきたいと思います。




グアテマラの訪問

GOOD COFFEE FARMSさんとのMy Farm 契約も今年で3年目になります。去年、一昨年を振り返ると、はじめてのオリジナルプロセス作りで分かっていないことが多く、生産処理で変なものを作らないようにという思いが強かったなと思います。今回は過去2回の取り組みを踏まえて発酵の理解が少し深まってきたので、少し攻めた生産処理にチャレンジしたいという思いが出てきました。

私たちがエル コロリド(EL COLORIDO)というオリジナルプロセスのロットシリーズを作っているのは、ニューオリエンテ・コリス・ハラパに位置するナランハレスという農園になります。農園の標高は1535-1640m、栽培品種はパチェ40%、パカス25%、カティシック20%、カトゥアイ15%が植えられている区画になります。

▼エル コロリド オリジナルプロセスができるまでの記事はこちら

この農園の特徴はふたつあって、一番の特徴はメインで栽培されているパチェという品種。この品種はティピカの変異種で、グアテマラでは珍しいトロピカルフルーツのようなフレーバーをコーヒーにもたらしてくれます。
もうひとつの特徴はカティシックというハイブリット品種が植えられていることです。ハイブリット品種は病害虫に耐性を持っていますが、酸と糖分が少ないため品質があまり高くないと有名です。しかしながら、厚みのあるマウスフィールはとても魅力的なポイントだと思います。

生産処理では、このパチェとカティシックの良い面を生かすにはどうしたら良いか?というのを考えています。昨年はナチュラルとウォッシュでそれぞれアナエロビックプロセスのロットを作成しましたが、今年はより環境負荷の低い水を使わないようにハニーとナチュラルで作成しようと考えています。これを念頭にどのように発酵処理を行うかが味作りでは大切です。

昨年はウォッシュではチェリーの果皮果肉を剥いた状態でpH3.8までアナエロビックプロセス、ナチュラルはホールチェリーのままpH4.1までアナエロビックプロセスを進めました。今年はチャレンジということで、少し複雑に発酵プロセスを行っていきたいと考えてます。

アナエロビックプロセスを仕込んでいます


ハニーアナエロビックプロセス

こちらは果皮果肉を剥くところは変わりませんが、剥いた果皮果肉を一緒にタンクに詰め込み発酵しようと考えています。アナエロビックプロセスは二酸化炭素の多い環境下(嫌気状態)にすることで、果皮のポリフェノールと言ったフェノール系の成分の溶解が進みやすくなり、ワインを思わせるフレーバーに寄与します。この恩恵を受けるためにも果皮との発酵は不可欠だなと考えました。マセラシオン(漬け込み)の時間も十分に取りたいところではありますが、嫌気状態を長く続けると不快なフレーバーを生じる酪酸発酵に入る可能性があります。
ここを避けるために適切なタイミングで好気性発酵にシフトしたいと考えていますが、どのタイミングでシフトするかはこれから考えることになります。出来上がるテイストは少し赤みがかった黄色のイメージでしょうか。

ナチュラルアナエロビックプロセス

ナチュラルプロセスは過発酵を避けたくこれまでは恐る恐るプロセシングをしてきましたが、今年は温度に注意しながら、しっかりと発酵のプロセスを行いたいと考えています。アナエロビックによる二酸化炭素環境下に置くのは同様に、ナチュラルプロセスのロットではより滑らかなマウスフィールと奥行き乳酸発酵も促したいと考えています。発酵もpH4.1で止めていたところをPH3.5ほどまで、しっかりと発酵をかけていきたいと考えています。少し怖いですが、美味しくなることを願っています。


エルサルバドルの訪問

継続した買い付け

こちらも今年で3回目の訪問になります。昨年から引き続き、ミレイディとトレス ポソス、ピリネオス、ブエナ エスペランサを伺い、継続して購入することを考えています。どんな品種、どんなプロセスのコーヒーを買い付けるかは、現地でカッピングをして決めます。「今年はどんなコーヒーが来るのか?」毎年の楽しみにしていただけるととても嬉しいです。

▼昨年度の訪問記でも4つ農園を紹介しているのでぜひ読んでみてください


新規開拓 -高標高エリアとボリュームロット-

これらに加えて、新規開拓も考えています。

ひとつはチャラテナンゴの高標高エリア。ミレイディ農園のノレルヴィアさんが持っているボニータ農園、2023年のCOEで単独落札をしたサンタ フェと言った農園があります。昨年までは、高標高のため収穫が遅く、訪問時にサンプルをカップすることができていなかったのですが、このような農園のサンプルをカッピングしていきたいと考えています。

もうひとつはボリュームロットの購入です。ボリュームロット(ブレンドに使用するようなやや大量生産・中品質のコーヒー)は、私たちのような小規模のロースターが直接取引で購入するには、かかる間接的なコストの方が高くついてしまい、積極的に購入するまでにはなっていませんでした。(提案されるサンプル数も少なく、気にいるものを見つけられていないという面もありましたが。)今回の買い付けでは、ボリュームロットのサンプル数を増やしていただき、本腰を入れて新規の農園開拓・また産地への還元を拡大していきたいと思っています。気に入る農園が見つかることを楽しみにしています。


さいごに

公式noteをご覧いただきありがとうございました。
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