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一歩先を行く!労働契約の法的ポイントとは?

ウッドエイト社会保険労務士事務所/株式会社HCP代表の八木香苗です。
中小企業経営者や人事担当者の皆さん、前回の記事で労働契約において明示が法で義務付けられている事項があることについてお話ししました。
今回は、労働契約に関する大切な文書、「雇用契約書」および「労働条件通知書」にフォーカスを当て、その適切な作成方法と法的なポイントについて解説していきます。

1. 書面による明示の重要性
前回お話した書面による明示が必要となる各項目を含め、法で義務付けられている事項は必ず書面で明示しましょう。
口頭での説明も大切ですが、書面での契約がトラブルを未然に防ぐ最も確実な方法です。
また、労働者に契約内容を十分理解してもらうために、専門用語を避けて、平易な言葉で表記することも大切です。

2. 口頭契約も書面化を
労働契約は口頭でも成立しますが、後で内容を証明するのが難しいため、可能な限り書面化しましょう。
仮に緊急で口頭での合意を得た場合も、後日正式な書面を作成し、両者で確認、署名を行うことをお勧めします。

3. 更新や変更時も書面で
労働契約を更新する際や、就業条件が変わる場合も、その都度新しい書面を作成するか、既存の契約書に変更点を明記し、再度両者の署名を得るようにしましょう。
これにより、更新や変更の内容も正確に記録として残すことができます。

4. 雇用契約書と労働条件通知書の違い
「雇用契約書」と「労働条件通知書」の違いですが、一言で言えば「署名捺印の有無」になります。
内容的には両者に大きな違いはなく、主に契約の成立方法とその形式に差があります。
雇用契約書は、労働者と使用者双方が合意した内容をもとに、双方で「この内容に合意しました」と署名や捺印を交わす形式をとります。
一方で、労働条件通知書は、使用者が一方的に労働者に渡す書面となります。
そして、実務上は「労働条件通知書兼雇用契約書」として一つの文書にまとめることも多く、これが法的にも認められています。
何らかのトラブルが発生した際、「そんな書面はもらっていない」や「本当の契約内容はこうだった」といった争いが起こることがあります。
こうした事態を防ぐためにも、労使間で「この内容で契約が成立した」という証拠となる雇用契約書が優れていると言えるでしょう。

労働契約する際、上記のポイントを踏まえながら、労働基準法に則った内容を明示し、双方が納得の上で署名をすることで、将来的なリスクを大幅に減らすことができます。
法的な要件をクリアしつつ、実際のビジネスシーンでも安心して利用できる契約書作成を心がけましょう。
経営者の皆さんも、是非参考にしていただき、企業と労働者双方が安心して働ける環境を作っていきましょう。

こちらの記事が皆様の労働契約に役立つことを願っています。
もしも具体的な事例や更なる詳細をお求めの場合は、お知らせくださいね。

お問い合わせはウッドエイト社会保険労務士事務所まで。
https://www.woodeight.com/

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