イギリスでムスリム女性を主人公にした前代未聞のドラマが大ヒットしている。

今年度の英国アカデミー賞（BAFTA）TV部門で、作品賞、脚本賞、女優賞を含む6部門にノミネートされ、脚本賞を含む３部門での受賞を果たした。

まずは、この映像を見ていただきたい。

いかがだっただろうか？

ベールを被りながらエレキギターを奏でるムスリム女性

主にサウジアラビアの女性が着る全身を黒で覆うアバヤ姿でタバコを吸うムスリム女性

（翻訳の影響もあるが）淫語を連発するムスリム女性

わずか2分程度の映像ではあるものの、これほどまでに「前代未聞」という表現が適切な作品はないだろう。

この作品の監督・脚本を手がけたニダ・マンズールはパキスタン系ムスリム家庭の出身者だ。ロンドンのムスリム・コミュニティで育ったマンズール監督自身の経験が作品に反映されているのは間違いないだろう。

あるインタビューで「抑圧された犠牲者のように取り上げられることの多いムスリム女性のイメージを覆し、本来の姿を見せたかった」と答えていたように、これまで映画やドラマでタブー視されていたムスリム女性の日常の裏側までリアルに描いているだけでなく、ファッションやキャリアプランなどムスリムの多様性を描いている点も非常に興味深い。

そして何よりも、ムスリム女性であるマンズール監督が、タブーとされていたムスリム女性のリアルな姿を描いた作品を手がけたという事実はドラマとは別の興味深い１つの事実ではないだろうか？

現在、このドラマを国内で視聴できるのは「スターチャンネルEX」のみとなっている。

この作品のせいで、また１つ 私のサブスク契約が増えてしまった。

Text by Nasser