論文紹介#5:革新的な血液検査⁉ ”Non-invasive early detection of cancer four years before conventional diagnosis using a blood test”
こんにちは。飛び級で大学院に進学し、幹細胞を使って研究を行っている土屋諒真です!
勉強の一環として毎週1本ずつ論文の紹介をしています!
(今回は簡潔に!を意識してみました、、!)
今回は「がんを検出するための血液検査」に関する論文のご紹介です!
従来より早い段階でがん検出を行うことができる血液検査の可能性を明らかにしており、今や日本人の2人に1人はがんになる時代ですが治療法も確立されてきていますので、早い段階で分かれば治せる確率の向上に繋がるのではないでしょうか!
ぜひご覧ください!
論文はこちら
Chen, X., Gole, J., Gore, A. et al. Non-invasive early detection of cancer four years before conventional diagnosis using a blood test. Nat Commun 11, 3475 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-17316-z
あくまで僕の理解と解釈、見解ですので、間違いがあった際には教えて頂ければ幸いです。また、著作権には細心の注意を払って配慮をしておりますが、何か不備がありましたらご連絡をお願いいたします。
要約
PanSeerという手法が、従来の腫瘍診断法よりも早く腫瘍を検出できるか評価したのがこちらの実験となります。
遺伝子の特定の領域がメチル化される(遺伝情報が不活化される)ことでがんの抑制能力が下がることが知られており、その特定の領域がメチル化されているかどうかを検出するのがPanSeerです。
PanSeerを用いたところ、従来の診断法よりも最大で4年早くがんを検出することを発見しました。
方法と結果
血液サンプルが長期保存されている人を被験者として複数年(最低5年)にわたって長期的に観察しました。
採血時には健康と診断された(過去)が、採血から時間が経ってガンが診断された(現在)タイミングで、該当する被験者の保存されていた血液サンプル(過去)をPanSeerで解析しました。
その結果、従来の方法では採血時にがんと診断されていなかったのですが、今回のPanSeerではその保存されていた血液でガンであると診断されました。
採血から最大で4年経過したのちにガンを発症した被験者のサンプルからガンが検出されたという記述もありました。
つまり長期保存されていた血液サンプルでも最大4年早くガンがわかったということです。
詳しくは割愛しますが、がんの検出精度も高い(約9割)ことがわかりました。また、PanSeerが多くのがんの発症に関連していると考えられる特定の遺伝子のメチル化の有無を検出していることから、今回は5つのガン(胃、食道、大腸、肺、肝臓)のみの調査でしたが、そのほかの多くのガンにも有効なのではないかと考察されています。
まとめ
PanSeerは高い検出精度を持ちながら、従来のがん診断法よりも最大で4年早くがんを検出できるという画期的な技術であることがわかりました。
ただし、このPanSeerは、”すでにガン細胞を持っているが従来の診断法では検出できないレベルのガンを診断できる”というものであり、ガンを”予想”できるわけではないということには注意していただきたいと思います。
とはいえステージや腫瘍の部位には寄りますが、4年早く検出することで、より低いステージで早く治療を開始できるので、生存率を伸ばすことができるようになるのではないかと期待できる技術なのではないかという感想を持ちました。
今後の発展に注目したいです!
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