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顔を見分けるのが苦手な話

こんにちは。あすぺるがーるです。


私たちは日々、たくさんの人に出会います。

そのうえで、たくさんの顔を覚える必要性に直面しています。


しかし、その「顔を覚えること」がどうしても苦手な人が一定数います。


今日は、「顔を覚えることが苦手」な人についてお話しようと思います。


相貌失認

相貌失認は、人の顔を認知したり区別したりすることができないという障害です。

ただ顔と名前が一致しないだけではなく、顔を見ただけでは、どこで会った/見た、どんな人かも思い出せないのです。


重度の場合、両親や近しい友達、自分の子どもなど、決して存在を忘れることがないような人の顔さえ覚えられないこともあります。


相貌失認の症状と困りごと

相貌失認の人は、人の顔「だけ」認識できないのです。

視力が極端に悪いわけではないですし、人の顔以外の物や形は認識できることが多いです。


相貌失認でない人は、友人や家族の顔がちらっと見えれば、それがだれなのか気づくことができます。しかし、相貌失認の人にとっては、自分含めたすべての人の顔が同じように見えてしまい、顔をちらっと見ただけではそれが誰なのか判断することができないのです。  相貌失認とは?症状、原因、相談・診断・受診先から、発達障害との関わりについて解説します 

症状の程度も、日常生活を送る上ではさほど差し支えのない軽度から、身内の顔さえ分からなくなる重度まで幅広いです。


顔が覚えられないことによって、以下のような困りごとを抱えることがあります。

・ドラマや映画で、登場人物の見分けがつかずストーリーが分からなくなってしまう
・待ち合わせの場所で相手を見つけることができない
・以前あいさつしたことのある人に対して、失礼な対応をしてしまう
・学校や職場でよく会う人であっても、ふだん会わないような場所だと無視してしまう
・子どものお迎えにいっても、自分の子どもを見つけられない
・知人に肩を叩かれたときに、不審者に叩かれたかのような反応をしてしまう

相手が顔を忘れられることにマイナスの感情を抱いてしまうことで、相貌失認の人は社会的関係に大きな困難をきたすことがあります。


発達障害との関係

発達障害当事者さんには、「顔を覚えるのが苦手」な人が多いです。


実際、発達障害の特性のうちのひとつに、相貌失認と共通する特徴があります。

それが「中枢性統合の弱さ」です。


中枢性統合とは、情報量が多いものを認識するときに、それを個々の情報の集まりとしてではなく、意味を持った大きなまとまりとしてとらえようとすることをいいます。

これが顔を認識するときに現れると、相貌失認の人が顔を認識しようとするのと似たような状態になります。


人の顔を認識するときに、目や鼻など個々のパーツだけを見る人は、そうそういないでしょう。

顔を構成しているパーツの組み合わせを大きなひとつのまとまりとして認識することで、覚えているはずです。


しかし中枢性統合が弱いと、見ているものが顔だと分かっても、誰の顔かを判別するときに個々のパーツに注目してしまいがちです。

そのため、結果的に顔が覚えられなくなってしまいます。


もちろん中枢性統合の弱さもしかり、発達障害の特性の出方は人それぞれなので、発達障害だからといって顔が覚えられないわけではありません。


私自身の症状

私は全く人の顔が認識できないわけではありませんが、それでも人の顔を見分けるのに他の人より格段に苦手です。


何回も会うような親しい人の顔こそ覚えられるものの、「1〜2回会って大して話してない人」の顔や、名前こそ有名でもよく知らない芸能人の顔はどんどん忘れていきます。

イケメン系の男性グループ(特に若年層)とか韓流アイドルとかAKB系列とか、本当にみんな同じ顔にしか見えません。


海外の俳優さんはもっと見分けにくいです。

初めて「グレイテスト・ショーマン」を見たとき、↓のサムネの女の人が

↓の女の人と同一人物(アン・ウィーラー)なのが、本当に分かりませんでした。

服装変わりすぎ…


あと、チャリティー・バーナム(Never Enough 0:17)とジェニー・リンド(Never Enough 白ドレスの人)も、主人公と2人だけのシーンだと見分けがつきませんでした。


顔単体だとこの有り様なので、普段人を認識するときは顔よりも名前や声の高低、話し方や話の内容に頼っています。

しかし、その方法を取るにも時間を要するので、一気にたくさん覚えられるわけではありません…


相貌失認の対処法

相貌失認は根治することはできません。


そのため、もし可能なら私の例のように顔以外の情報で人を覚えられるようになると、多少は人の区別がつきやすくなるかもしれません。


顔以外の情報で人を認識するのも困難な場合は、周囲の人に相貌失認であることを伝えておくのも一つの手です。

例えば、『レナードの朝』などの著作で知られる神経科医オリヴァー・サックスも相貌失認であることを告白しています。
サックスの助手は、サックスのもとを訪れる人に対して次のように伝えていたそうです。
「あなたのことを覚えているかどうか、先生に訊かないでください。覚えてないって言いますから。お名前を名乗って、自分が誰かを先生に教えてあげてください」
また、サックスにもこのように言っていたそうです。
「ただ覚えていないと言うのはだめですよ――失礼ですし、人は気を悪くします。『申し訳ありませんが、私は人の顔をちっとも覚えられないんです。自分の母親の顔さえわからないんですよ』って言ってください」
出典:『心の視力ー脳神経科医と失われた知覚の世界』p104

とりあえず「悪意があって人の顔を忘れたフリをしているわけではない」ことが周りの人に伝わればいいのかな、と思います。

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