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続・インボイス制度は「フリーランスへの死刑宣告」なのか?

こんにちは、ひらっちです。すみません、記事更新がすっかりおろそかになっておりましたが、皆さんはいかがお過ごしですか? 僕はなんだかずっと忙しいです(苦笑)

今年は色々とやりたいことを考えていたんですけど、年初のバタバタが全然挽回できずに今に至っているといった感じでしょうか? 仕事が続くのはありがたいけれど、「やりたいことをやるなら断ることも必要だなぁ」と最近考えたりします。やっぱり一番大事なのは「時間」だよね。

<いつものように簡単な自己紹介です>

僕は、地方国立大学を卒業後、ブラック企業で営業マンを経験。その後、フリーランスのライターとして独立開業、さらに数年後、新規就農して農業をスタートさせ、2020年現在、好きな仕事を選びながら人生を謳歌する「ほぼセミリタイア生活」を実践しているアラフォーです。

このnoteでは、特に20・30代のビジネスパーソンの皆さんに、僕の経験に基づいた「人生を楽しく過ごすための技術」を提供し、少しでもたくさんの方に「幸せな毎日」を掴んで欲しいと考えています。どうかお付き合いください。

現在、『マイナビ農業』で不定期連載中。先日の予告通り、6月に入って記事が2本アップされました。よかったらぜひご覧くださーい(^^♪

■フリーランスの皆さん、インボイスの登録はお済みですか?

あらためまして、ひらっちです。今日は「インボイス」について改めて考えてみたいなと思います。

フリーランス・自営業者のみなさん、インボイスの登録は済ませましたか?

僕はもともと消費税の課税事業者なので早々に登録を済ませましたが、下記の日経新聞の記事によれば、免税事業者のうちで登録を済ませた人は、たったの1割なんだそうな。

1割なのかぁ~。もう少し登録していると思ったんだけどなぁ。僕のところには、次から次へと「登録していますか?確認」が届いていますが、大半の人が「登録しません!」と返答しているのだろうか? うーん、なかなかすごい状況ですね。

インボイス制度については、このnoteでも1年以上前にテーマとして取り上げました。「死刑宣告」なんて刺激的なフレーズを使ったのは、おそらくそれくらいインパクトが大きい内容だと思っていたから。そして案の定、ここ数カ月でかなりの騒ぎになってきました。

でもなぁ~。正直、このタイミングで騒いでもだいぶ遅いよなぁ~。さすがにここまできて大幅に制度が見直されることはないでしょうし、いかにうまく乗り切るかを考えた方がいいフェーズに入ったと思います。本当にもうすぐですもんね。。

■今一度、インボイス制度についておさらいしてみよう

ところで、インボイス制度について「そんなの、全然知らないけど?」という方はさすがに少数派だと思いますが、いまいち分からない人もいると思うので、簡単に解説しておきますね。

そもそもの発端は「消費税の導入」にあります。当時、ものすごい世論の反発があり、国は小規模事業者に対して「消費税を免除してあげるよ!」という制度を設けました。「免税事業者制度」というものです。

通常、お客さんに請求した消費税は、きちんと申告して納税します。例えば、1000円のものを販売し、お客さんから受け取った100円の消費税は、ちゃんと納税しないといけません。「お客さんから一旦預かったもの」ですからね。

ところがです。「免税事業者」の場合、このお客さんからもらった消費税を納める必要がなく、そのまま自分のものにできちゃうわけ。すごいですよね? だから「あえて免税事業者になるために売上を抑えよう!」という人が出現するくらい、めちゃくちゃお得な状態が続いていました。この「もらえちゃう消費税」のことは、通称「益税」と言われています。

サラリーマンの人からすると「ええ?なんだかズルくない?」という制度だですが、特に起業したばかりの経営者などにとって、この「益税」は非常に助かる制度だったわけです。

売上1000万円を超えているかどうかの算定基準は「2年前」なのがミソで、起業間もない頃は2年前の売上が存在しません。なので、初年度から頑張って売上を上げちゃえば「益税でがっぽり!」みたいなことも可能だったわけです。

消費税は当初3%でした。でも、段階的にパーセンテージが引き上げられ、10%になった現在は、この益税がものすごいことになっています。そこで今回、この益税にメスが入り、「買い手でも売り手でもどっちでもいいけど、ちゃんと消費税を負担してくださいね!」という形になったよ…というのがインボイスの全体像です。

あくまでざっくりした全体像のお話しをしているので、詳しい制度のことが知りたい人は、ググってみてくださいね!

今回、インボイス制度がワーワー騒がれているのは「ずっと売上1000万を超えておらず、益税をあてにしていた免税事業者の人たちの生活が苦しくなる」というのがメインの理由のようです。

このあたりにフォーカスを当てて、週刊東洋経済という経済誌がインボイスの特集を組んでいるので、詳しく知りたい方は一読してみると役に立ちそうです。

「雑誌を買うまではちょっと…」という方は、そこで掲載されている漫画の解説などがネットでも閲覧できますし、関連記事が東洋経済オンラインに転載されているようなので、色々と調べて読んでみるといいかもしれませんね。

■インボイス制度以後、フリーランス界隈に何が起こるのかを改めて考えてみる

僕自身は、インボイス制度の導入をどう見ているのか。これまでのフリーランスの現場経験から、以下の2つの動きが出てくると考えています。

・年間売上数万~数十万円レベルの零細フリーランスが一斉消滅

以前も書きましたが、月数万円レベルの副業的なフリーランスの場合、インボイス制度が導入され、「適格請求書発行事業者」として消費税の申告をしなければいけない状況になると、全く割に合わなくなる可能性が高いと考えています。

例えば、副業的にライターをしている場合、別途、確定申告をしなくてもいいレベルの仕事量しかしていないケースもあるでしょう。こうした人たちがインボイス制度への対応を求められても、ライター業務以外の煩雑な仕事が増え、「何をしているんだろ?、私…」といった状況になる可能性が高い。

駆け出しのライターさんを応援したいのはやまやまですが、僕がもし「今からライターを始めて小遣い程度に稼ぎたい」と思っている知人にアドバイスするとしたら、「悪いことはいわない。やめておいた方がいいよ…」と言うかもしれません。

・すでに課税事業者のフリーランスにはむしろ追い風?

上のお話とも連動しますが、おそらく今後、大量の零細フリーランスが、市場から退出することになるでしょう。

僕が主に仕事をしているフリーライターの世界では、近年、いわゆるクラウドソーシングサービスの盛り上がりによって、副業ライターが大量に出現し、市場全体の単価を下げる圧力が働いてきたと感じています。なかには違う認識をお持ちの方もいるかもしれませんが、以前からライティングを本業にしてきた人たちは、おおむね同様の印象を抱いていると思います。

これは、既存のライターのみならず、新規参入組のライターにとっても、あまり好ましい状況ではないと考えてきました。このnoteでは一貫して「ランサーズやクラウドワークスは早めに卒業しようね!」と主張してきたと思いますが、全体で地盤沈下していくのは、誰にとっても良くありません。

その点で今回、大量の退出者が出ることは「本気でライターとして頑張っていきたい!」という熱意を持った方にとっては、むしろ追い風に働く面もあると思っています。適正な単価が保たれ、ちゃんと仕事をする人に、きちんとしたルールのもとで仕事が発注される。そんな流れが改めて醸成されるかもしれないからです。

・「適格請求書発行事業者」に仕事が集中する

今のところ、公正取引委員会がかなり目を光らせていて、免税事業者に登録を促したり、登録しないことを理由に取引を終了したりしないように監視しているようです。ただ、発注者側からすれば「こっちの負担が増えるんだから、さっさと登録してよ!」というのが本音であることは間違いないでしょう。

登録済みの人、未登録の人がいたとして、もし自分が発注者だったとしたら、どちらを選択しますか? どう考えたって登録済みの人ですよね。

もちろん、余人をもって代えがたいような作家性の高い業務であれば、そんなことはないでしょうが、一般的なライターの仕事は、あらかじめ「ページあたりいくら」「1文字あたり何円」といった形で単価が決まっていることがほとんど。そうなれば、単純にコストアップにつながる未登録者を好んで使うという状況はあり得ないと考えるのが自然です。

となれば、早めに登録を済ませた人に、少しずつ業務が集中していくのは当然の帰結ということになります。

■免税事業者が取りうる選択肢はこの3つ

ちなみに現在、免税事業者である人の今後の選択肢は、主に以下の3つになるでしょう。

・免税事業者のままでいく

フリーライターの場合、相手先はほとんどが個人ではなく法人ですから、ずっと免税事業者でいくのは難しいと思いますが、同じフリーランスであっても、商売が「個人向け」であれば、相手が経費に計上することがないため、実は免税事業者のままでも全く問題ありません。なかなか「100%個人客」というビジネスも少ないと思いますけどね。

・課税事業者になってインボイス登録し、一般課税で消費税を納める

・課税事業者になってインボイス登録し、簡易課税で消費税を納める

一般的なフリーランスは、課税事業者になる選択肢を取らざるを得ないと思います。登録するのであれば、早々に済ませて「うちは登録済みですよ!」とアピールした方が、信用力アップ、既存顧客の繋ぎ留めに役立ちそうです。

上記2つの違いは、「一般課税」にするのか、「簡易課税」にするのかの違いですね。詳しくは税理士などの専門家に尋ねて欲しいですが、経費が少ない人の場合、「簡易課税」を選んだ方がお得になるケースが多いと思います。

■どんな備えや対策を講じるのがよい?

すでに書いたように、なかにはメリットが発生する人もいると思われるインボイス制度ですが、フリーランス全体にとっては大きなマイナスのインパクトがあることは間違いなさそうです。

じゃあ、どんな準備をしておけばいいのか。おそらく取りうる対策は、以前の記事でも書きましたが、以下の2つに集約されると思います。

・自分の実力を上げる

特別な特効薬はないと思います。そもそもお客様から信頼され、消費税がどうとかに関係なく「ぜひともお願いしたい!」と言われるフリーランスになれば、多少の制度の改悪に怯える必要はありません。

努力を重ねて単価を上げ、ちゃんと稼げる人になる。そもそも年間売上1000万円を超えていたら、消費税の課税事業者になるわけですから、早めにそこを目指して頑張るのが一番です。

・取引先の分散と金銭的余裕

これを機に、仕入れ業者の取捨選択が行われていくことになりそうです。また、コロナ禍により政府から相当なバラマキが行われましたから、今後も「取れるところから税金を取る」という方向性は、長期トレンドとして続いていくと思います。

コロナがもう少し収束したら、世の中のマイノリティー(相対的に選挙への影響が少ない層)である「高額所得者」や「自営業者」「フリーランス」などが狙い撃ちされるのは、火を見るより明らかです。

…と、以前の記事でも書いていたのですが、残念ながら本当にそうなってきましたね。減税方向に動いたのは「新NISA」くらいかな?

さまざまな変化に対応できるよう、売上を特定の業者に頼るのではなく分散化しておく。いざという時に「嫌なものは嫌だ」と断れるだけの金銭的な余裕を持つ。こうした備えが、あなた自身の身を助けてくれるはずです。

■まとめ

いかがでしょうか? すでに決まったルールですから、年間売上1000万円以下で「益税」の恩恵を受け続けてきたフリーランスの方々は、おそらく「適格請求書発行事業者」となる以外に選択肢はないでしょう。

また、これからフリーランスとして独立される方も「創業時のボーナスはもう終わった…」とあきらめて考えるしかないと思います。人間には「アンカリング」というものすごく強いバイアスがかかるため、「なんだか損した」と思うかもしれませんが、「むしろこれまでが変だった」と切り替えて、一気に売上1000万円以上を目指して頑張っていきましょう!

変化が起これば、そこには何かしら別の突破口やチャンスが生まれてくるものです。後ろ向きになりがちな事象でも、視点を変えることで、どこかに光明を見出していく。そんな姿勢を大切にしたいものですね!(^^♪

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