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【ドラマ感想】「日曜の夜ぐらいは…」を一気見してどハマりした件

最近のドラマでは1~3話までが一定の期間まで無料で見れるという神期間がある。silentにはまっていた頃はその期間を存分に活用して4周はしたことを会社の同僚に話した際には若干引かれたわけだが、とにかく最近のドラマはリアルタイムや録画という機会を逃した時の救援策が万全なのが有難い。
時に、無限まやかしリスナーである僕は、見逃しつつも今期NO1ドラマという見出しに惹かれ、YouTubeでの「日曜の夜ぐらいは…」の感想動画を見ておきながら、見逃し見逃しで来てしまっていた。既に4話まで放映済みだった今ドラマの視聴期限は、今筆を執っている日曜の22時54分までだった。
時間がない!!そう思い、日曜の昼ぐらいは…と4話までを一気見した。
案の定、ドツボにはまったのだ。

展開の読めない物語、1話と4話とではもはや別物

まずはドラマのあらすじについて話そう。これでまとめることは到底不可能ではあるが、完結に言えば「ラジオのツアーをきっかけに知り合った、それぞれ問題を抱える女の子3人が、宝くじ当選をきっかけに友情を育み人生を歩んでいく」というお話になるだろうか。
ただ、一言付け加えるとするならば、1話を見ただけではこのドラマの主軸のストーリー展開は読み解けないという特徴がある。
普通テレビドラマの1話と言えば、60分のストーリー内で起承転結を紡ぎ、大方のストーリーのテーマ性を視聴者に理解させるのが定石だろう。少なくとも、僕はそうだと思っていた。
だが、このドラマで言えば、1話を見ただけでは、このドラマの主軸のストーリーは読み解けないのではないか?と思っている。なぜならば、1話のラストは友情を拒絶するラストだからだ。

1話では、それぞれの女の子3人の生活のバックボーンを明らかにしつつ、共通で聴いているラジオ番組のバスツアーでの1泊2日を描いている。主人公のサチは車椅子の母と一緒に暮らしバイトに明け暮れる日々の中で、同じように友達のいない2人と出会い、自然と笑えるようになる。しかし、彼女には徹底して「幸せ体制」がなく、幸せを受け入れることが出来なかった。
最終的にバスツアー終わりにLINE交換をしようとなった2人に対して、「楽しかったから、このまま楽しいまま終わりにしよう」と言って、涙しながら別れて終わるのだ。
ドラマのキャッチコピーが「恋愛なんか奇跡じゃない。友情こそが奇跡だ。」となっているのに、友情を紡げずに(なんなら可能性を拒絶して)終わってしまうという展開なのだ。

正直に言えば、この1話を見終わって、「なるほど、そうやって別れた3人が徐々に友情を紡いでいく話なんだな」と思ってしまった。だが、2話を見てその予想は飛んだ甘い考えだったことに気づかされた。なんと2話で再度開催されたバスツアーで3人は再会し、抱きしめ合うのだ。
そして4話まで見ていくと、あの1話が嘘かのように親友のような関係性になっているのだ。

はいはい、こうやって進んでいくのね。なんて感想を一切抱かせてくれない、「マジか、そう来る?!」となってしまうのが、このドラマの1番の衝撃であった。

徹底したリアリティと、これまで体験したことはない出来事の絶妙なバランス

また、このドラマで感じたのが絶妙なリアリティさ加減だった。
まず1番リアリティだなと感じたのが、宝くじの当選金額である。主人公のサチが引き当てた宝くじの当選金額は、1等であるものの「3,000万円」だったのだ。こんなこと言ったらお金持ちと思われるかもしれないが、僕が論点にしたいのは1億や3億といった一般的な宝くじで思い描く夢の金額でないことである。
この肝が、「人生が劇的に変わる金額でない」ということだと思う。それを象徴するシーンだったのが、若葉の祖母との会話である。祖母の手放した家を買い戻すならいくらかと聞き、祖母からは7,000万円と返される。
サチは宝くじ購入の時に話していた「3人で山分け」という言葉を守り、3人で1,000万円ずつに分ける。つまりそれぞれが簡単には手に入らない「1,000万円」という大金を手にするのだ。しかし、若葉がしたいと思った祖母の願いを叶えるための金額にはその7倍もの金額が必要なのだ。
1,000万円という大金を、僕も手にしたことはない訳で、おそらく多くの人がポンと1,000万円の大金を手にするという出来事は体験したことがないだろう。しかし、1億という金額よりも少しだけ現実味を感じられるラインなのではないかと思う。そして1,000万円という大金を手にしたところで人生が華やかに一変したり、夢のような生活が送れるなんてことはない。
そういう意味で、体験したことのない大きな出来事を主人公たちに与えつつ、「そんなのドラマの中だから」と突き放すような目線にならない絶妙な「夢はあるけど想像できそうなライン」を攻めているところに、このドラマ特有の没入感と共感性を抱いて、とにかくすごいと思ったのだ。
この絶妙なバランス感が、ありそうでけれども物語として見進めたくなるような好奇心をくすぐる、最大の特徴かもしれない。

4話の衝撃、「見るの辛い」から「笑顔のラスト」

僕は日曜の昼から1話から4話までを一気見したのだが、一番印象に残ったのが4話だった。
とにかく感情がジェットコースター並みに上下移動、急上昇急降下を繰り返すのだ。やるせなさ、微笑み、むなしさ、喜び。感情のプラスとマイナスが交互に行きかう様なドラマの様は、まさにエンターテイメントと言っていいだろう。
特に序盤は酷いもんだった。とにかくどん底に落とされるレベルのやるせなさに、見るのをリタイアしてしまいそうになる。
サチの父親、若葉の母親が登場するのだが、双方とも子供である彼女らのことを「金を差し出す対象」としてしか見ていない様はとにかく胸をえぐられた。正直これだけでもお腹いっぱいになるわけだが、このドラマの凄いところは、そこから3人の楽しい東京での再会を描くのだ。
ここは正に楽しさMAXである。3人はとにかく楽しそうに再会して抱き合い、おしゃれなカフェで楽しそうに食事する。なんて良い友情関係なんだ…。
そう思っているのも束の間、彼女らの「過去の友情」の話が回想として差し込まれる。こちらに関しては、全てがどん底である。
友情話で一気に高低差つけるって何?と思ったのは、きっと僕だけではないだろう。さらに言えば、その話のリアリティもすさまじい。「友人に思ってもいない酷いことを言ってしまった」「陰で友人が自分のことを笑いものにしていた」「陰で友人にハブられていた」という、誰もが多少は経験したことある、もしくは経験する辛さのわかる出来事を、最大級の最悪のシチュエーションで描いているのだ。だからその分、彼女らの絶望が酷く心に突き刺さるし、彼女らの友情物語に、強く胸打たれるのだ。
そして最後には、彼女らは宝くじで得た3,000万円をカフェの起業に使おうと消め、更にもう1人の重要人物である「みねくん」への貸しをコンビニで返そうとするシーンで終わる。
友情を諦めていた3人が、友情を手にし、最後には新しい友情を分け与える。まさか序盤の数分を見ていた自分が、こんなラストを見れるとは…。
だから、このドラマはたまらないのだ。

想像できない物語の進行が、楽しみでならない

かくして、僕はこの日曜日という1日を通して、「日曜の夜ぐらいは…」にドはまりしたわけである。
日曜の夜に関しては、更にもう1本、「だが、情熱はある」という熱いドラマも待っている。友情と情熱。どちらも強く胸を打つ物語だ。
日曜の夜は、友情と情熱で心を満たすことになりそうだ。

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