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ミスコンの水着審査とMetooと

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アメリカで最も長い歴史を持つミスコン「ミス・アメリカ」では、昨今のMetooなどの運動の影響を受けて今年の大会から水着審査を廃止することにしたそうです。

……これは「Metoo」の考え方を曲解しているように思います。Metooの本質はミスコンの水着審査を否定するものでも、ましてやミスコンそのものや容姿で競い合うこと・容姿で仕事をすることを否定するものでもないはずです。

この解釈で水着審査を廃止するのであれば、ミスコンそのものも廃止しなければならないはず。

毎年多くのコンテストが開催されています。コンテストのテーマはそれぞれ異なりますが、ミスコンとは大雑把に言うと外見の美しさだけでなく内面の美しさを競う大会です。外見にも内面にも女性らしい美しさを求められます。容姿だけで人を判断するような大会ではありません。

女性が自らの女性性に誇りを持ち、女性らしさを磨き上げ、それを競い合うことのどこが「女性蔑視」なのか。生まれ持った素質を磨き上げ競い合う場所なんてこの世の中どこにでもあります。ミスコンもその中の一つであると考えれば、女性蔑視なんかではないことも分かるはず。「女性蔑視だ」と批判してしまうのは、ミスコンを全く理解していないと言えます。

そんなミスコンの中での水着審査だって、決して女性の肌の露出度を楽しむものではありません。ファイナリストたちは自分の持てる「女性らしい美しさ」を最大限にアピールするために水着を着ています。

私自身も過去にミスコンに3度出場し、水着姿でステージを歩きました。私は自分がミスコンに出たことを誇りに思っているし、水着姿で人前に立ったことも一切恥じてもません。いくらセクハラや性犯罪に対する意識が社会の中で高まってもミスコンはなくならないで欲しいと願っています。

あのステージで素晴らしい仲間に出会えたこと。あのステージを経て自分の人生を生きる覚悟が決まったこと。……将来子供ができたら自慢したいくらいです。

それにかつての仲間たちの中には、モデルとして活躍するために渡欧する人もいたり、起業する人もいたり、結婚してからミセスコンで世界大会に挑戦しようとしている人もいます。私だって今、ミスコンを経た結果作家として活動しています。

ミスコンをステップに自分の志を明確にし、果たそうとしている人はたくさんいます。

けれどもファイナリストの女性たち・運営に携わる人たちと観客との間には考え方に大きな差があるのは確かです。観客、つまりミスコンの情報を追いかけてSNSなどでファイナリストたちに接触しようとしてくる人たちの中には、ミスコンを「きれいなお姉さんの品評会」くらいにしか考えていない人たちが多いということに、私はミスコンを引退した後気づきました。

「ミスコンが好き」という人の多くは言いかえれば所詮「きれいなお姉さんが好き」という人でしかありません。スマホの画面の中できれいなお姉さんたちが自撮りや水着姿の写真をあげているのを見て満足してしまう。「頑張ってください。応援してます」などの優しい言葉をかけることはあっても決して相手の女性の本質を見ようとはしません。

私はミスコンと並行して作家として活動してきましたが、私のミスコン挑戦の本質を一切見ようとしない「ファン」を名乗る人たちにはたくさん苦しみ葛藤してきました。

一見「頑張って」などの優しい言葉をかけているかのように見えても、相手がやっていることの本質を全く無視しているのは、結局相手を下に見ているにすぎません。かけている言葉が優しくても、それは女性として見下していると捉えられることもあります。

大会の本質を理解しようとしないこと、ファイナリストたちの本質を理解しようとしないこと。それこそがセクハラであり、女性蔑視です。

女性らしい美しさを競い合う目的で作り上げられた写真やステージを、所詮は「ウホッ!きれいなお姉さん」としか見ていない人たちが多すぎます。大会の本質、出場する女性たちの志を理解しようとせず、女性の容姿や露出度の高い水着姿を見るだけという観客こそが「女性蔑視をしている」と言えるでしょう。

ファイナリスト、運営、観客。それぞれの大会に対する思いの間には温度差がありすぎます。水着審査を廃止することではなく、この温度差を埋めることこそが時代の流れに沿っているのではないでしょうか。

私は全ての人が自分の性別に誇りを持てるようになったらいいと思っています。みんなが自分の生まれ持った性別を誇りに思って暮らせる社会はきっとみんなが生きやすい社会です。

ミスコンは女性が生まれ持った女性らしさに誇りを持ち競い合う場所。Metooの運動も盛んになり、多様性を受け入れるべき社会に変わりつつある今の世の中からこそ、これからも開催され続けるべきイベントだと思っています。





私のミスコン体験をまとめた本がkindleで読めます。

ミスコンを「女性蔑視だ」と批判する前に、水着審査を廃止する前に、読んでいただきたい作品です。

ミスコンの本質を、自らの女性性を誇り戦うファイナリストたちの本質を知る小さな材料くらいにはなると思います。


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