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【超ショートショート】繋がる道路

この道路のことを知っている人は少ない。ましてや「その道路がどこにあるのかを知っている人」となれば、その数はさらに減るだろう。

この道路は人が「人と繋がりたいという願い」を叶える道路だ。

この道路の脇にある電信柱から電信柱の間(約7mほどの距離)を、繋がりたい人のことを強く頭にイメージしながら歩く。その際に目を開ければ繋がることは叶わない。

もし電信柱の間を誰にも見られることなく歩き切ることができれば、自分の願った人となんらかの形で繋がることができる。そんな道路があるのだ。


今日もまた一人。この道路を歩く女性がいた。眉間に皺を寄せ、瞼をピクピクとさせながら歩いている彼女は20代の半ばくらいだろうか。

ゴールとなる電信柱がどのあたりにあるかわからないので、思っているよりも長めに歩いているようだ。彼女はゴールの電信柱から3mほど先に進んだところで、眉間に皺を刻んだまま恐る恐るまぶたを持ち上げた。

周囲を見回したが電信柱が見当たらない。少し焦った様子で振り返ると、ゴールの電信柱が立っていた。

肩の力が抜けるとともにこぼれた息が、冷たい空気の中に溶けて消えた。周りで見ている人はいない。どうやらうまくいったようだ。


「噂は本当だったのか」と彼女の見開かれた瞳が語っている。目の前には数日前、目を瞑りながら歩いている時に思い描いた顔があった。

彼は少し悲しそうな顔でゆっくりと彼女の方に手を伸ばした。

「カチャ…」

彼女の手首には手錠がかけられていた。手首を見つめる彼女の目から一筋の涙があふれ出した。

彼は手錠のもう片方を自分の手首に繋いだ。(終)



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書くおとこ

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