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経過と、書くこと

自室に戻って椅子に座り、デスク上に置いてあるテキスト入力マシンのポメラを立ち上げてタイピングを始める。デスクの奥の方にあるBRAUNの白い置時計をみると午後4時11分になっている。

2時半から外に出て走り、帰ってきてからシャワーを浴びる。冷蔵庫に半分ほど残ったジンジャーエールをみつけて、飲んでも良いの、とダイニングにいる家内にきくと、どうぞ、と言うので、ペットボトルのキャップを取って口に運んで一気に飲み干す。喉が潤ったかというとそうでもなくて、まだ喉が渇いている。

BRAUNの置時計が4時15分になっている。今日も一日が過ぎて行く。いったい何をしていたのか。午前中は母が入所している施設に物資を届けに行った。施設からの帰りにカレー屋に寄ってテイクアウトでカレーとナンのセットを4食分買った。4食分は家内とぼくの分で、今日のお昼と明日の夜に食べる予定で。家に帰ったのは1時半くらいで、それからカレーとナンをあたためて二人で食べた。休憩してから、走ることにして外に出た。

走っているとスピードを上げたくなって、いつもより速く走る。当然息が切れてくる。歩いて息を整える。息が整うとまた走り出す。いつもより速いスピードで。少し先にみえる交差点の歩行者用信号が青になっている。このままのスピードで走れば間に合うかも知れない。でも間に合わないかもしれない。さらにスピードを上げてみる。息が上がってくる。腕を振る。足を前へ。青信号が点滅する。横断歩道の途中で信号が赤になる。渡り切ったと同時に背中の方で車が行き交う音がする。スピードを緩めて歩いて息を整える。いつもよりスピードを上げて走り、息が上がると歩いて整え、またスピードを上げて走るを繰り返す。家に帰ってくると汗びっしょりになっていた。

それで、シャワーに入って汗を流して、ジンジャーエールの残りを飲み干して、デスク上のポメラを開いてタイピングし始めたんだけど、BURAUNの置時計は4時28分になっている。これから川沿いの道を歩いて図書館近くの珈琲店に珈琲豆を買いに向かう。そこで珈琲を飲みながらタイピングの続きをしようと思う。

最近、書く、という意識から離れていたように思うので、また書いて行こうと思う。今のこと、今感じること、今思い出すこと。書きたいことを書くことができない、ということも書くことにする。そうやって今まで書いてきたし、これからも書いて行きたいから。書くことがないと書いて、書くことを越えていく感じで。ぼくはタイピングしたいから。書きたいから。

今から珈琲店に向かいます。

<了>

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