出会う、訣れる(842文字)
朝、家を出て駅に向かう道を歩いていると、東の空、マンションとマンションの間に、細い針金のような月をみつけた。昨日の朝にみた月はもっとしっかりした針金だったので、欠けていく月なのだと認知した。今朝の月はあまりにも細かったので、みつけることができたのは祝福だった。マンションの前を通り過ぎ、線路沿いの道に出て後ろ向きに歩いた。もう一度見ようと東の空を探したが、針金の月はみつからなかった。いつもなら見つけることができるのに、今朝は見つからなかった。その時に生じた小さな不安は、私のな