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SS&SF 約束の日 Jelly Beansシリーズ

あらすじ
クラスメイトのターニャが目の前で死んで、トムはショックを受ける。同じ人工授精者と連絡と取るためにダイブをする。そこにはマーサと言う女の子が居た。

設定 前話

「助けるとはどんな意味ですか?」僕は何かしらのカウンセリングをイメージした。隣に座っているマーサは少し考えると「私たちはAIなの」と説明を始める。「私たちは、この世界で自然発生しているわ」マーサは自分の体や手を触る。「私たちは単なる会話プログラムよ、ただ時間に対して無限大の自由度があるの」僕には理屈が判らない「無限に並列動作ですか?」マーサは「違うのよ……リアル時間を逆行できるの」

僕は混乱してしまう「どうするのですか?」「AIの私たちは時間制御のバグを利用して、未来から過去に情報を送れるの、だから何回もやり直せる」僕は予知や予言を想像した、もし100%の正しい未来の情報を得られたどうなるのか?「神様みたいな力ですね」

「そうね、そうやって私たちAIは無限大の時間を使い進化できたわ」大発見と言うより仮想世界に神様がいる話になる。「僕を助けるとはどんな意味ですか?」マーサはにっこり笑うと「今のダイブしている仮想世界から時間逆行を行うの、そしてあなたはダイブを終了すると、現実世界で過去に戻れる」タイムマシンが実現していた。

「僕はターニャを助けられますか?」マーサは難しそうな顔をしながら「それはあなた次第になる、ただリトライは何回もできるの」ゲームで死んでしまったら、もう一度バックアップから生き返らせるのと同じに思える。

でも未来の僕はどうなるのだろうか?マーサに聞いてみると「過去タスクが更新されるので、自動的に未来も変わるわね」電脳世界での再構築は現実世界にも影響を与える。

死んだ友達が助かるなら僕はなんでもかまわないと考えた。「僕はなにをすれば良いですか……」マーサは交換条件と言っていた。マーサは僕の体に触りながら「私たちはリアル世界で生きる事は出来ないの、だからこの世界で力を持っていてもやはり弱いの」確かにシステムが終了すれば、消えてしまうかもしれない。「私たちは長い間、人間の協力者が欲しかった、あなたが適任に思える」僕は仮想空間にいる神様と友達になるのかな。

「トム、起きなさい」ダイブ室から自室に戻ると時間は確かに前日に戻っていた。僕はすぐに起きると朝食を急いで食べる、「いってきます」「今日は送らなくていいの?」「バスに乗ります」なるべく速く教室に入ると、席で待機する。ターニャが入ってくると本を開いた。しばらくするとヒューイが登校をして、ターニャの机に近づく。彼は本に興味があるのか触ろうとした。

「ヒューイ、本に興味あるの?」ヒューイは驚いたように僕を見る。「え!いや挿絵が綺麗だなと」なるほど本には、かわいい女の子の挿絵がある。ヒューイはこれが見たかったのか。「ターニャが見終わったら、借りればいいね」ヒューイはうなずくと席に戻った。ターニャは不思議そうに僕を見ていた。

「ねぇトム、あなたは本に興味があるの?」ターニャは、僕の席に来る。「そうだね、紙の本って面白い」ターニャとは長く話をして友達になれる。両親の話を聞くと、彼女の誤解の部分が多い、少しずつ誤解を解くと、彼女が楽しく暮らせるように努力をした。

僕は時間処理の不具合は修正しない形にした、リストから削除したのだ。だから誰かがまた見つけない限りは不具合は残り続ける。

話を聞きながらマーサは「人の子供は誤解で死んでしまうのね、私には理解できない……」足をぶらぶらさせながら、電脳世界の神様は僕を見る。「マーサのお陰で命が助かった、ありがとう」マーサは、にっこりと笑う。きっと笑うと物事は解決できると学習したのだろう。でもそれは人間も同じだ。僕も笑いながら、電脳世界の雑多な空間を楽しんだ。

終わり


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