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SS 初めての鬼丼 #毎週ショートショートnoteの応募用

怪しい看板と真っ赤な内装で期待を高める。「初めての鬼丼を始めました」俺はマイナーグルメオタクとしてブログを書いている。安くて量が多い店を探すのが趣味だ。満腹こそ正義。

「肉一杯コース 鬼丼をたいらげたら 五千円」
ふん、まぁよくあるバケツのような大きさの器に山盛りなのだろう。俺は店主に注文をする。店主は俺をジロリと見る
「お客さん食べるのはきついよ」
「食えないくらい多いのか?」
「中○産の人工肉なんだよ」

俺は細胞を培養して作る肉が世界を救うニュースを見たことがある。従来の畜産は動物にも苦痛を与えるし、それを殺して処理する方もコストがかかる。培養ならばその心配は無い。

「俺はなんでも食べるぜ」
店主は黙って俺に丼を出した。普通の大きさだ。拍子抜けをして店主を見ると下を向いてうつむく。箸をつけて食べるとジューシーで肉汁たっぷり、その美味さに有頂天になる寸前に違和感がある。肉が動く。

「ん?」

まるで生きているかのように口で暴れた、あわてて吐き出す。丼の中で動き回る。人工肉は調理をしても動いていた。俺は五千円をカウンターに置いて店から急いで逃げる。路上で吐いてしまう。

「人工肉はまだ人類に速すぎた………」

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