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エッセイ 造本のすすめ 【本を書く】 #シロクマ文芸部

 本を書くために物語を作る。物語にかり不思議さを味わいたい。そんな感じで小説を始めました。小説家として名を残そうとか、プロとして活躍したいとか考えていません。

 小説家へのあこがれが無いのです。小説を楽しみたい欲求はあるのに、自分が商業作家になれるとは思えないのです。

 商業作家は時代の流れを作れる人です。新しい風を作り定着させる。内容が古くても読者にあわせて共感を得られる作品を作れる人。共感は、誰もが経験できるであろう感情や行動。

 人を愛したいと思って恋を語る。
 人と楽しみたいと願って仲間作る。
 人を憎しむために復讐を誓う。
 人が回避できない運命で人生を破滅させる。

 経験可能なイメージを与えられる人が商業作家として成功すると思っています。それがごくありふれた内容でも、人が欲しいと願うものを、与えられるのが商業作家じゃないのかなと勝手に思っています。

 そのため、より深い知識と洞察力と重層的に世界を構築できる力がないと無理に思えます。

 自分はプログラムも書く時があります。コードを作り制御します。整合性が無くなると破綻してバグになります。

 小説を書いても同じでした。言葉の世界は、すべてを含有できる万能のコードです。解釈する人間の感受性というエンジンを通すために、人がどう感動するかは予測が出来ません。コードの中身は常に不合理で不整合で歪んでいます。

 私たちは常にデバッグをしていると解釈できます。小説を書くみなさんが作る万能のコードを、自分の解釈エンジンを通して、理解して泣いて、笑って満足する。そこには欺瞞があるかもしれません、コードを解釈すらしていないかもしれません、作者の意図をねじ曲げているかもしれません。

 私は自分の作品を、金をもらってデバッグしてもらう自信がありません。商業作家になるための素質は、どんな風に解釈されても平気と思う度量がないと難しそうです。

 私は、ゆるくしか生きられません。楽に生きられる覚悟でしかないのです。絶対に人を感動させてやるとか、この話は誰もまねできない素晴らしい内容だとか、そんな気構えで小説を作れない。

 作られた物語は本として世界に放り出されて、みなさんの解釈を待っている存在です。

 本を書く覚悟を持たないで、本を書けるのは同人作家としての自分のゆるさでしかないのかもしれません。ちなみにプロの場合は、編集と会話して小説の内容を調整します。プロ作家の話で判った事です。めっちゃめんどうそう。担当がいるって事だけで萎えてしまいました。

 自由に書ける本が好きなだけでした。みなさんも小説を書くだけではなく、自分の本を作ると目標がまた増えるかもしれません。

#シロクマ文芸部
#エッセイ
#本を書く
#note投稿企画


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