0805アリさんと澤さん横

【堀江愛利&澤円 特別対談】「自分が生み出す側になる」のが重要な時代になっている【第一章】By Hito Institute

Hito Institute by Women's Startup Lab
2019/8/5開催『シリコンバレー発:未来を創るイノベーティブリーダーシップ育成塾とは? 〜 Global Innovative Leadership Program in Silicon Valley 〜』より


【堀江】 よろしくお願いします。
【澤】 よろしくお願いします。

【堀江】 皆さんはじめまして。堀江です。今日は皆さんの大好きな月曜日の夜に
【澤】 Monday Night ?
【堀江】 に来ていただきありがとうございます(笑)
皆さんの中で起業家さんは何人ぐらいいらっしゃいますか?
(会場を見渡して)
【澤】 ぼちぼちいますね。
【堀江】 なるほどなるほど。企業内でイノベーション関係のお仕事をされてる方は何人ぐらい?
(再度会場を見渡して)
【澤】 うんうん、結構いますね。
【堀江】 なるほど。自ら個人的に、お仕事を別にしつつ「個人的に自分の新しい未来なりスキルなりを得たい」と思ってらっしゃる方はどれぐらいいらっしゃいますか?(会場多くの挙手を見て)
【堀江】 あー素晴らしい。
【澤】 大多数じゃない!Candidate だらけですね。
【堀江】 素晴らしいです。はい、わかりました。今日はありがとうございます。
そうですね、どこからスタートしようかという話をしてたんですが…この人は何べえだろう、何者だろうというご質問が結構あるかと思うので、ちょっと簡単に説明させていただきます。
実は浦島花子の堀江愛利で(笑)広島で育ちました、と。
18のときにですね、留学という形で渡米しまして、そこからまた1年して戻ってきたんですが
【澤】 すぐまた戻ったという感じ?
【堀江】 はい。戻ったんですが、女性っていうところで、もしかしたらアメリカにいた方がちょっとチャンスがもらえるかな、と18のときに思って行きました。
大学を卒業して、マーケティングと国際学を専攻して卒業し、その後に南カリフォルニアロサンゼルスから今度はIBMに就職が決まり、北カリフォルニアの方に移動しました。その際にですね、同じカリフォルニアじゃないかと思ったんですけど実はずいぶんと違ってまして。
テクノロジーいっぱいいっぱいで、行くミーティング全てもうテクノロジーの話しかしなくて…エンジニアではない私には最初何を言ってるかわからなかったんです。これも寂しかったですね。
IBMのあとに転々といろいろなスタートアップで仕事をしながら、やがては自分でも何かしたいなとぼーっと考えてました。
女性の方は特にぶつかる壁だと思うんですが、結婚した後にですね、子供を作るっていう…30代に来たときに私キャリアすごく面白かったんです、仕事が。
で女性っていうことを大変恨みまして、産みたくないぞ、と。
今がちょうどいい時期なのにストップかけて欲しくない、誰か産んでよ!みたいに(笑)
【澤】 代わりにね(笑)
【堀江】思ったんですけど、そうはいかないもんで。2人産んだあとに、会社で仕事するよりかは自分で自宅から何かできないだろうか?という形でビジネスを始めました。
そのときはそんなスタートアップとか起業とか肩肘を張ったような考えはなく、「お金が入ればいいな」というすごいシンプルなところから始め、そのとき収入を得ていたころと同じぐらいのものを稼げるぐらいまでできました。
子供を持ちながら仕事をするっていうのが、まぁ(子供は)生まれてみれば可愛いもんで持ってよかったなと思ったんですけど、やっぱりライフスタイルを考えないといけない。
そういったときに、起業っていう選択肢ももしかしたらありかな、と思って始めました。
そのとき、私も実は30代40代と仕事をしながら、男性と女性は違うなんて思ったことなかったんですね。もちろん子供を産むのはの私のチョイスですしそう(男性と女性は違うなんて)思ったことはなかったんですけども
【澤】 うん
【堀江】 仕事・起業をはじめたときに思ったのが、周りが女性に向けて「この人はそんないけてる会社を持ってないだろう」って勝手に思ってるんですよね。
アンコンシャス・バイアスって言うんですけど、自分で、例えばミートアップやミーティングに行って誰と名刺交換をしようっていう時に、皆さん男性とまず名刺交換してませんか?自然と。
女性をパーっと見たときに、「彼女はそういうパワーポジションじゃないかもしれない」っていう…そういうのアンコンシャス・バイアスって言うんですね。
そういう意味でも、女性に対しての opportunity って言うのがすごく少ない、あるいは壁がある、とちょっと感じまして、起業しながら女性を集めてイベントを始めたんですね。
そのときに女性っていうことに対しての特別な思いはなく、なおかつその年上の女性たちが「女性女性!」って言ってるのを見て、ああいうおばさんになりたくないというようなひどい図々しいことを(笑)
【澤】 女性から見てそう見えるわけですよね(笑)
【堀江】 そうなんですよ。意味がわからないな~あの人たちなんであんなに怒ってるんだろう?と思ってたんですけど、実際その年齢になっていろんな見えないものが見えてくるわけですね。
もちろん男性の皆さんの見えないところもあるし、女性である私たちの見えないところもある。それを皆さんに理解してもらいたいっていうことより、そういう壁、つまり見えない壁っていうのがあるんじゃないかと。
実は、アジア人の男性、アメリカではアジア人の男性が差別される率っていうのは、女性より高いんです。
【澤】 そうなんですね。
【堀江】 そうなんです。学歴がかなり高いわりに、マネジメントに上がっているパーセンテージが大変低い。
【澤】 確かに低いですね。
【堀江】 なのでもちろん女性問題っていうのは population の半分にはなるんですけど、アメリカの「差別されてる」っていうか「プロモーションがうまくいってない」というのは、実はアジア人男性が一番差別を受けている。
【澤】 それは産業に関わらず?
【堀江】 そうです。そういう意味では、女性の話だから自分には関係ないというふうに思われる方もいらっしゃると思うんですけど、アジア人男性というところでは、これから世界に向けてイノベーションというところで活躍されることを考えてらっしゃる皆さんも、その辺は他人事と言いながら、実は起こっている見えない壁にぶち当たってるんではないかと。
でまた女性というところでも、自分の娘さんとか、家族、奥様というところで、もっともっと大きな壁があるじゃないかというのを、少しずつこう、ね、意識を持っていただけたらなと思います。
私が Women’s Startup Lab を始めて実は6年になりました。
ひとつ、6年経って思うのが、strategy ですよね。みなさん strategy あると思います。
だいたいこうだろうと思ってみんなstrategy を作っていく中で、一つ私、大変な失敗をしたなと思ってることがありまして。
【澤】 ほう
【堀江】 それは、「女性にもっと投資あるいはスキルをつけるようなプログラムを作ってそれだけの結果が出れば女性は成功する」と思ってたんですね。
【澤】 うんうん
【堀江】 でも、実は6年間ですごく勉強になったのが、実力だけじゃなくてやはり社会の中での壁って思った以上に厚いんです。
女性だけにそれを与えるだけじゃなくて、社会自体がその opportunity を「自分たちのチャンスだ」「イノベーションのきっかけ」「新しい見落としているチャンス」だと思って見てくれない世の中で、やはり女性だけに「あれをしろこれをしろ」って言っても変化は起こらないっていうことを一つ気づきましたね。
今回皆さんにぜひお話させていただきたいなと思ったのが、その「社会の見えない壁」って何だろう、と。
例えば東大の人に与えられるチャンス…でも東大卒じゃないから周りから与えてもらえないチャンスかもしれないし…とか、いろんなところで見えない壁があります。
これからの時代、すごいスピードで変化が起こってますよね。いわゆるexpotential growth といって、今まで gradually に少しずついろんな変化があったのがいきなりいろんなテクノロジーが集結して、いきなりできなかったことが一気にできるという、expotentialな変化が起こってます。
それが起こったことによって何が私達に残るかというと、想像がもう追いつかない事態になってます。
そうすると皆さんが考えるだけじゃなくて、変化を自分たちで起こし、あるいは adoption し、あるいは社長あるいは上の人たちが出してくる指示だけに従うのではなく、一人一人が動かないといけない、というスピードになるわけですよね。
【澤】 うん
【堀江】 その上で、「今までのリーダーシップ」「皆さんが学んできたこと」というのは、ある意味上からのトップダウンを実行することである、という中で、次世代のリーダーシップというのは「いかに自分で判断し、自分の分野のものをセンスを磨きながら受け入れ、それを行動するか?」ということが必要になってきます。
それが何かというと、起業家の精神ですね。そのマインドセット。これをベースにしたリーダーシップ育成のプログラムを、現在提供しています。それをだいたい2年前にスタートしました。
ここでちょっとストップしたいのですが、澤さんいろんなところでテクノロジーに関わってらっしゃると思うんですけど、男性プログラムの1期生なんです。女性のプログラムはもう6回ですね。
【澤】 うん、6回ですね。
【堀江】 で、やはりテクノロジーがどうしても社会の中でどんどん迫ってくるわけですから、そういう意味で、まずは次世代のリーダーシップに必要なものというのは何なのか?というお話から。「テクノロジーとリーダーシップの変化」というのを澤さんなりの思いもあると思うので…。参加されてますしね。
【澤】 はい。まず自己紹介すると、マイクロソフトテクノロジーセンターってところでセンター長やってます澤と申します。
ただその顔って僕にとっては一部でしかなくて、僕はいろんな…例えばここ今回貸してくれているFiNCさんの顧問もやってますし、スタートアップの企業顧問を5社やってます。あと琉球大学で客員教授をやったりとか、いわゆるマルチタスクでいろんなことをやってる人間なんですが、ベースにあるのはずっとテクノロジーになります。
せっかくいらしていただいたので、ちょっとした小噺っていうのをお話をさせていただくと、テクノロジーがどれぐらい指数関数的に上がっていくのかっていうのを表すの、これデータっていうのは一つなんですけど、世の中にある90%のデータ、要するに人類史上始まって以来蓄積されている90%は、今年と去年で生まれてるんですよ。90%は直近2年なんですね。
これって毎年更新されます。去年と一昨年で90%なんですよ!てことは、一昨年までの分っていうのは、今年になると、つまり90%の一部だったのが10%の一部になるっていうぐらい。これ毎年毎年ザーっと更新されるんですね。
この2年っていうのはおそらく短くなることが決定づいていて、どうしてかっていうと、土管が太くなる。要するに通信路が太くなる。
何を言ってるかというと、つまり5Gですね。5Gというのが出てくると、データをたくさん生み出しても滞らずにどんどんデリバリーできる状態になるんで、もっとデータって増えるんですね。
となると、さっきおっしゃっていた通りで、生き方・考え方を変えなきゃいけない。もう処理しきれないデータが世の中満ち溢れているので、選択をしなきゃいけないんですね、自分で。そして「アクセスの仕方」というものを自分で選ばなきゃいけないということになります。
例えば、皆さんの中で通りかかって目の前にレストランがあって何も考えずに入る人ってどのくらいいらっしゃいます?全く下調べをせず。
(ほとんど手が上がらない)
ものすごマイノリティーなわけですよね、おひとりしか手が挙がってないんですから。ほとんどの人は、多分気になったら店の目の前ですよ、扉の目の前で、食べログ見るんですよ。何歩か入ればリアルにタッチできるのに、食べログ見るんすよ。「お、口コミこうなってるな」なんて見て。
多分アメリカにもありますよね?同じようなサービス、飲食店のやつ。
それを見て、それで気にいれば入るし気にいらなければ入らない。気にいったとしてもまだそこで入らなくて、目の前にあるのにWebフォームから予約をしたりするんですよね。
場合によっては、そこに書いてある電話番号にかけて「今から行きます」「あと何分後ぐらいですか?」「7秒後ぐらいですね~」みたいな感じでトコトコと入る。
何が起きているかっていうと、みんなデータを信用してる世の中にすでに生きてるんですよね。これも意識をしてるかしてないかって結構個人差があると思うんですけど、皆さんはすでに「データを信じる」「データを信じて行動する」っていう状態になってます。
まずそれを意識することなんですね。そのデータをどうやって自分は選んでいるのか?今は皆さんは「プラットフォーマが提供しているデータを信じる」という生活をしています。わかります?そういう…食べログだったら食べログだし、Google先生だったらGoogleだし。
いろんなそういったプラットフォーマーがいて情報提供して、それを皆さんは結局信じることになるわけですよね。
それで行動するということになってるんですが、これはあくまでも与えられている情報であって、取りには行ってるかもしれないけれども作ってはいない、というところをちょっと意識しなきゃいけない。データを作る側にはまだなってない。
だから、これからリーダーシップを発揮していくというのは、その「プラットフォーマーが提供しているデータうまく利用する」っていうのも一つのメソッドとしては大事なんだけれども「データを生み出す側」あるいは「データを生み出して意味をつける」んですね。実をつけていくっていうことをやっていかないと、結局世の中で何かを生み出す人にはならないということなんですね。
要するに、何かただ単に行動する…行動することは大事なんだけれども、それが他人から与えられている情報だけで行動しているあいだは、その範疇から出るっていうことはなかなかできないので、「自分が生み出す側になる」っていうことがすごく重要になってくるんですね。
これをちょっと意識するかどうかっていうのが大事かな、と。
多分シリコンバレーなんかだと、生み出す側の人たちが圧倒的多数ですもんね。
【堀江】 起業家っていうと、これまた大変ですよね(笑)
生活もあるし、お金もない。起業家を育成する立場ながら、皆さん私が「起業家こそが重要な生き方!」と思っているように思われるんですけど、実は


(第二章につづく)

第二章 正直、起業はおススメしない。だが起業家のマインドセットは持つべき

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