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羽根一枚の重さもない《エッセイ》

鴉に憧れを抱いたのはいつ頃からだろうか。

あの小さな頭に、とてつもない賢い頭脳。
学習能力の高さ。
そして生きる術。
時に野蛮と毛嫌いされるが、彼らは孤高だ。

怯む事なく生まれた命を守り抜く。

それを当たり前と思う事は違うと感じる。

ニュースで痛ましい事件を知る度、その子は何の為にあなたの元へ生まれてきたの?
生後間もない命が、いとも容易くその灯火を消される。

動物の本能、母性本能に改めて考えさせられる。


されど……私は自分の生に執着していない。
角膜提供にも登録している。
私が生きている間、誰かの何かの役に立つ様な人間ではないから。
せめて死後、私の角膜がどなたかの救いになるならばと、もう10年近く前に家族に無断で登録した。

とても怒られた。そして認めないと言われたが、私はそんな事気にしていない。
死んだ時位、私の好きにさせてくれ。

どうせ私の命の重みは、あって無いようなもの。

無駄にお金ばかりかかり、周りに迷惑かけている。
心療内科のお金も年間で換算したら、それなりになる。
オマケに、他に2つの病院にも通院している。
3ヶ月に一度。薬を貰いに。

私の身体は薬漬けだ。
健康な身体ではない。

鴉の羽根が時々落ちていると、思わずしゃがんで魅入ってしまう。
漆黒の七色の光が美しく、この羽根一枚でもし空を飛べたなら、なんて子供じみた事を考える。

生き地獄の中、私は何故呼吸を繰り返しているのだろう…。

確かに握られている、両の手。
分かっているのに…。

今夜もまた、リボトリールに頼り涙が零れていく。


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