12月短歌ー文庫本置く

ここのように見えないだろか皆の居るベンチの上に置く文庫本


朝人の靴と車の音ばかり五限目は皆が会ったっきりだ


存在が時に希薄になる夜雨待つと待たれるで人を統べる


濃紫の錨を鯨が吐くだろう君を思えるときの心持ち


電灯に大き未来が見えるかな私たちの方に根を張る赤ん坊


胃の中に降り積もる音ピーナッツひとつが眠る雪の最中に


小児科が内と外側を分けるなか上着を脱ぐ様に冬の雨降る


一時間は五十九分の皮になる理解出来ない隔たりとして


同じ道筋寂しさとともに抱えこみ人間として僕等出会へり


心を亡くせば夜と思うと家族らの蜜柑はあばく側の熱もつ


バルコニの手摺りはひやと冷たくて朝は指紋を打たれるようです


今朝焼かれ成形された人たちは言い尽くされないままの喜び

ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。