青色アクエリアスと小さなアルデバラン6

⑥きみは世界

(アクエリアスの場合)

長い夜のあとで訪れた朝

ゆっくりと流れる大きな時間の中で

そこにいるのは僕と世界

僕と世界だけ

学び続けた事柄が

行き着くこともなく沈殿してゆく

そんな毎日からとびだした

君が僕に呼び掛けるたびに

僕はちゃんとしたものになっていく

僕の情景、君の印象

君の世界から

僕にもっと投げかけてほしい

なつかしくて遠い記憶

伝える手段が欲しいと生まれてはじめて思った

君が僕に答えをくれるのなら

僕の世界はきっと変わるだろう

君が目の前に現れた時から

君は世界

君は僕の世界になった

泣き笑い怒り全ての感情が

沈殿することなく飛んでゆく

僕は未来を書き溜める

最悪の事態を予測する

もし君が僕のものになれば

僕の憧れはなくなり

世界は変わるだろう

僕にとっての君も変わるだろう

人はそれを愛と呼ぶんだろうか?

君は世界

君は世界

君のことをもし全て知ったら

君が僕 僕は君になり

なにもかもが気付かぬうち変わるのだろう



☆★☆☆

(アルデバランの場合)

かわいいあの子みたいにも

かっこいいアイツみたいにもなれなくて

そんな真実に気が付いた八月のひ

なんだか何かを愛したくなったの

目を開けて見下ろすと

寂しくてないている猫

足を引きずって歩く犬

こんなにも愛を求める存在が転がっていたなんて。

気ままにまわる世界の中にそれでも

一人で居続けてなきゃならないのなら

だれかに愛を与えたい

そんな自分勝手な真実を作っても

別になにも悪くないよね?

鏡を見ると子どもみたいな自分の顔があって

けどこの姿のままでって決めてるし

曲がりなりにも

「誰かを愛したい」って呟いて

それはたぶん嘘じゃないって思った

わたしの目を見て笑う君

ううん
どれもこれも違う

欲しいのは

純真無垢な子供みたいな愛

奉仕しそれを享受される太陽と海の循環のような場所

わたしはそのことを思うだけで涙を流せた

わたしはやわな少女のような欲望をしまいこむ

きっと誰にも理解されずに

それから触れられないままで

世界と対峙していかなければならないという不幸

けどわたしはなにもかも、分かってるというふうに頷けるだろう



#ポエム
#詩
#創作


ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。