青色アクエリアスと小さなアルデバラン

①両面で恋する

(アルデバランの場合)
犬になりたいなあ、と思う。
そうすればいろんな心配をして見えることや、人を待ち続けることもおかしく思えたりしないのに。
わたしは、あなたが来るまでの間じゅう、風景の中でゆっくり夢を見てるみたいな気持ちでいる。音は降り積もる幸福に似ている。

一人でいても、完ぺきなわたしは犬だ。一緒にいる時は、走ったりして思い切り体のパワーを感じる。あとは、飽きて仕舞えばしんとしてみたりする。言葉には、つかれた。いっつも、なんて言えばいいか分からない。でも犬だったら余計なことしなくても良い。スキ、スキ、スキとかキライ、キライキライって思う。それだけ。
わたしはいつも一緒にいるあなたの顔ばかり見ていて、何でもかんでも慰めてあげたくなる。ちっぽけでも、あるもの全部をあげてしまいたくなる。弱くって、すごくわたしはつまんないだろ。わたしは死ぬことを考えだす。完璧になること。わたしの最後の願い事。

人間の敷いたレールにいる限り、言わなきゃいけないこと、やらなきゃいけないことに押しつぶされて、気持ちは純粋ではいられなくなるだろうな。
わたしがもしも本物の犬、だったら、押し付けをおかしな癖だと決めつけられないのに。
たまに叫んでみたくもなる。自分の声を聞いて、返ってくるのがなんなのか、わたしは知りたくてたまらなくなる。それなのに、世界のことを何も知らない。
そんなふうに、唐突な気持ちにも直ぐに言い訳しなくて本当はよくって、あなたは笑いだして散歩に連れて行ってくれる。(そう、そう、そうなの。)ってわたしは感じてしまい、それでまた思いのままにこれまでみたいに愛するふうに戻ろう。
わたしがもし、犬でいられたら「あ、またそんなことやってて。」なんて言われたりもしない。

それはわたしが犬だからだね、って思われていて、わたしのせいにはならない。

☆★☆★

(アクエリアスの場合)
始業前。白い空。
きみはまた、新しくなったみたいだ。
いつもそうだね。
何食わぬ感じでいつもの席へ座る。
きみは男の子。
成人したら溶けてなくなってしまう水晶
それも誰も気付かないくらい、海の深いとこにある。
毎日、擦り切れそう。
僕は、ああって思う。
僕は毎朝、きみを見ていただけなのに、僕はこんなに、こんなに青くーーもう、澄み渡りました。
関係?そうではなく
最善?そうでもない。
ただ、僕らは未だ青色にしかなれない。
僕たちはまだ海のいろ。ただ深く、深くなっていくだけの、心地よい静寂。
ああまだ、こんなに近づいてたとしても、何一つ手にしていなくて、何かも分かってしまうから、悲しくもないのに涙が出る。
きみを見つめていた時のいろ、青色。
僕らはまだぼくらを待つ女の子を知らない。愛することも、そのあとの静寂も知らない。
青、心の中に広がる感情。
それはきっと、人を寂しくさせる、もしかすると意志という力なのです。

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ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。