海と山(シイとマント)③

森は、いつも唐突にある。
マントたちが作った道は、無骨で土が露わになっているだけのものだったが、不思議とそこには木立も草も生えてこない。その道はだいたい、生活や狩り、話し合いをする場へと向かって伸びていて、その中にはもう使われなくなったものも何本もあるのだった。マントは道を次々と作り続けた。誰も止めないからそれは増え続けた。それはマントそのもののように、いろんな場所へ手を伸ばし、それから食いつぶし、そうして時が経てば忘れられた。
その中のひとつの、少女がいつも通り抜ける道を、歩き続けて理由も忘れたころに現れる森、その入り口。森のはじまりというのは、いつ見ても唐突にある。唐突、というと変なのかもしれない。けれど、森は生きてるのではないかとマントの少女は思うのだった。それは、砂漠で足元を見て歩いているうちに誰かの足を見つけ、見上げるとそこに全知の人がいたような驚きのようでもあった。マントは毎日、生きることと戦っていたから、森がそこで忘れられまいと領地を広げて行っていることがよくわかった。いつもいつも、その武骨な道が永遠に(永遠というのはマントにとって不吉なことの暗示でもあった)つづくのかと思われたが、森はいつも同じ場所にあり、次第にそれがマントのこころにも根を下ろして行った。

草が増え、大きな幹持つ木が何本もそこに根を下ろしている。それが、ひとつふたつ、その先数え切れないほどに集まり、中にあるものの湿度を逃すまいとしている場所が、マントの視界を捉え出す。マントは、躊躇わずにそこへ小さな体ごと入る。ひんやりとした草の群れ。まだ午前の始まりだけれど、大気は充分に熱く、森の中といえどむっとした空気がマントが呼吸するたびに感じられる。(今日は、いる。)マントはなんとなく、感じた。顔を上げ、同じように立つ木々の先を見ると、鼻の先に香りが感じられる。その先には何もないように見え、また同じような木立がいくつもいくつも続いていて、もといた場所や、かつて訪れた跡を示すような手がかりがない。けれど、わかる。マントは、先にあるものごと、それからそれが自分にとってどんな意味をもたらすのかを解くような勘はあるのだった。そう思った先に、やはりシイがいた。シイは木立の少ないひらけた場所に座っている。

シイは、一人で、しかも何か持ってきたようだった。うす茶けた体を覆えるくらいの麻の布、それから朝作ったばかりのような簡単な食べもの。
マントはそれを見下ろすようにして見ている。シイは笑った。シイは自分の頼りにしている親、のようなシイにマントのことを話したのだと言った。それから、聞いてもいないのに自分たちの朝、するべき祈り、それから朝、自分の話してきたことを話し続ける。
シイは何かに高揚し、その白い顔を紅潮させて話す。
まだ幼い、ちいさなシイはマントの反応を見るのを忘れているようだった。
マントは、口の中でもごもごとつぶやく。
シイが顔を上げてマントを見たが、マントはずっと向こうを見たままで話さなくなった。

シイがマントに始めて会った日、シイはすぐにそのことを年老いたシイに話した。儀式を司るシイだ。それぞれに役割の名前はついているものの、ここにはマントのような階級も、差別もなかった。ただ子供達はまだ感情も洗練されておらず、歌や儀式の最中も何か別のことに気を取られてしまう。そういう時はそれを叱り、それからどうするべきかを教え込む。感情(それは景色により呼び覚まされるもの)の行き着く先を、シイは知っていなければならない。しかしそれは根気のいる作業だった。また、その幼さを笑い飛ばすくらいの要領は、シイも持ち合わせていた。
愛することは受け取ることと同意語なのだと年老いたシイはいう。またそれを感じるための儀式や歌をいくつも歌うことを日常とした。シイの体はたいてい大きく、それからぼんやりとした輪郭をして光を吸収するかのように見えた。その体は周りにある景色をそのままで受け入れるのにもともと適していたのかもしれない。受け入れるのは、いったん目をつぶってしまうようにする事だと自分は思った。馬鹿げているかもしれないが、実際にやってみると分かる。それから、通り過ぎるのを待っていればいい。結局、シイはまたもとの自分に戻ることが出来た。
シイは、子どもたちといることを嬉しいと感じていたし、それから木々も季節も同じシイといるのも同様だった。歌となるとまたそれは格別だった。反対にマントは滅多に喋らず、また笑わなかった。マントはあまり目を動かさずにいて、気がつくと自分の目の奥の方を見ているような生き物だった。マントというのはずっと何かに囚われているかのようだ。何に?それはシイには分からなかった。

マントがシイをこころから追い出したようなそぶりをして考えていたことは、こうだった。その食べものも、布も、シイの目の前でぐしゃぐしゃにしてやりたい。そうしたらどんな顔をするのだろう…。もしシイが自分を喜ばせたくてしたのだとしたら、自分はそういう喜び方をするのだと示したいと感じた。
シイはしばらくそこに座っておとなしくしていたと思ったら、マントの方を向いてまた話し始めようとした。

「聞いてもいいかな?そっちの世界のこと」
シイはいう。マントは、胸がずきずきと動くような感じがする。話す。何かを伝える。何を?誰に?なんのために?そのことを、何千回も自分は考えてきた。マントは明瞭な言葉を持つのに、その先にあるのはいつも分断だった。白か、黒か。乗るか、そるか。好きか嫌いか。マントは自分のためになることを話したことも、 話してもらったこともない。
「いいよ…」マントは応え、それから手を振り上げたかと思うとシイの頰をおもいきり叩いた。

マントは、じっと、その真っ黒な瞳でシイの顔を見つめた。会ったばかりの時と同じ、まだ背丈も一メートルと少しくらいしかない少年。マントに会うことを心待ちにしていた、ばかな、何の考えも働かせたことのない少年。簡単に自分のひみつを人に話して、たったひとつの重みさえ手に持つことの出来なさそうな、白い手。マントは、物事の重みが人によって違うということに傷ついてた。そのことでシイを憎もうと今、決めた。シイが、このばかな子どもが目の前でどんな顔をするのかを見たかった。マントの心ははねあがって、喜んでいるようだった。

シイはこちらを向き直すと、笑った。それから、真面目な顔をした。それから、「ごめん、」と言ったっきり、また笑いをつくろうとして、けどまた、口を結んで真面目な顔に戻った。
まん丸な目。
「マントはシイを嫌いなんだった。忘れてた。」シイは可哀想なくらい震える口でそう言った。マントは、どんな気持ちにもならなかった。
「あんたって、何才?」
「え?」
「わたしは、15才。」
「僕もだよ。15才。」
「ふうん…」
マントは、シイの方をじろじろと見た。
「ねえ。」
「ん…?」
「わたし達のこと、話してもいいよ。」
シイが見ると、マントは笑っていた。シイはずきずきと痛む顔を意識しながら、マントを見つめる。
「どうして…」
「あと、それもちょうだい。」

マントは、先程は手をつけなかった布をシイの足元からひったくるようにして掴み、それを自分の頰に当てて、頬ずりをしてみせた。

「…」
シイは、呆気にとられてそれを見ている。

「ごわごわしてる」
「そりゃ、まあ…ふかふかはしてないよ」
「でも、わたしたちの使っているものよりもずっといい。匂いも、いい匂い。」
「洗濯してきたからね。今日。うん。ほとんど新しい…君のためのものだよ」

マントは今日いちばんくだけた様子で布を顔から離すと、その布の使い方をさぐるように手で広げてみせ、それから裏と表を確かめるようにひらひらとさせた後で自分の肩にそれを掛けた。たった今、気づいたようにマントの髪の毛をシイは見る。真っ黒で、肩にかかるくらいの長さ。それが麻の布にかかり、コントラストがきれいだった。髪の毛を、自分達のようにやれ儀式だ、歌の時間だ、なんて言って気分によって手入れはしていないだろうに、けれど光を反射していてその髪の毛はなかなかきれいだった。
シイはそれが皆腰に巻いたり衣服の代わりに使っているものだと言おうとしたが、マントが気分をよくしていることの方に合わせるように、何も言わないでそれを見ていた。

「教えて。」シイは気付いたらそう話している。マントはシイを見つめる。同じ十五歳なのに、肌の色もあってかマントは痩せこけて見えた。「ちょっと、待って。それは何?」今度は、マントはシイの持つ食べものの包みを指差す。マントは笑む。シイにはどうしてマントが唐突に機嫌がよくなったのか分からない。けど、すべてが、マントのペースだ、と思った。

マントによると、マントの暮らしは飢えること、それをしのぐための争い事の連続なのだという。マントは知恵があるのでいくつもの建築を作り、堤防をつくり、井戸を作りはしたが、それが何故なのかうまいこと軌道に乗ることや長続きすることはしなかった。土地が痩せては飢え、大雨に流されては飢え、戦い、小競り合い、領地の奪い合い、それでなくてもマントは日々争いを見出すのが得意で、死ぬもの、怪我をするもの、傷つき、動けなくなるものが多く出た。食べものを何日も取れない日が続くのは当たり前のことで、マントはその時の苦痛を感情を込めて話す。
「食べものがなくなると、皆がイライラする。そして、些細なことで争いが起こる。」

マントは言う。

「お前が悪い、ってまだちいさな子どもに対しても言う。お前が食べたからだとか、お前がこぼしたから皆の分け前が減っただとか…」

シイはうなずく。

「でもそんなのはまだいい。困るのは、本当に何も食べるものがない時…
シイは知ってる?死ぬ、っていうくらいの飢え」

シイは首をゆっくりとふる。

「でもわたし、おかしなことに記憶がないの。何か苦しい、っていうことへの入り口は覚えてるんだけど、その後自分がどうやってくたばったのか、詳しくは。けどわたしたち、毎日ずっと『濃く』なっていってるわ。」

「濃く?」

「そう。干上がって、そこだけが盛り上がってる土くれみたいに、マントは醜いでしょう。わたしたち、それ。誰も目もくれない。毎日、毎日浮き彫りになっていくの。たった一人で。大昔、自分勝手なことをしてシイを失ったから……皆、口をそろえて、昔に戻りたい、っていう…けどわたしは、戻りたくない。シイが悪い、っていう。けどわたしは、そうじゃないと思う」

「じゃあ、どう思うの?きみは、大人の話を聞いてなんて思ったの?」

マントはシイを見た。「おなかが空くと判断が鈍るの。皆そう。頭が大きくなる。身体が痩せ細って、そして毎日、毎日考えるだけになる。自分達と、自分達の存在する土地だけのこと」

「今は満足じゃない」シイは笑っていう。

マントは笑む。「ねえ、わたしもマントを殺したことがあるの。あなたのことを見て、思い出した。わたしさっき、シイのこと殺せるのがマントなんだと思ったわ」

マントは下を向いて笑った。

「最初の殺しは私から一番大事なものを盗もうとしたマントだった。だからあのときのことは今でも間違えていたと思っていない。けど、その次に殺したのはちょっと違った。私たちマントはちょうど儀式の最中で、あなたがたのやっていたようなものの真似事だけど本当は中身なんてなく空っぽで、単なる余興とそれから、お祭り騒ぎのようなもので。けど私は必死だった。死ぬことは怖いことなの。知ってる?すごくこわいことだよ。真っ暗な、出口の見えない場所に死ぬまで、たった一人で何も教えられないままでいろ、って言われて耐えられる子どもがいると思う?まだ、わたし世界のことを何も知らないのに!私はその時はまだ、死にたくなかったから、相手を殺した。当たり前のことだった。殺したくて殺すわけじゃない。誰だってやるの。シイもマントも、光が見えないところでは足掻くの。わたしはじゃまなものを避けて、前の景色が見えるように…そうやって、安全を手に入れるたびにわたしは、ずっと手が汚れていって…一人で。誰ともわかち合わなかった。怖いともおもわなかった。けど、早く忘れたいと思った。私が思ったのは、その人のことを考えてしまったからだと思う。そうすることは、いけないことなんだ。それで、……、難しい。なんていうのかな。…ああ、そう。私たちは似ていたんだって。だから、あの時のことも、あの相手のこともずっと忘れられない。別にあの時わたしが死んでいても良かった。あの人の苦しんだ顔は、わたしそのものだった。わたしはあの時死んだ。誰かを殺すたびわたしももう一人死ぬ。わたしの手で、わたしがわたしの首を絞める。わたしはそのことを忘れようとする。一人で。でも、そうしない方が良いんだと思う。最近、ここに来るようになってから、少し変わってきた。マントがいけないのはそういうところだと思う。変に賢い。だから、器用に忘れ、器用に覚えている。」

シイは頷く。

「マントのことを僕たちシイは今でも少しは知ってるよ。でも君みたいに話したり、しているのを見たことはなかった。」
「…」マントはため息をつく。
「どうかした?」
「疲れた。」
マントはシイの視線を感じた。もうシイのことを追い詰めてやりたいとは考えていなかった。
シイのくれたものを自分は身につけて、それからお腹も満たされていた。満たされる、ということはこんなふうなのか。シイはいつも、当たり前のようにそれをされている。けどそれ以上はなぜか、考えられなくなった。無理に忘れるのとは違う。マントの記憶は話さないこと、それから辛いことが繰り返されることで整理整頓されていない、混乱のままでいた。何があってもマントはすぐに忘れることができた。だれかが死んでも、すぐに忘れた。お腹が空いても、忘れたふりをしてしのいだ。辛いこと、痛いことはなかなか忘れられなかったけれど、けどそれも自分なりの方法を使って押しやった。マントは、よい記憶というといつも寝る場所の暗い光が伸びてくるほら穴しか知らない。だからそこへいつも思考が帰っていく。誰かを傷付けたりした後でも直ぐに、そこへ。だから自然と、自分が死ぬときはそこで死ぬのだと感じていた。
先ほどよりも気温はあがり、太陽がすずしげな朝日ではなくギラギラと容赦ない光を持ち始めていた。シイのひたいに、それからマントのほおに汗の雫がぽつりぽつりと浮かび始めた。シイの白い肌にうかびあがるそれと、マントの朝黒くなり始めた肌の上にあるそれのせいで、二人はたった今しがたその森のなかで遊びまわり、それから息をつくためにそこに座り込んだばかりの子供にしか見えなかった

マントは自分の手足を見下ろす。それは痩せこけてはいるけれど、大人になりかけた、細くしなやかな手足だった。

「見たくない。わたし自分のこと見てるとこんな不幸はないって思う。わたし毎日、ひとのことは見てるけどなるべく自分のことをどこへも映さないようにして、夜になるのを待つの。ねえ、どうしてマントはこんなに増え続けてるんだろう。何とも共に生きられない生なのに」

「…僕たちシイは、何かに対する答えがあるっていう君たちの考え方とは少し違うかもしれないから…けど」

マントは下を向いて崖の向こうにある海ではなく、まばらに生えた草をじっと見ていた。

「シイとマントは分かり合えないんだ」シイがつぶやく。

「マントがいつもそう言ってたっておばあちゃんが言っていた。マントはお互いが行き詰まってくるとそう言い捨てて、いつも外に繰り出した。シイからするとマントが殻にこもった、ということになるんだけど」

ふん、とマントは鼻を鳴らした。「私はこう思う。ぜんぶ、マントのせいだったって。」
「どうなのかな。歴史は色々なことが複雑に絡み合ってるよ。それに僕ばマントの話を今日初めて聞いたけど、僕らとどこかが根本的に違うなんてふうに思えない。」
「?」
「物事が収まるべき場所に、おさまると良いな。僕はいつもそう考えて、歌っている」
「ふーん…」

マントは、気がなさそうに息を吐く。

「僕は、全部のことに意味があると思う。シイは皆、そんなこと言わないけれど。歌って祈り、涙を流させる…僕らはそういう存在なんだ。僕が思うに、だから正確には、もともと意味があるんじゃなくて、僕っていう存在によって意味が加わる。
例えば、僕がここにいることで今この草むらに影が落ちる。風がすこしだけ流れを変える。君の話を聞く僕がいる。そしてそれを持ち帰る。僕がそうしようとしたから。僕がここにいても何もしなければ何も起きない。意味なんて、もともとないんだよ。けど、僕達はそこから引きずり出せるんだ。僕がそこに付け加える事で、変わる事がある。いや、ちがう…僕は何かと何かを結んでいく。なぜかは、わからない。僕はそうしたいと思い、それが僕なんだと思う。そしてそれが終われば、死んでしまうのかもしれない。」
本当は、その考えもマントに会ってから考えたことだった。
「へえ。変わった考え。」
「 うん。誰にも言ったことない。…シイは変化を嫌うから」
「そう。
…わたしもじつは、シイの歌を一つだけ知ってるの。今の話聞いていたら思い出した」

マントは森の中を走っていた。前の日の雨でできた水たまりを思い切り裸足で踏みつけると水しぶきがあがり、体にそれがかかった。愉快な音に、マント自身が叫んでいた。それから一瞬、妙な気持ちになった。それはマントの笑い声だったのだが、長い間自身でさえもそれを忘れていたから、まるでおかしなひきつれのような、震えのようなそれに、マントは首をひねった。
労働へ行かなければならない、というとシイは目を丸くして「ろうどう?」と言った。シイは労働をよく知らないのだ。自分たちは与えられた土地や荷物を毎日毎日与えられた役割でこなしていくことが生きている理由だとされている。それができない者は用無しでしかなく、食料も衣服も分け与えられないし、何よりもそこにいることを他のマント達から認められない。それは命の危険を意味していた。シイはあんなふうに落ち着いていて、世の中のことを何もかも知っているというふうな顔でいるくせに、労働をしらないのだ。そう思うとおかしくて笑いたくなった。

少女の知っている歌は、ずっと昔お互いが一緒にいたころシイがマントにおくった歌だった。自分はかつてずっと幼い頃にそれを聞いたのだ。マントはしらないうちにそれを口ずさんでいた。もし、あなたがわたしのために優しさを発揮してくれるのなら、、、

その先をマントは知らなかった。それから、「やさしさ」についても知らなかった。けどそれは、シイによく似ているものかもしれないとマントは思っているのだった。



何故だか滅茶苦茶長くなってしまいました。重みではち切れそうな記事、読んでいただきありがとうございます。これは数年前に「自意識の分断」をテーマに気ままに書きなぐったストーリーです。当然モデルもいなければ事実は少しも含まれて居ません。※あと、補足ですがわたしは小説家を目指しているのではありません…ツイッターの方でも読書のことを垂れ流してますが、興味が行き過ぎているのだと思っていただければ安心します。創作は仕事でなくても生きていく上で必要なもの、自然と取るものだと思っています。もし、成りたいのだとしたら投稿するために今頃はっちゃきこいてやっているでしょう。

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ポエム、詩、短歌などを作ります。 最近歴史に興味があります。