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 オーデュボンの祈り 著:伊坂幸太郎

 いや〜エンジンが掛かるまで間延びしちゃったなぁ〜。でも伊坂さんの原風景を垣間見て、面白かった。殺人犯やら超能力やらが実際にある作品も伊坂さんの語り口だと格好良く読める。335ページだったけど見開き四段だからね、原稿用紙に直すと何枚になるんだろう。凄い量だった。湾岸ラプソディを読んだ時と同じくらいの長さだったかなぁ。湾岸ラプソディは800枚だって言うからそれくらいの長さなのかな?まぁでも区切り良く進んでくれたから読み易い事この上ない。知らなかった字と言うのも無かった。

 システムエンジニアの伊藤はプログラミングの仕事をしていて同僚の静香と交際していた。けれど、伊藤は目が悪くなって来たと静香とも別れ退職する。それだけでは無かった。コンビニを包丁一本で強盗し、捕まったのだが捕まった相手が悪かった。幼少期から猟奇的なサディストの城山と言う警察官だ。あの城山が警察官になっていて捕まった方が自分なのだと。

 運良くパトカーから逃げ出した伊藤は轟と言う男の船で萩島と言う鎖国時代から見つかって無い島に流れ着く。島と日本を繋いでいたのは支倉常長以降代々轟一家が担っていたのだ。そこで日比野と言う犬みたいな男に連れられ島を案内される。特異だったのは喋るカカシの優午だ。そして美しい顔立ちの桜にも出会う。桜はこの島のルールである。ルールを破った者は殺されるのだった。

 架空の世界を舞台に晴れやかなラストまでのミステリーとなっている。サントリーミステリ大賞で佳作となった『悪党たちが目にしみる』に続いて新潮のミステリ部門に応募した作品だったようだ。これで大賞となり初めて単行本になったのがこの『オーデュボンの祈り』なのだそうだ。巻末には選考委員の書評も書いてあった。他の候補作品は読んでいないが辛辣な書評を堂々と載せてある。作家ってのは大変な仕事だなぁと改めて思った。

 オーデュボンとはフランス生まれでアメリカに渡った鳥の図鑑を作った人である。優午も鳥の鳴き声などで情報を集め未来を読む力を持ったカカシだ。ウサギと言う太っちょな女性が出て来るがウサギ曰く優午は鳥贔屓なのである。昔人間の乱獲で絶滅したとされるリョコウバト、これがこのミステリーの肝になっているのだ。気になる方は一読して欲しい。期待を裏切る事は無いと明言しておこう。

 最初は何を読まされてるのかわからなかった。でも最後に嵌るパズルのピースみたいなミステリは東野圭吾さんの作品を読んでいるようでもあり面白かった。最後100ページは一気読みでした。

 以上

今日もコンビニにコーヒーとタバコを買いに行きます。私の唯一の楽みです。奢ってくれた方はフォローしてイイねしてコメント入れさせて頂きます。それくらいのお返ししかできませんが、ご支援して頂けると幸いです。