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日中醤油業界を比較、王者達の「形」

前言

最近、中国醤油シェア1位のメーカー「海天」の営業利益率は50%に近い、経常利益率は30%に近いという情報を耳に入りました。歴史長いの既存業界に、すでにレッドオーシャンになった醤油業界には、それほど高い純利益率を持ちことは知りませんでした。そして、もう一つ気付いたことは、私は日本の醤油ブランドに関する認識はほぼゼロでした。何回も買ったことがあり、毎日使ったものですが、全く理解出来てませんでした。
こんな自分を許さないから、日中の醤油産量(出荷数量)、市場規模、一人当たりの年間消費量及び年間消費金額、日中の醤油輸出入現状、日中醤油業界に各プレーヤー及び市場シェア、日中醤油業界上位の醤油メーカーの経営状況などをちょっと探りたいと思っていた。
この文章が完成後、今度また醤油の話題を触れるなら、自分が「これ、知ってる」と自信を持って言えることは唯一の望みです。

※注釈1:2018年度の統計データは揃いてないため、2017年度のデータを使用。
※注釈2:企業経営データは2017年度も2018年度も揃いましたが、統計データに合わせて2017年度のデータを使用。2018年度と大きな違いがあるなら、特に説明する
※注釈3:「日本の醤油輸出入現状」には日本国財務省貿易統計データを使用、「中国の醤油輸出入現状」には中国海関総署のデータを使用。日中両国の統計方法に異なりがあり、輸出入数量に僅かな差がある
※注釈4:本文に「醤油」は「醤油」を指し、「つゆ」、「調味ソース」、「たれ」、「オイスターソース」などを含めず
※注釈5:1ドル=6.73人民元=111.44円で換算
※注釈6:醤油の密度は約1.15、1リットル=1.15キロで換算
※注釈7:日本人口数は12670.6万で計算、中国人口数は139008.0万で計算

日中醤油産量、市場規模、一人当たりの年間消費量及び年間消費金額

2017年度、日本国内醤油出荷数量は768766キロリットル(農林水産省)、1リットルの平均小売価格350円(総務省統計局)で計算すると、醤油市場規模は2690.68億円。1人当たりの年間消費量は6.1リットル、年間消費金額は2135円。

2017年度、中国国内醤油産量(ここで「産量=出荷数量」にする)は8704348キロリットル、1リットルの平均小売価格158.5円(国家統計局)で計算すると、醤油市場規模は13797億円。1人当たりの年間消費量は6.3リットル、年間消費金額は999円。

中華料理の作り方は日本料理より多様化ですので、1人当たりの年度醤油消費量は日本のほうがやや高いだと思いましたが、結局的には中国のほうがやや高いです。但し、中国醤油の平均小売値段は日本の半分以下ですので、1人当たりの年度消費金額は日本の半分以下となっている

日本の醤油輸出入現状

2017年度、日本の醤油輸出総数量は33564キロリットル、輸出総金額は71.5億円(1リットル=213円)、そのうち、中国に輸出数量は2917キロリットル、輸出金額は6.4億円(1リットル=219円)、輸出総数量の8.7%を占めている。輸出先の一位はアメリカ、二位は中国である。

2017年度、日本の醤油輸入総数量は1495キロリットル、輸入総金額は1.9億円(1リットル=127円)、そのうち、中国から輸入数量は1344キロリットル、輸入金額は1.3億円(1リットル=97円)、輸入総数量の89.9%を占めている。

醤油の貿易値段は小売値段の約6割。

日本の醤油輸出総数量は醤油輸入総数量の約22倍に至り、輸出先は分散してますが、輸入先はほぼ中国独占。そんなわけで、輸入品の醤油は日本市場にとって、低品質商品である。

中国の醤油輸出入現状

2017年度、中国の醤油総輸出数量は116333キロリットル、輸出総金額は136.3億円(1リットル=117円)、そのうち、日本に輸出数量は1287キロリットル、輸出金額は1.41億円(1リットル=110円)、輸出総数量の1.1%を占めている(香港、マカオ、台湾に輸出数量を除いたら、輸出総数量の1.23%を占めている)。

2017年度、中国の醤油輸入総数量は12714キロリットル(海関総署)、輸入総金額は25.9億円(1リットル=204円)、そのうち、日本から輸入数量は3310キロリットル、輸入金額は7.2億円(1リットル=218円)、輸入総数量の26.03%を占めている(香港、台湾に輸入数量を除いたら、輸入総数量の35.58%を占めている)。輸入先一位はシンガポール、二位は台湾、日本は三位である。

ここで説明しなきゃならないところが一つあります。シンガポールの醤油輸入数量にはシンガポール産の「キッコーマン醤油」を含めれている。具体的な数量は不明ですが、日本の輸入数量は三位だとしても、日本ブランドの醤油輸入数量は実に一位だと考えられている。

中国の醤油輸出総数量は醤油輸入総数量の約9倍に至り、日本に輸出の比率は極めて小さいですか、日本から輸入の比率は高いだ。そんなわけで、輸入品の醤油は中国市場にとって、高品質商品である。

日中醤油業界に各プレーヤー及び市場シェア

「キッコーマン株式会社ファクトブック資料編2018年版」により、「キッコーマン」の市場シェアは28.4%、傘下の醤油ブランド「ヒゲタ」の市場シェア5.1%に合わせて圧倒的な33.5%シェアを誇っている。二位の「ヤマサ」のシェアは11.9%であり、市場シェア上位の4社は50%以上のシェアを占めている。

中国醤油シェアは日本より分散、一位の「海天」は15.58%(市場シェアのデータは中国2017年度醤油売上高を使用)、上位の6社は30%以下のシェアを占めている。ロングテール現象は顕著に表れるの原因は、沢山の中国醤油ブランドは地域的なブランドである。

日本醤油業界上位の醤油メーカーの経営状況

(一)キッコーマン株式会社

キッコーマン株式会社(英: KIKKOMAN CORPORATION)は、千葉県野田市に本社を置く、醤油を主とする調味料の会社である。日本国内の醤油、食品、飲料事業のイメージが強いが、実は海外での売上高が全体の6割にも上がり、稼ぎ頭も海外事業だ。特に「醤油」は、海外の売上は国内の1.4倍に至り、例として、米国の家庭用醤油市場シェアの57.7%を持っている。「中国の醤油輸出入現状」にもちょっと触れましたが、中国市場で中国産、シンガポール産、日本産のキッコーマン醤油を買えます。百年歴史を持つ日本企業として、「素晴らしい」と言えます。

キッコーマン株式会社(醤油、食品、飲料、酒類、食料品製造販売など全部含め)2017年度売上高は4306億円、営業利益は365億円、当期純利益は238億円だ。営業利益率は8.5%に至り、当期純利益率は5.5%に至っている。

この営業利益率と当期純利益率、「素晴らしい」とは言えないですが、安定した「既存企業」という印象には一致である。

(二)ヤマサ醤油株式会社

ヤマサ醤油株式会社(英: YAMASA CORPORATION)は、千葉県銚子市にある醤油を中心とした調味料メーカーである。醤油業界では同じ千葉県に本社を置くキッコーマンに次いで全国シェア第2位。

「ヤマサ」は未上場企業で経営状況は不明、ホームページで公開した2017年の売上は569億円である。各醤油メーカーのシェアを参考して、「ヤマサ」2017年度国内醤油売上は210億円と推測され、老舗企業としても「素晴らしい」と言えます。

中国醤油業界上位の醤油メーカーの経営状況

(一)仏山市海天調味食品股フン有限公司

仏山市海天調味食品股フン有限公司(英: Foshan Haitian Flavoring & Food Co.Ltd.)は、中国広東省仏山市に本社を置く、20年連続中国醤油シェア一位の大手調味料メーカーである。2017年度売上高は2405.70億円、営業利益は1098.9億円、当期純利益は582.5億円。営業利益率は45.7%、当期純利益率は24.2%に至っている。

2017年の売上構成は、醤油が62.7%、オイスターソースが16.1%、その他調味ソースが21.2%となっている。醤油の売上高は1508.4億円、営業利益率は49.53%に至っている。

技術力及び生産能力の増強、全国をカバーする販売網の拡充、社内人材の教育や経営力に注力、消費グレードアップ及び業界集約度向上を追い風に、醤油製品の高品質化シフト及び値上げ実施によって、売上高及び純利益率何年連続好調を維持している。

「海天醤油」の小売価格(319.7円/L)は日本の醤油平均小売価格(350円/L)よりやや低いですが、中国の醤油平均小売価格(158.5円/L)よりずっと高く、海天社の「高品質化」方針と一致である。

(二)李錦記グループ

「李錦記グループ」(英:Lee Kum Kee)は、1888年創業で1992年から中国市場を開拓し、現在香港に本社を置く食品製造企業である。

「李錦記」は未上場企業、業務は複雑で経営状況は不明である。ここでは省略する。

「キッコーマン」V.S.「海天」、コスト

ここまで分析をしましたが、私はまだ理解をできてないところがある。日本醤油シェア一位の「キッコーマン」と中国醤油シェア一位の「海天」、何年連続好調を維持してる両社は、何で営業利益率と当期純利益率に大きな差がありますでしょうか。

決算書にもう一度戻り、コストの見てみると、売上高に対する各コスト比率は海天のほうが明らかに低いだ。原料の大豆の購買価格を両社とも公開してないけど、売上原価の差は日本の農産物価格は高いだと推測されてる。販売費には大きな差があり、これは日本市場競争が激しい及び海外市場の開拓に費用を掛かることに関係あると推測されてる。両社の社員数(キッコーマン社7105名、海天社4591名)で計算すると、一人当たりの人件費も倍以上の差があります。

中国大都市のIT業界は人件費は高騰ですが、地方の既存業界の人件費は日本のほうがずっと高いです。

「キッコーマン」V.S.「海天」、ビジョン

「キッコーマン」:国内については、しょうゆに、つゆ類、たれ類を加えたしょうゆ関連調味料の成長と収益力強化を目指します。海外については、しょうゆ事業は主要市場の深耕と新規市場の開拓を進め、さらなる成長を果たしてまいります。
つまり、日本国内には、市場シェアをさらに上がることは難しく、これからも海外進出に力を尽くします。

「海天」:生産能力の増強や販売網の拡充を通じて、市場シェアの拡大を目指します。つまり、中国国内市場を深耕すると、市場シェアをまた挙げます。

両社とも中国市場に「高付加価値製品の販売拡大」の戦略を上げ、翌年に二桁の成長率を目指してます。

最後に

ここまで読んで頂き、お疲れさまでした。
最後にちょっと冗談話をさせて頂きます。

私はお酒弱くて、果実酒や果汁入りの発泡酒しか飲めないです。今回総務省統計局のホームページで醤油の平均価格を検索すると、正式な品目は「ビール風アルコール飲料」が「缶入り(350mL入り),6缶入り」の全国平均価格は666円を知りました。醤油の全国平均価格(350円/L)より安いです。
今度、家でアルコール飲料を飲むより、醤油を飲むほうが高級感を感じるかもしれないね。

一緒に醤油を飲みませんか?一杯をどうぞ〜〜笑

今回のアナリシスは以上になります。

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