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いつか帰る場所に、近づけるように。


綺麗になったね、
そんな風にストレートに言うなんて、ねぇ、いつの間に、外国人になったの。
日本語を話しつつも、会話のところどころが英語のあなた。

何年ぶり、10年ぶり?
私達が会ったのは。
幼い私達には、こんなに月日が経って、日本で再会することは想像出来なかったね。
そして、こんなに会わないことも、想像していなかった。
またすぐ会えるものだと思っていたし、こんなにすぐ、大人になってしまうなんて、思ってなかった。
そう、時間が経った、あれからすごく。

お互いに会社で働いているし、車も運転する。服装も変わったし、身長も伸びた。
一緒に並んでスニーカーを履いて、トランポリンをして、森の中にいた私達は、もう記憶の中にしかいない。

寂しくて。
愛おしく、尊い。

マックグリドルがまだ日本になくて、感動して食べていたのを覚えているし、ピザ屋に行けば謎のお菓子のメニューがあった。キャンプでは初めてマシュマロを焼いたし、マーケットに行けばはちみつのシリアルをいつも買っていた。行ったところはほとんど覚えているし、過ごした家も記憶の中に、まだ生きてる。

けど、目の前にいる私達はこんなにも大人の顔つきになってしまって、時間はこんなにも過ぎてしまったんだという事実を知る。


私の知らない世界で生きる人、それでも同じ時間を過ごし、家族として遠い国で生きている。
私はなぜ、今日本にいるのだろう。本当はどこにいたいのだろう。そんな考えが頭をよぎる。


私は寒空の下を震えながら歩いているのに、こんなの寒いうちに入らないよと笑っていうあなた。
知らない、私はその寒さ、知らない。
私も知りたい。感じたい。
行きたい、違う。私も、帰りたかった。
あなたが日本に帰ってきたように、私もあの場所に帰りたい。

本当はもっと、一緒にいたい、色んな話をしたい。 これまでのことも、これからのことも、あなたと、沢山話したかった。
あなたの見る世界を知りたかった、私の世界も知ってほしかった。もっと一緒にいれたらいいのにって、心の中の我が儘。


大丈夫、行こうと思えばどこだって行ける。
大丈夫、大丈夫だよと言い聞かせる。

会いに来てくれたなら、次は私の番だね。
必ず会いに行くよ。必ず、帰るから。
遠い未来での、約束。

会えて良かった、本当に良かった。
大好きな友人であり、大切な兄弟のあなたへ。
またいつかまで、元気でいてね。

会える時間を作ってくれて、どうもありがとう。


#日記 #エッセイ #コラム #ポエム #家族 #居場所


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