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聖杯戦争候補作

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つのが某所に投下した亜種聖杯戦争の候補作。落選多数。 鯖や鱒はご自由にお使い下さい。
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【聖杯戦争候補作】アウトサイダー

「狩りだ、狩りだ、楽しい狩りだ」  東京、深夜。黒髪の少女は小さく歌いながら、高層ビルの屋上をスキップし跳ね渡っていく。下はネオンきらめく歓楽街、無数に行き交う人の群れ。鉄の車が道を行き、商賈の声は夜もやまず。  ばららん。少女が手に持った弓の弦を撫でれば、魔力持つカラスの群れがまとめて死に、極道たちが息絶える。魔獣たちも恐れおののき、闇の中へと逃げ散っていく。少女は次々と弓弦を撫で、それらをたやすく射て殺す。  死神のごとき狩人に、あたりに潜んでいた英霊たちがおびき出

【聖杯戦争候補作】Disposable Heroes

「……以上の件について、報告を終わります。では……」 見滝原を一望できる超高層ビルの一室。大きく重厚な机と立派な椅子に座るのは、40がらみの偉丈夫。眉目秀麗な男性秘書の報告を聞いていたその男は、差し出された書類に判を押した。 「ご苦労。下がってよろしい」 「はい。それでは、失礼致します。CEO」 秘書は、男の放つ威圧感に冷や汗をかきつつ、完璧な所作でお辞儀し、退室した。 男は視線を背後の窓の外、夕景に移す。記憶はあるのに、記憶にない街だ。 立ち並ぶ高層ビル。最先端技術を

【聖杯戦争候補作】Damaged Goods

午後の京都に、曇天から雪が舞い落ちる。 旧正月、春節は確か二月中頃。その頃には中国人観光客が溢れるだろう。年末年始の混雑も落ち着いた、ちょうどいい時期だ。 「こうしてゆったり日本国内を観光することって、そういや、あまりなかったなァ……」 京都市右京区、嵐山の渡月橋。観光客の一人として、その男はここを訪れていた。デジカメや携帯端末で、何枚もそれっぽい写真を撮り、次々とSNSにアップする。結構フォロワーも増えた。 「……ま、たまには休暇を愉しむか。戦争はもう始まってるけどね…

【聖杯戦争候補作】カルマ / supernova

010110101101010110101101010110101101010110101101 「……■■、■■! 捜しましたよ! フラッといなくなって、何をやってたんですか」 「やあ■■■■君、ちょっとね。経過は順調ですか?」 「ええもちろん。でもあなたがいないと、まだいろいろ困ります」 「すみません。ですが、■■は成功だったと、これで証明された……」 010110101101010110101101010110101101010110101101 01011

【聖杯戦争候補作】兆し

モンスター【英:monster】 怪物、化物。語源はラテン語「monstrum(不可思議なもの、奇怪なもの、正体不明の怪物、驚異)」で、動詞「monere(警告、忠告、予兆)」に遡る。 古代人にとって、驚くべき出来事や奇怪な生き物の出現は、神々から人間への警告であり、何か異常なことの前兆であると考えられていた。 monition(警告)、premonition(予告)、monitor(忠告者・監視者)、monument(記念碑)なども、同じ語源から派生している。  ◆ ◇