見出し画像

【2023年エイプリルフール企画】立ち枯れの時代と鷲の一族について

 ドーモ、三宅つのです。これまでつのはニンジャスレイヤー世界における古代ニンジャ伝承などについて考察して来ましたが、今回はその後に訪れた「立ち枯れの時代」について、またこの時代に人類を支配しようとした「鷲の一族」について概観してみましょう。ネタバレやNRSにご注意下さい。

https://en.wikipedia.org/wiki/File:Tommaso.Laureti_Triumph.of.Christianity.jpg

立ち枯れの時代

 ニンジャスレイヤー世界において、ニンジャが振るう超常的なパワーの源泉(いわば魔力)は「エテル」といいます。オヒガン(霊的世界)と現世のリンクが強ければエテルは多くなりますが、平安時代後期から西暦2000年(Y2K)までにかけては現世とオヒガンのリンクが弱まり続け、ニンジャは弱体化していき、「立ち枯れの時代」が訪れました。

「かつては黄金時代だったが、世界は徐々に悪くなっていく」という末法思想や終末論は世界中にあります。ギリシアやローマでは黄金・銀・青銅・鉄の四つの時代(ヘシオドスは鉄の時代の前に英雄時代を挿入しました)が語られました。ユダヤ人はダニエル書でこれを真似、鉄の時代の次には鉄と粘土が混ざった末世が訪れ、最後に神が岩によって打ち砕くとしています。インドでは四つのユガ(時代)が宇宙的なサイクルで巡るとされますし、メソアメリカの神話でも「世界は何度も神々に滅ぼされた」と語られています。最初に「黄金時代」が置かれるのはキンカクと関係があるかも知れません。

 この世界の平安時代は紀元前1300年-西暦1603年3000年近くあります。均等に三分割すれば968年ずつで、前期の終わりが紀元前332年(アレクサンドロス大王の時代)、中期の終わりが西暦636年(イスラム大征服時代)となります。しかしグンペイ・ヘイケやブル・ヘイケが活動した時代(我々の世界でいう源平合戦頃、12世紀後半)も「平安時代中期」とされます。一方『ジ・アブソリューション』には「13世紀において、ニンジャたちはもはや半神的な力をほとんど失ってはいた」とあります。ニンジャ大戦から2500年も経てば、エテルの流入量は相当に減ってはいたでしょう。

 仮に平安時代を我々の世界の歴史どおり西暦794年からとすれば、1603年までは809年ほどで、三等分すれば約270年ずつ。すなわち前期は1063年頃まで(日本では1052年が末法元年)、中期は1333年(鎌倉幕府滅亡)頃までとなります。この場合には「平安時代後期」は南北朝・室町時代です。そもそもソガ・ニンジャらによってニンジャの真実の歴史は隠蔽されているため、モータルの間では「平安時代」は紀元前1300年からではなく、西暦794年からと信じられている可能性はあります。ブル・ヘイケの話はユカノが門弟に語り伝えている形式なので、表向きにそう説いたのでしょうか。

 15世紀前半、ジャンヌ・ダルク(1412-1431)の時代には「流入するエテルの減少によりリアルニンジャたちは黄昏と立ち枯れの時代に差し掛かっていた」といいます。奇しくも彼女の死の同年に生まれたとされるブラド・ツェペシュ(1431-1476?)はリアルニンジャ「ノスフェラトゥ・ニンジャ」からインストラクションを受け、リアルニンジャ「ブラド・ニンジャ」となっています。『クルセイド・ワラキア』では後世のミームの影響もあってか凄まじいカラテを振るったものの、ニンジャに成り立ての彼は(エテルの乏しさもあり)まださほど強くはなかったようで、結局はオスマン帝国に敗れて休眠状態となり、歴史から姿を消しています。

 平安時代末期、戦国時代から江戸戦争(1573-1603)の頃には、明らかに立ち枯れの時代に入って来ています。それでも各地にはまだリアルニンジャが戦国大名やその側近等として存在し、チャドーによってオヒガンからエテルを引き寄せており、サムライニンジャスレイヤーも活動していました。さらに江戸時代や近代においてもニンジャは各地で暗躍し、世界大戦やケネディ暗殺、ウォーターゲート事件などにも関わっていたようです。

 また『プロメテウス・アレイ』には、1990年代のアメリカに「フォーセイクン(見捨てられた者たち)」と自称する存在が登場します。師からインストラクションを受けてニンジャになったものの、カラテもジツも中途半端で新たなニンジャを増やす秘儀(カイデン)も継承できないまま師と離別してしまったニンジャたちです。彼ら/彼女らは長く生きていく中で自らの過去の記憶も曖昧になり、迫害から隠れてひっそりと生き続けています。

 ニンジャスレイヤーTRPGマスタリング質問所(17)によれば、1990年代のニンジャはY2K以降のニンジャよりも相当に弱まっています。モータルよりは強いものの、ジツもカラテ・ワザマエ・ニューロンも鈍り、回避能力や回復力も衰えています。サイバネもバイオサイバネも未発達なので装備できません。強大なリアルニンジャたちはエテル不足で休眠状態にあります。

 このような時代にあっても、フジキド以前のニンジャスレイヤー、ユカノ以前のドラゴン・ニンジャ、フィルギアなど一部のリアルニンジャは活動していました。ドラゴン・ゲンドーソーがいつリアルニンジャになったのかは不明ですが、フォーセイクンばかりでなくカイデンを授かったニンジャもいたのです。20世紀後半には特殊な例とはいえパンク・ニンジャが出現しましたし、極めて稀なことにニンジャソウル憑依現象もありました。メフィストフェレスはスターリングラードの戦い(1942-43)の時にアーチ級のニンジャソウルが憑依しています。

鷲の一族

 そして立ち枯れの時代には、ニンジャとは別に世界(人類)を支配しようとする勢力が存在しました。そのひとつが「鷲の一族」です。

 彼らはニンジャでなくモータルであり、「ローマ皇帝の血統」と称する闇の貴族たちです。ただ初代ローマ王のロムルスはニンジャなので血統は残せません。初代ローマ皇帝アウグストゥスの血統は早々に途絶えていますし、帝位は男系や女系で繋がっているわけでもありません。東ローマか神聖ローマの系統かと思われます。彼らは血統と伝統による秩序を重んじ、ローマを滅ぼしたニンジャたちを嫌っていました。

 鷲は実際古代ローマ帝国の国章であり、カール大帝はじめ欧州各地で国章・紋章として使用されていますが、中世以後は「双頭の鷲」がローマ皇帝の紋章として用いられています。これは10-11世紀に中央アジアからセルジューク朝によってもたらされ(同じモチーフは紀元前からありますが)、東ローマ帝国最後の王朝・パレオロゴス朝(1259-1453)によって採用されました。のちこの紋章は神聖ローマ帝国/ハプスブルク家やモスクワ大公国/ロシア帝国にも採用されています。鷲の一族の影響でしょう。

鷲のニンジャ」の創始者・大イシュトヴァーンは平安時代の人物で、もとは鷲の一族に仕えるモータルの戦士でしたが「シルクロードを超えて平安時代の日本へと渡り、ドージョーに入門してリアルニンジャとなった」といいます。それまでニンジャは鷲の一族にとって不倶戴天の敵でしたから、何か危機的な状況によってそうせざるを得なかったのでしょう。

 イシュトヴァーンはハンガリーの人名で、新約聖書の登場人物ステファノの訛りです。またハンガリー王国は鷲とも隼ともされる伝説の猛禽トゥルルを国章としています。カトリックの国ですが神聖ローマとも東ローマとも接しており、シルクロードを通って東アジアへ到達するのも不可能ではありません。1240-42年にはモンゴル帝国が襲来し、ハンガリーを含む東欧・中欧を蹂躙しています。また東ローマ帝国は1204年に第四次十字軍によって帝都コンスタンティノープルを奪われ、1261年にようやく奪還しています。大イシュトヴァーンが日本に来たのはこの頃でしょうか。

 地中海の中央にあるシチリア島には「鷲の一族」の霊廟があり、古代のオリハルコン(エメツ含有合金)が用いられた「鷲の武具」が納められていました。12世紀から19世紀までシチリアを統治したシチリア王国は、14世紀頃からを紋章としており、鷲の一族との関係をうかがわせます。この国はノルマン人が東ローマ帝国から奪って建国したものですが、アラブや東ローマの文化を色濃く残した先進国で、13世紀にはシチリア王が神聖ローマ皇帝に即位したほどでした。鷲の一族がいてもおかしくはありません。

 鷲の一族は欧州・ロシア・アメリカ・日本等で暗躍していたようですが、やがて「メガトリイ・コミュニケーション」という暗黒メガコーポを設立し、世界を支配しようとしました。通信やインターネット、宇宙開発などを主要ビジネス分野としていたといいます。20世紀後半に急速に拡大したこれらの産業の影に、鷲の一族がいたというわけです。

 魔術師は古代からオヒガンとコネクトする方法を密かに伝え、アナログコンピューターのたぐいも存在しましたが、社会に普及していませんでした。我々の世界において「電信」が発明されたのは19世紀で、早くも19世紀半ばには国際通信ネットワークである海底ケーブルの敷設が始まっています。インターネットが人類に「発見」され、UNIXによる接続が始まるのは1970年頃からですが、それ以前から地球を覆う電信網が古来の霊脈とかと連動し、インターネットと接続したのかも知れません。

 LAN(Local area network)の通信規格であるイーサネット(Ethernet)は1973年に開発されましたが、etherとはまさしくエテルのことです。宇宙ステーション「スカイラブ」打ち上げと同年で、アポロ11号が月に到達したのが1969年です。インターネットの発見や、米ソによる宇宙開発競争には、当然鷲の一族やニンジャが関わっていたはずです。

 ニンジャスレイヤー世界で1980年代からの日本の経済成長が止まらず(バブル崩壊が起こらず)、世界中に日本のマネーとミームが伝えられていたのは、メガトリイ社が日本に拠点のひとつを置いていたからかも知れません。鷲の一族は宇宙開発を推し進め、1980年代までに月の裏側に通信基地を建設し、宮殿として住まうようになっていました。しかし人類を永遠に支配しようとした彼らの野望は、Y2Kの発生によって打ち砕かれたのです。

0101010101◇01010101010

 概観して来ましたが、平安時代中期からY2Kまでには、他にも様々な重大事件が起きています。しかし歴史の闇に不用意に触れることは得策ではありませんから、今回はこのあたりにしておきましょう。

【以上です】

※この記事はフィクションです。実際のなんかとは関係ありません。

つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。