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【聖杯戦争候補作】Cross Road Blues

週末の午後。冬木市新都にある外人墓地の一角。目の前には石畳と、立ち並ぶ墓石。天気は曇りで、人けは少ない。なぜここへ来たのだったか、もう覚えていない。そも、この町に住んでいたという記憶はないのだ。旅行だか、撮影だか――――いや、墓地で撮影をするような仕事は、確か予定にはなかったはず……。ホテルの場所は……。

その少女はベンチに座り、ただただ唖然呆然としていた。何が何だかわからない。完全に自分の理解の範疇を超えている。

ユーア・ソーベリベリ・アルティミット・ラッキーガール! オレを引き当てちゃうなんて、世界一、いや、全並行世界で一番運がいい!』

「そ、そぉ? こんな戦いに呼ばれちゃった時点で、あんまり……」

ギターケースを傍らに置き、ヘッドホンを首にかけたボーイッシュな少女と、痩せてアフロヘアーでグラサンのハイテンションな髭面黒人。後者は半透明で空中に浮かび、その声は少女にしか聞こえない。肩に担いだラジカセからは、なんか単調なフルートや小太鼓の音が流れている。カジュアルルックなおもしろ黒人の幽霊は、意味不明なマシンガントークを切らさない。

『このオレが呼ばれて飛び出て来たからにゃ、聖杯なんて手に入れたも同然! てゆうかオレが聖杯(ガンダム)だ! さア、何になりたい? 銀河系一のスーパーアイドル? 富や名声、不老不死だって思いのままさ! なれると思えば円環の理にだってなれる!』

「は、はは……一応目標は『ロックなアイドル』だけど……さしあたり、ギターがうまくなりたいかなーって……」

『ワオ!そいつはステキなお願いだ、ノーロック・ノーライフ! 地球(スズホ)に跨り、世界(ヘレン)をモノにしちまおうぜ!』

まことにノンキな二人だが、ここは殺し合いの場。聖杯戦争の舞台、冬木市だ。たった今記憶を取り戻し、サーヴァントとしてこの変な奴を呼んだ、というか割り当てられた彼女は、大変困惑していた。

少女はため息をつき、しゃべくり続けながらくねくね動きまくる幽霊―――自分のサーヴァントに問いかける。

「で、その、クラスと真名を教えてくれると嬉しいんだけど……、あっ、こっちから名乗らなくちゃ。私は『多田李衣菜(ただ・りいな)』。リーナって呼んでほしいな」

サーヴァントはニッと口角を吊り上げ、右掌をシュタッと顔の横に上げる。

『オケェイ、リーナ。今後とも死苦夜露! んーオレのクラスはねー、何にしよっかなァ……? アレだとアレだし、あっちもアレか……七枠もう埋まってるよねェ……』
「え、自己申告で決まるモンなの?」

いつの間にか彼の手の中に、ラジカセではなくタブレット端末が出現し、何かを確認している。

『おし決めた、エクストラ・クラス!「ウォッチャー」ってのにしよう!オレにピッタリ!「ゲートキーパー」でも可!』
「『ってのにしよう』!?そんなんでいいの!?」
『いーのいーの、細かいことは気にすんなよリーナ。んでなんだっけ、真名?これもなー、いっぱいあってなーオレ。どうしよ』

わけがわからないが、随分イレギュラーな存在であるようだ。ただでさえ異常事態なのに、思わずツッコミ過ぎて頭痛がしてきた。

「何者なんだろ……まあ普段は『ウォッチャー』って呼べばいいんだよ、ね?」
『ん。ルーラーになんか言われたらキャスターでもいいぜ。オレ的にはセイヴァーとか……えーと待って真名決めるから、サイコロで』
「サイコロ!?」

李衣菜のツッコミを流し、ウォッチャーは地面にしゃがみ込んで茶碗を置くと、3つのサイコロを投げ入れた。

『いっせのせ、コロコロコロっと……8・9・3、うん、決まった』
「8と9!? 6面ダイスじゃないの!? てかヤクザ!?」
『10面ダイスだよ、知らねえ? えーオホン、そんじゃオレの真名は、今から「フランソワ・デュヴァリエ」だ!』

両手を広げて宣言するウォッチャー。李衣菜の眼が点になる。

「……誰!?フランス人なの!?てか可愛いな名前!?」
『ナニ、知らねえのこの名前。あとフランスじゃなくてハイチな、ハイチ。あーたぶんキミが生まれるずっと前に死んでるわ、この名前のオレ』
「死んでるの!? いや死んでるから英霊なんだろうけど、私全然知らないよ!?ハイチってどこ!?」

あー、と声を漏らし、ウォッチャーはタブレット端末を操作して地図を見せようとする。が、面倒くさくなったか途中でやめた。

『カリブ海。アメリカの南、メキシコやキューバやジャマイカの東……。まあいいや、知らなくってもノープロちゃん。知ってたら失禁して失神しちまうぜ、有り体に言ってヤバイ奴さ。今で言えば刈り上げデブぐらい?もうちょいマシかな?』

ニタニタ嗤いながら、ウォッチャーは地面に……石畳の道が交わる、十字路の真ん中に降り立つ。タブレット端末は懐にしまった。

『そんじゃあ、真名にふさわしい姿に変わらなきゃあね。んマジカァル*ヴードゥーパゥワー・メーイクアッー!ブ!!

突如、奇声をあげ閃光と屁を放ちながらキリモミ回転するウォッチャー。虚空からシルクハットが現れ、アフロヘアーにポンと乗っかった。同時に顔には白い髑髏めいたペイントが施され、体を黒い燕尾服が包み、手には手袋とステッキが出現する。紳士然としたスタイル。問題があるとすれば、ズボンを穿いていないことだけだ。ご安心下さい、靴下は穿いてますよ。あくまで紳士ですから。ステキなステッキの先端にもモザイクがかかっているのでご安心下さい。海苔の方がいいかい?

「変態だーーーー!!!!」

李衣菜は涙と脂汗を浮かべ、口を◇にして絶叫した。完全にヤバイのを引き当ててしまったらしい。

†◇†

……数分後。やや落ち着いた李衣菜は、ウォッチャーから目を逸らしながら、方針を話し合う。

「えと、さ。この聖杯戦争って、その、殺し合いなんだよね?」
『イエス、オフコース。他に何だと思ってた? MMORPG?ソシャゲー?転生ハーレム?クロスオーバーSS?エピロワ?AV企画?薄い本?』
「……私、死にたくもないけど、殺し合いなんかしたくないよ。ウォッチャーがどれだけ強くても、相手を殺すのは止めたい」

生まれてこの方、世の中の善良で明るい部分ばかりを見てきたと言って良い彼女にとって、殺し合いなど遠い世界の話だ。ましてや魔術だ英霊だ聖杯だと言われても、蘭子や小梅ならともかくさっぱりだ。空の上に行く夢だって見たこと無いのに。それでも、平凡普通な日本人として。否、ロックなアイドル、多田李衣菜として。この異常な現状に、なんとか立ち向かわねばならない。

『そう言うと思ってたよ、お優しいベイブ。オレが本気を出せば、こんなシケた町一瞬で地獄絵図だぜ?でも、それは見たくないと』
「うん。サーヴァントだけ倒して、マスターは殺さないって、約束して欲しい。命令じゃないから、令呪は使わないよ」
『オーケーオーケー、残念だけど、それぐらいの縛りプレイしなくちゃ面白くないもんね。イージーイージー!』

くるくる回りながらニタニタ嗤うウォッチャー。目を逸らしている李衣菜には見えないが、あんまり残念って感じではない愉しげな表情だ。

『で、聖杯にかけるキミの願いは? そう、「ギターがうまくなりたい」だっけ? そんなもんでいいのかい?』

下半身丸出しで空中に横臥し、ビッとステッキの先端で李衣菜を指すウォッチャー。李衣菜は顔を向けず、震え声で答える。

「……聖杯は、要らない。生きて還って、元通りの暮らしに戻りたい。自分の願いは、夢は、自分で叶えたい、よ」

ウォッチャーはうんざりした顔をし、大あくびをする。右の小指で耳をほじり、左の小指で鼻をほじる。ああなんと月並みな、善良な、平和ボケした、テンプレ通りのお答えであろう。オレ様が世の中の不条理、理不尽を教えてくれようかしらん。つっても、オレ自身のこの姿も、なんといつも通りの、変わり映えしない姿であろうか。もっとヒネれや。女体化やショタ化でもすべきだったか。いやいや、そういう風潮に敢えて逆らうスタイルとしてね、こういう伝統的な……売れない芸人みてえな言い訳だな、チクショウ。

「それとさ、もし良ければだけど、」
『チッ、「他の参加者も助けて」っつーんだろ?ノンキなご主人様ァ。ハイハイ、まぁ適当になんとかしてやるよ、オレ別に聖杯とかいらねーし』

急に機嫌が悪くなったウォッチャーに、李衣菜はビクつく。だが、危険であっても強力無比なサーヴァントではあるらしい。なんとか手綱を握り、その力を良い方へ振るうように仕向けねば。ことは自分だけの問題ではなく、大勢の人の、ひょっとしたら世界の運命を……。

『あ、ひとつ問題があってさ』
「え?」
『オレ、十字路でないと出現できねえんだ。あんまり強力過ぎるから、それぐらいの制限はいるだろ?』

出現できないというのはウソだが、味方を欺くにはマスターからだ。思わず振り向いた李衣菜は目を白黒させている。

「じゃ、じゃあ、それ以外の場所で私が襲撃されたら、ヤバイ?」

ニカッと爽やかに嗤うオレ様。やはり、他人がビビる顔を見るのはスカッと爽やかな気分になれる。特に無力な弱者と、驕り高ぶる強者の。

『ダイジョブダイジョブ、お嬢ちゃんが十字架とか卍とか*とか身につけてたらオッケーだから。ペンで書いても、家具を並べてもいーよ。でもガチでパワーを振るう時は、やっぱり道路が十字に交わってるとこがマイベストプレイス。そこんとこだけ気をつけてね!』

こっちはちょっとマジだ。十字のシンボルは別にキリスト教の専売特許ではなく、世界中の古代文明で愛されてきた。道が交わり、人が交わり、四通八達し、交流し、ぶつかり合う。ヒト・モノ・情報の移動が、現代まで続く人間社会を作ったのだ。大西洋を渡った奴らの、クロスオーバーで生まれたクロスオーバーの化身であるオレ様が、この舞台に呼ばれたってことは、そういうアレだ。多少のスリルと不自由さを味わうために、自分に制限を設けたってよろしかろう。ほら、負けても負け惜しみの言い訳が立つしね。(フラグ)

――――ん?まだオレが誰かわからないって?またまたご冗談を、これだけ情報出てんだから分かるでしょ?キミの目の前に検索機もあるしさ。しょうがないにゃあ、解説してやるよ。目ン玉かっぽじってケツの穴に突っ込みな!

ウォッチャーは、突如タブレット画面に上半身を突っ込んだ。

@@@@@@@@@@

【クラス・真名・波羅蜜多】じゃねえや、ちょい待て。

ハローワールド、ハローハロー? 聞こえるかい? シェマ・イスラエル!アッラーフ・アクバル!ナマステ・アーメン!ジャー・ラヴ!

ファックYO! オッスオラ『フランソワ・デュヴァリエ』!愛称はパパ・ドク!1971年におっ死んだ、ハイチのイカレた独裁者!弱っちい近代鯖!よろしく!(アヘ顔ダブルファックオフサイン)

―――ってことになってるが、ホントの名前はバロン・サムディ(土曜日男爵)!またの名はバロン・ラ・クロワ(十字架男爵)、バロン・シミテール(墓場男爵)!皆様御存知、死神ゲーデの王様だ! あるいはレグバ、エレグア、エシュ、メートル・グランシマン(大道の主)、メートル・カルフール(交差点の主)、アティ・ボン(善なる木)、アナンシ、サタン、メフィストフェレス、ヘルメス・トリスメギストス、聖ペトロ、大天使ミカエル、ジーザス・クライスト、ニャルラトホテプ! ひょっとしたら地蔵菩薩でエンマ大王で、デッドプールかも知れねえ! 永遠の交差点でキミと握手! 問題児様が異世界から来やがりましたよ?

でさァ、聖杯つったらジーザスのアレだろ? つまりオレのものはオレのもの。つってアレか、この聖杯はそっちじゃねえか。他の参加者全員ぶっ殺さねえと出てこねえ、シャイなあんちくしょうの方だよな。オレにかかっちゃベイビーの手首を回転させるより楽勝でゲット出来ちまうが、それじゃつまんねぇよね。マスターも可愛いお嬢ちゃんだし、正義の味方を気取ってもいいんじゃね? たァだし、オレは大ウソツキの天邪鬼なのをお忘れなく……ゲッゲッゲ!

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突然のウォッチャーの奇行に、突然の奇行ばかりだが、李衣菜はおそるおそるツッコむ。

「……ね、ねえ、ウォッチャー。何やってんの?」
『ちょっと第四の壁を越えて、独り言をぶちまけてるだけさ。お前さんには内緒の話!』

彼のむき出しの下半身、尻の穴から声がした。間もなくズボッとタブレット画面から上半身を引っこ抜き、ウォッチャーが戻ってきた。いつの間にやら、その手にはラム酒の瓶と数本の葉巻が。どこからか調達してきた、彼の大好物だ。これさえあれば、彼は機嫌が良いのである。葉巻に火をつけ、鼻の穴でふかしながら、ラム酒をラッパ飲み。よーしよし、ノッて来た。あとはハッパとかも欲しいな。

ゲェップ! せっかくだ、聖杯をゲットしたら酒とションベンをなみなみ注いで、ぐいっと一杯やってやろぉか!ニャーーーッハッハッハァ!!! ……じゃ次のコーナーはお待ちかね、鯖と鱒の解説いってみよー!』(ジングル音)

【クラス】
ウォッチャー

【真名】
フランソワ・デュヴァリエ/バロン・サムディ@史実(20世紀ハイチ)/ヴードゥー教

【パラメーター】
筋力E 耐久E 敏捷A++ 魔力EX 幸運EX 宝具EX

【属性】
混沌・中庸

【クラス別スキル】
観測眼:EX
万物を見通す視線。心眼、千里眼、戦術眼、魔眼、真名看破、人間観察など「観測」と「眼」に通じるスキルを遍く内包する。あらゆる死者の人生を知っており、過去視はおろか未来視、メタ視も可能であるが、それを告げたり役立てたりするかはご機嫌次第。

陣地作成:A
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。“工房”を上回る“神殿”に相当する“墓場”を形成することが可能。

道具作成:B
魔力を帯びた器具を作成できる。特に呪術で用いられる道具の作成に秀でる。材料は主に“墓場”で調達可能。

【保有スキル】
ロア:A
ヴードゥー教で崇拝される神ないし精霊であることを示す。神霊のようで神霊でないと言い張り、対神性スキルを無効化できる。表向きはカトリックの聖人崇敬と習合しているが、聖人スキルは持たない。おおむね全知だが全能ではない。

呪術:A+
ヴードゥー教やサンテリアなどアフリカ系の魔術体系全般を使用可能。特に生(性)や死と直結するものに関わりが深い。病気や負傷の治療、ゾンビを作ることも鼻をほじりながら可能。幻術、煽動、高速神言、対魔力などを包含する。

反骨の相:EX
生粋のトリックスター。あらゆる権威を否定し嘲笑う無法者。何者にも従わず、己の欲することを行う漂泊の道化。カリスマや皇帝特権等、権力関係のスキルを無効化し、逆に弾き返す。令呪についても具体的な命令であれ決定的な強制力になりえない。

精神異常:A
虚言癖。あるいは典型的なサイコパス。契約と禁忌に理解を示さず、平然と誓いを踏み躙ることができる精神性を持つ。他人の痛みを感じず、周囲の空気を読んだ上であえて読まない。精神的なスーパーアーマー能力。

【宝具】
『色彩豊かな既知外帽子(シャッポ・コロール)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1-10 最大捕捉:40

神々の使者にして混ぜっ返し屋「エシュ」の相が被る帽子。四面が緑・黒・赤・白の異なる色の布で出来ており、四方世界の中心に立つことを象徴する。彼がこれを被って道を歩き、両脇の畑で働く仲の良い二人に帽子の一側面を見せつけたところ、二人は帽子の色のことで仲違いし、殴り合いの喧嘩になったという。この宝具の側面を見た者は、物事に多様な側面があることを忘れ、一面的な物の見方をして対人関係のトラブルを引き起こす。上面を向けて回せば催眠術がかかる。

『クッソ汚い麻袋おじさん(トントン・マクート)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1-99 最大捕捉:?

デュヴァリエが組織した黒人秘密警察「国家治安義勇隊 (MVSN) 」の隊員を、グラサン黒人ゾンビとしてレンジ内に大量召喚する。ゾンビは適当な低級霊に操られて動き、敵対者を襲撃し、麻袋に詰めて拉致して暴行・拷問を加え、銃火器やマチェーテ等で惨殺する。ゾンビに殺害された者もまたゾンビと化し、無尽蔵に増殖を続けていく。ゾンビ群の維持にはさほど魔力を必要とせず、墓場で呼べば効率が良い。麻袋の中には『ゾンビ・パウダー』が詰まっており、ばらまけば吸い込んだ者を麻痺・昏倒させる。レシピはテトロドトキシンとかその辺。発動と同時にレンジ内が地獄絵図と化すが、ゾンビ自体はさして強くない。『ゾンビ・パウダー』はサーヴァントにも効く。

『ようこそクロスロードへ(カルフール・イターナル)』
ランク:EX 種別:対界/結界宝具 レンジ:? 最大捕捉:?

永遠の交差点。ウォッチャーがいつも立っている、現世と来世、全ての場所と並行世界に通じる十字路。全ての魂が通過する場所。根源ではない。一種の異世界で、宝具と言っていいのかも不明。接続すればスキル「単独顕現」「仕切り直し」「蔵知の司書」「専科百般」等等を各々Aランクで持つも同然。ただし接続には何かが「交わっている」地点を介する必要があり、特に道が交わって十字路になっている場所では十全な能力を発揮する。墓場でもOK。また「全ての閉ざされたものを開き、開かれたものを閉ざす」ことも可能。具体的には第四の壁を乗り越え、展開された固有結界を無効化できたりする。固有結界として展開した場合、無限に続く道が交わる十字路に相手をご招待し、様々な場所へランダムで転送する。運が良ければ元の世界へ帰れるか・も。

【Weapon】
ステッキとピストル。ステッキの先端には男性のナニが刻まれているが、モザイクで隠されているから完全に大丈夫。ピストルは滅多に使わないが、肛門めがけて発射されることもあるから気をつけてね*

【人物背景】
フランソワ・デュヴァリエ(1907-1971)は、1957年から14年余りハイチの大統領であった人物。黒人多数派を代表するポピュリスト政治家で、農村福祉に長年携わった医師でもあり、「パパ・ドク(医父)」として親しまれた。だが大統領当選後は豹変して恐怖政治を敷き、エリート層であったムラート(白人との混血)や外国人聖職者を追放。トントン・マクート(麻袋おじさん)と呼ばれる秘密警察組織「国家治安義勇隊」を結成して反体制派を粛清した。またヴードゥー教の司祭(ウーンガン)を名乗ったばかりか、自らをロア(精霊)であるバロン・サムディと同一視させ、個人崇拝を強める。憲法停止、終身大統領への就任、血縁政治、世襲、汚職と収賄という絵に描いたような暗黒独裁国家が現出し、デュヴァリエ一族と部下を除く民衆は貧困に苦しんだ。しかし国民の大多数を占める黒人たちは熱狂的にパパ・ドクを支持し続け、その子べべ・ドク(1951-2014)も15年間独裁政治を敷き続けたという。

これはもちろん、彼がマジでバロン・サムディの化身であったためである。糖尿病による心臓発作を起こし、あの世でバロン・サムディと入れ替わってしまったのだ。燕尾服に山高帽、骸骨のような顔をしたこのロアは、ヨルバ族におけるエシュ、フォン族におけるレグバに相当し、陽気で猥雑で下品なトリックスターとして知られる。彼は運命と生(性)死を司る存在で、死者の魂が必ず通る十字路「永遠の交差点」に立っており、全ての死者の人生を知っているため最も賢明なロアである。

レグバやエシュとしては、西アフリカ南部の他、サンテリアやマクンバ、カンドンブレなど中南米のアフリカ系習合宗教で広く祀られ、大変人気がある。なお伝説的なブルース歌手ロバート・ジョンソンは「十字路で悪魔に魂を売り、ギターテクを身につけた」との伝説があり、これがレグバであることは言うまでもない。

『Fate/strange Fake』におけるウォッチャーの真名『■■■・■■■■』とはつまり010101101010010キャスター、アサシン、ランサー(意味深)の適性もある。ロアが憑依することを「馬に乗る」と言うので、ライダーの適性もあるかも知れない。

【サーヴァントとしての願い】
自力でだいたいなんとか出来るので要らない。でも獲得すれば他の参加者への嫌がらせにはなるので、まあゲットしてやってもいい。

【方針】
気の向くままにやりたい放題。生かさず殺さず、自分のマスターを含む参加者を適当におちょくって遊ぶ。マジメな奴や調子こいてる奴、権力者なんかが狙い目。降り掛かる火の粉には7倍ぐらいにして返した上でNDK?と嘲ってやる。まあ、マスターの命だけは守ってやるよ(ドヤ顔)。あまりにもチートな奴ばかりでめんどくさくなったら、第四の壁の彼方に逃げて野次りつつちょっかいをかける。戦いなんてよくないわ。

【カードの星座】
便座……いや、双子座にしとこう。


【マスター】
多田李衣菜@アイドルマスター シンデレラガールズ

【Weapon】
ギター。ただし弾けないのでライブではエアギター。結構なお金持ちのお嬢様らしく、SR[エイトビートロッカー]やアニメではストラトのCopper Burstカラーを持っている。

【能力・技能】
歌って踊れるアイドル。体力はそれなり。

【人物背景】
17歳の女子高校生アイドル。身長152cm、体重41kg。趣味は音楽鑑賞。CVは青木瑠璃子。愛称はリーナ、だりー、だりーな等。明るくお調子者な妹系にわかロッカー。ロックミュージックを聴くのは好きだが、知識はあんまりなく、ギターも練習中。育ちは良いらしく、魚の煮付けを作ったり出来るが、色々と世間知らずのお子様。高価なヘッドホン多数やギターを所有する。ラノベ主人公めいた天然の女タラシの才能があるが、本人はノンケで無自覚。

【マスターとしての願い】
ロックなアイドルになるため、ギターがうまくなりたい。ただし聖杯に願うことはしない。

【方針】
生きて帰る。誰も殺さない。戦いはサーヴァントに任せる。とりあえず、宿泊しているホテルに戻る。

◆◆◆

おれのロア、バロン・サムディの初登場だ。やつはある日突然降りてきた。星座聖杯の企画主が登場させようとしていたら、おれの方へ来たらしい。それ以来、やつはおれを引き回しているのさ。下を穿いてないのはメガテンのゲーデのせいだろう。おれはデレマスでは佐久間まゆがすきだが、彼女を殺し合いに参加させるのも何なので、ロックといえばリーナだと思って連れてきた。バロン・サムディがともにいる限り、彼女は肉体的にはたぶん無事だろう。別に壁ドンの恨みとかじゃ0011010010010

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……はいこんにちわー、おはよう、こんばんわ!はじめましての方ははじめまして、ご存知の方はお久しゅう!オレ様だ!アイ・アム・バロン・サムディ!こっちじゃ出て来るのはじめてだっけ?まあいいや。星座聖杯で蜘蛛野郎が出たからオレも出てやったってのに、あいつは執筆をサボってどこをほっつき歩いてんだか。なんかツクールゲーとかツクってたらしいぜ。オレはザ・V=サンではないのでそういうのはしない。フューネラル=サンやバロン・ニンジャ=サンとも実際無関係だ。エピロワ三部作を企画運営していました。ご覧下さった方々、とりわけご感想を毎回下さった方々、感謝感謝!そのうちマテリアルとかもやるから気長に待っててちょ。…えっ、エピロワや星座聖杯をご存じない?よろしい、こちらだ。

…おわかり頂けただろうか。オレ様は星座聖杯の冬木で今もキミの参戦を待っている。でも暇なので、時々こっちやTwitter海へ遊びに来るだろう。蜘蛛野郎も来いよ来なよッ。こっちの水はラム酒の味がするぜ。

そんじゃ皆さん、シーユーアゲーン!ハバハッピーニューイヤー!(喪中)

【続く】

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