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002_Beyond Meat 【アメリカ】 〜ビーガンって知ってる?世界で増え続けるビーガンによるビーガンのためのスタートアップ〜

さあ、本日ご紹介するベンチャー企業は日本でも話題沸騰中の植物から作ったお肉を作る会社「Beyond Meat」です★
扉絵の美味しそうなハンバーガーにつられて見に来た方も多いんじゃないでしょうか??そんなこんなで、本日もゆる〜い感じでベンチャー企業を皆さんに紹介できたらなと思います〜。

Beyond Meatってどんな会社?

Beyond Meatはアメリカ合衆国のカリフォルニア数エル・セグンドに本部を置く食品テクノロジー企業です。とりあえず基本情報はコンナ感じ。

【会社名】  Beyond Meat Inc.
【設立】   2009年
【事業内容】 植物由来の人工肉の製造・開発
【代表者】  イーサン・ブラウン
【所在地】  アメリカ合衆国 カリフォルニア州エル・セグンド

こう見ると会社設立からなんと7年も経ってる企業なんですね。スタートアップにしては割と遅咲きな感じもしますが、現在の流行りっぷりを見るとどうでも良くなっちゃいますね。

ただ、流行しているとは言っても日本は割と蚊帳の外。世界(主にアメリカですが)でどれだけ流行っているかをわかりやすく伝えると....

・スーパーやレストランなど33,000箇所以上で販売・使用されている!
・ビル・ゲイツやレオナルド・ディカプリオも出資している!

この情報からアメリカ社会でどれだけ浸透しているかは一目瞭然ですね。2019年6月5日現在、日本では販売していませんが上陸するのも時間の問題でしょう。

ちなみにCEOのイーサン・ブラウン様はBallard Power Systemsというアメリカの再生エネルギー企業で太陽光エネルギーやリチウムイオンバッテリーの開発に従事していた人物。

会社を立ち上げた理由はどうやら2つあるらしく

①自身はビーガンだが、たまには思いっきり肉を食べたい!
②環境問題を解決するにはエネルギー効率を上げるよりも畜産によるCO2排出を削減したほうが効果がある!

内的要因と外的要因のどちらも満たした素晴らしいビジネスプランですね。こういうシンプルであざやかなビジネスプランを持ってる会社は日本にどれだけあるでしょうか?

植物性の人工肉ってなんぞや?

Beyond Meatについて詳細に説明しているブログはごまんとあるのでここはサラッといきましょう。

植物性のの人工肉とは動物性の食材を全く使わずに合成した人工肉のことです。ちなみにBeyond Meatの原材料はコンナ感じ。

・主原料…えんどう豆
・肉汁…ひまわり油、フルーツジュース、野菜ジュース
・食感…アラビアガム
・色…ビーツ(赤味)

栄養素的な部分でタンパク質を含むえんどう豆を使い、その他は肉の雰囲気を出すために添加されていますね。まあ完全に合成肉です。

こんなBeyond Meatですが実は植物性人工肉のパイオニアではありません!Beyond Meatが誕生する2009年よりも前に植物性の人工肉は多く存在していました。ではBeyond Meatの何が新しかったのか?それは「生肉」の形で商品化したことにあります。それまでの人工肉は焼かれた状態の肉に似た合成肉を冷凍したものが一般的でした。しかし、いくら植物性でヘルシーかつ安全とは言え、この状態では消費者は避けてしまいます。だって人工肉感満載でアヤシイですからね〜。
そんな中、Beyond Meatは生肉での提供をしました。この利点は基本的に2つ。
①自然な形の肉に近い
②調理ができる。

まず1つ目についてはわかりやすいですね。ヘルシーでも冷凍じゃアヤシイよねって話です。
2つ目はこのあとも出てくるんですが、レストランに刺さるんです。つま。。り、「Beyond Meatを使って料理を出してみよう」となるんです。これは非常に高いマーケティング効果を生むことは間違いないでしょう!

ちなみにBeyond Meatは牛肉だけではなく鶏肉、ソーセージ等も商品化しています。もちろん植物由来で。

まあこの辺で、肉そのものの技術等の紹介は終わりにしておきます。
どうしても詳しく知りたい人は↓(ちゃんと戻ってきてね笑)

Beyond Meatが狙う市場ってどんな感じ?

主に以下の3つが考えられます。

①ベジタリアンやビーガンの人々
②興味本位で購入する普通の人々

今はだいぶ②に助けられている形でしょう。ただしBeyond Meatが本質的に狙うのは①。というわけでビーガン向けの加工食品市場について見ていきたいと思います!

このように割とゆるやかな成長産業ですね。日本に住んでいるとビーガンは今爆発的に増えているor流行っているように見えますが世界では割とありふれたものになっているんですね。もうそこまでビーガンは増えないよというのが世界の一般的な見解なんでしょう。意外でした...

となると気になるのは競合の存在です。後ほども紹介しますが植物性合成肉は競合がひしめく市場です。基本的には先程の原料を混ぜれば完成するので参入障壁はそこまで高くないのでしょう。現状、Beyond Meatが持っている強みとしては
①Amazon傘下のハイエンドスーパー「Whole Foods Market」に商品が置かれている
②すでに知名度が図抜けている。

この2つくらいでしょうか。正直寡占が簡単に崩れそうなビジネスモデルなのでこのままでは危ういのかなと思ってしまいます。現状の知名度や安全性への信頼等を活かして「ペットの為のビーガンフード」や「オールミーツの開発」など人工肉での世界制覇を狙うのではなく、次のビジネスに動き出す必要がありそうです。その点、Beyond Meatはビーガンがあまり存在しない日本には中々進出してこないので、経営層の目線は既に次のビジネスの方へ向いているのかもしれません。スバラシイ✨

Beyond Meatの資金調達

例のごとく資金調達をまとめてみました★
しかし、誠に残念なことにSeries B以前の情報が欠けてました。なぜ!?
個人的にはSeed Roundの調達がめちゃくちゃ興味あったんで残念です〜。

やはり2009年から創業してきただけあって、かつ研究開発型のベンチャーだけあってExitまでに紆余曲折ありまくりですね。特化型VCの特徴なのか、アメリカのVCの特徴なのかわかりませんが、追加投資するVCが多いのが気になりますね。また、Tyson Foodsが追加投資してるのも面白いです。個人的には事業会社っていうのは一回きりの大型投資が多いのかなと思っていたんですが、さすがはコングロマリット。僕の中の大企業という固定概念をはるかに超えた動きをしてきます。これだからグローバルで投資活動を見るのは面白いんだよな〜。

ちなみに余談ですが日本のスタートアップ界隈の人は圧倒的にIT寄り(しかもIT関連の知識しかない)の人が多いですが、Beyond Meatみたいな企業を代表するテック系スタートアップの知識も持っておいたほうがいいと思います。そこから資金調達先とかを見るとたくさんのVCや事業会社が見えてきてビジネスのトレンドがつかみやすくなりますからね。

Beyond Meatの競合は?

さて最後に競合について書いて締めたいと思います。「疲れた〜。やっと終わる〜」と思ってた矢先、とんでもないことがわかりました。

「競合多すぎない?」

Boca Foods、Field Roast Grain Meat Co.、Gardein、Impossible Foods、Lightlife、Morningstar Farms and Tofurky、Just Inc.

そんなわけで今日もめちゃめちゃはしょって2つの企業だけ紹介したいと思います。

①Impossible Foods

まんまBeyond Meatと同じ売り出し方なのがウケますね。Impossible Foodsはアメリカのカリフォルニア州にある人工肉製造の会社です。しかしパクリ企業では決してないのです。CEOのパトリック・ブラウン様が構想を思いついたのは2009年。くしくもBeyond Meatの創業年と同じ年です。しかもこの企業、なんと天下のGoogleかに一度買収を打診された程の実力の持ち主なのです。しかもなんとなんと累計4億ドルの資金調達という結果を残しており、ポテンシャルで言うとBeyond Meatよりも高い可能性があります✨

ただし、Impossible Foodsの残念な点は人工肉の海外戦略しか頭にないこと。それもそのはずCEOのパトリック・ブラウン様はスタンフォード大学の名誉教授。一応COOにはビジネスサイドの人間がついているのですが市場の写し鏡となるような経営思考は大学発ベンチャーからは生まれにくいのかもしれません。その点でやはり大学発ベンチャーのExit方法はM&Aしかないのか....とも思ってしまいます。(個人的には大学発ベンチャーもっと頑張ってほしい!のですが)

②Just Inc.

みなさん、わかりましたでしょうか?
そうです!人工卵です!

Just Inc.は2011年創業のシリコンバレーに本部を置くスタートアップ。緑豆を使った植物由来の卵液「Just Egg」を商品化しています。その企業価値は11億ドルとも言われ、資金調達も活発に行っています。こういう企業の存在はビーガン市場の熱さを物語るだけでなく、IPOを成功させたBeyond Meatもまだまだ安泰ではないということを如実に表していますね。ちなみにこのJust Inc.はアマゾンのスタートアップ支援プログラムにも参加しており、amazonフレッシュでの販売の可能性も示唆されています。こうみるとビーガン市場でもAmazonの影響力はすでに広がっていることがよくわかりますね。やばすぎAmazon。


まとめ

というわけで本日は植物由来の人工肉を作っている会社「Beyond Meat」についてご紹介しました。それにしても本当にビーガンの方々の「本当は動物性の美味しい食材食べたい欲求」って凄いですね。10年かけても食べたい食材である「肉」を我々はいつも食べているのだと思うと少し感動しました。

一応、このベンチャー大全は資金調達や市場の様相など「投資家目線」で記事を書くことを意識しています。まだまだ僕の知識や知見もペラペラですが、この大全を購読してくださる皆様には投資家目線でスタートアップ界隈を覗く面白さを知って頂けたらなと思ってます★
それではまた明日!

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