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コロラドトレイルを振り返る"7/27〜9/10/2022"[トレイルヘッドに到着!いよいよコロラドトレイルが始まる!]


2022年7月27日、僕はハイキング仲間のじろさんと共にアメリカ合衆国のコロラド州中心部デンバーに立った。
この日からおよそ1ヶ月と2週間、アメリカで生活をした。

ロッキー山脈を歩くコロラドトレイルを始めるためだった。
40Lのバックパックを背負ったおじさん2人、主に僕がやらかすロングディスタンスハイキングの始まりだ。


〜前回までのコロラドトレイル体験記〜
航空券の手配ミスでいきなりどんより気持ちが落ちていた僕。
だがしかし!憧れのアメリカにまだまだ浮足立っている僕。
対して、落ち着き払っているじろさん。
果たしてこのコンビ、
無事にトレイルヘッドに立てるのか!(僕の心配)

とはいえ無事にハイキングに必要な装備と食料は揃え、トレイルエンジェルと約束済み。
いや…待てよ…?トレイルエンジェルって本当にいるのか?
そんな不安を忘れて、デンバーモーテル6での最後の夜をぐーすか寝て過ごしたのであった。



朝食はいつものコンビニだ。3日ほどの滞在で4回ほどの利用だったが、断言しよう。あそこはいつものコンビニだ。
雲がスカッ!と消え、真っ青な空。

相変わらず2人はなんの実りもないくだらない話をしつつ食事をする。アリゾナバーガーを食べて、やたらでかいコーヒーを飲んだ。
日本ですでに何キロか履き慣らしたアルトラオリンパス4の紐を締める。
僕の気は全く引き締まらない。
いやーこれから始まりますねーなんて話をしてガイドブックやInstagramで見た美しいコロラドトレイルの景色に期待して胸を、いや鼻の穴を膨らませた。
そうこうしていると、トレイルエンジェルが迎えに来てくれる時間。
デンバー現地時間2022年7月30日9時00分、僕たちはモーテルを出る準備を済ませてバックパックを背負った。

チェックアウトの受付を済ませた。
ホテルキーを返却して「さんきゅーそーまっち」
アメリカ生活ももう慣れたものだ。僕はアメリカに染まった。白い目で僕の様子を見るバディのじろさんを横目にそう思っていた。僕はアメリカに染まった。
受付横の灰皿があるところで、タバコを吸いながら約束の時間まで待つ。

待っている間、ホテルの敷地内をうろうろ。プールがあった。でかい。あめりかーん。

じろさんはコンビニへ買い物に行った。
トレイルエンジェルはどんな人が来るんだろうなぁ。
スバルの車で行くよと事前にメールで教えてもらっていたので、キョロキョロと探す。
待っていると、それらしき車が来た。
え?何だか若くて可愛い女の子と、タトゥーがイカしているかっこいい男の子。
思ったより若いので、びっくりした。
「は、はろー!am Masumi!!」と自己紹介。
じろさんに急いで「来ました!」とLINEを送る。
なにせ1人だとドッキドキなのである。アメリカに染まったのではないのか。どうなんだ。
僕はとりあえずこう伝えた。「just moment please.my friend が コンビニ!」と英文完成までもう少し。ルー大柴語を話したいわけではない。僕は英語で話したいんだ。
そんな僕にトレイルエンジェルの2人は「会えて嬉しいよ!遠く日本からアメリカへようこそ!よろしくね!」的なことを言ってくれた。
ヒアリングはなんとなくわかるんだニュアンスで。
ラゲッジを開けてくれたので、荷物を詰め、後部座席に促されるまま乗車する。
「ウォータートンキャニオントレイルヘッドでいいんだよね?」
「い、イエス!プリーズ!」
英語話せない日本人丸出しである。
いいんだ…「英語があんまり上手くないけど、よろしくね。」と事前にメールで伝えておいた。

乗る前に、車の窓ガラスに日本で人気爆発の「ゆるキャン△」のステッカーが貼ってあったことを見かけた。
いつこの話題を出そうか…とドキドキしながら車は出発した。
トレイルエンジェルの2人からガスキャニスターを渡される。
ジェットボイルの110缶。チョイスがハイカーのことをわかっている。
ありがとう!!
ガス代は1つ5ドルでお願いね!と事前にメールで言われていた。のちにわかるのだが、アメリカでジェットボイル110缶5ドルはだいぶ安い金額設定だった。
優しい…。
このうら若き美男美女カップルは日本のアニメが大好きなようだ。
アニメ好きから興味を持ってくれたのか、今度日本に旅行に行きたいんだ。だから日本のことを教えてよ!と言われていたので、頑張ってコミュニケーションを取ってみる。Google先生は偉大である。
日本の寿司、ラーメン他他他…日本の食べ物のこと。
日本の温泉、銭湯はタトゥー入りだと入るのが少し厳しいということ。
2人は温泉が好きだという。タトゥーの受け入れについて日本でも緩和されていくことを祈るばかりだ。温泉地について色々話してみる。
特にトレイルエンジェルにヒットしたのが、伊豆にあったゆるキャンのキャラ看板があった温泉の話。

この写真を見せてあげた


彼女がゆるキャンの大ファンらしく、めちゃくちゃテンションが上がっていた。
行っててよかった伊豆トレイル。
ステッカー貼ってたから好きだと思ったらやっぱり好きだったのね。

彼氏にアニメの話を降る。「日本のアニメは何が好きなの?ナルト?ドラゴンボール?ワンピース?」…反応が薄い。
すると彼氏「MADOKA MAGIKA!!TORADORA!!…日本では有名なんだろ!?」
ごめん、僕はその辺のアニメをあんまり知らないんだ…。
とりあえず日本のアニメが大好きな超絶クールなカップルだということがわかった。

その2人の様子が嬉しくて、僕もじろさんもGoogle翻訳を使ってみながら会話してみる。
日本に興味を持ってくれるのは嬉しい。
僕は日本人なんだなと感じた。

ハイウェイに乗って30分くらい。
徐々に標高が上がっていっているのを感じる。
多くの車が停められている駐車場に到着。
荷物を下ろし、ここでお別れか?と思うと、「水はある?水場がたしか近くにあったよ。どこだっけかなぁ」と車を降りていっしょに探してくれる。
「んーとりあえずトレイルヘッドに行こう!こっちだよ!」と先導してくれる。
言葉がろくにわからないってのに、なんて優しいんだ。
「hey!君たちのスマートフォンを貸してよ!」
「写真撮ってあげるよ!」とさ。

パシャリと1シャッターボタンが押される「ジロウの顔が影に入っちゃったよ!いいかな?」
なんて優しいんだこの人たちは…

兎にも角にも、無事にコロラドトレイルのトレイルヘッドに着いた。
僕たちはこれから3〜4週間かけて486mileの道を歩いて行く。
なんだかニマニマしてるなぁ。落ち着きなんてものは皆無だ。

とにかくスタートしよう。
看板の隣にウォーターサーバーがあり、そこで水を組んでいると、バックパックを背負ったハイカーに話しかけられる。
「コロラドトレイルかい?スルーハイク?」と聞こえたので
「イエス!イエス!to Durango!」
と、適当に答えるとなんとなく正解だった模様。
「oh!so cool!!楽しんで!」

アメリカのトレイルコースでも挨拶は当たり前だ。これは日本と一緒だね。
「こんにちはー」って挨拶するもんね。
アメリカでちょっと違うのは、挨拶のバリエーションと空気感というかテンションが違う。
「Hi!!」(やぁ!)
「Hello!」(こんにちは!)
「How's your going?」(調子どう?)
「Where you from?」(どっから来たの?)
日本だと半ば形式的な「こんにちはー」が多い。対してアメリカはまじでフランクに興味を持って声を掛けてくることが大半なのだ。

スタート地点そば
広い…
とにかくでっかい
ヤギの集団

「どんな景色かなぁ。街で美味いもの食えるかなぁ。ビールはどんなだろうなぁ。」と目の前のことより目先の快感に頭が捉われていたのはナイショの話だ。
とにかく浮き足立っている。
ヤギ、日本で見たことないような綺麗でダイナミックな川、そこで釣りに興じる釣り人、広い道をスーーーっと心地良さそうに通過するサイクリスト
朗らかに話しながら歩く美女
…美女…歩くの早くね?

目に映るもの全てが僕をワクワクさせる。

じろさん「やなさん、なんでこんな平坦なところでトレポ出してるんすかw普段出さないじゃないですかw浮き足立つのもいい加減にしてくださいよw」
あぁ、ごもっともだ…
憧れていたアメリカ。
僕はいつ頃アメリカの大地に足をつけるのだろう。
未だ地に足がついていない。

初日の行程はそう長くない。たしか20kmに満たない距離だったと思う。
とはいえ初めての高所である。高所感は特にないのだが、なんだか呼吸が浅いような気もする。
初めて見たアメリカの自然。
森林地帯を通り、メキシコのような乾燥したところを通り、そしてまた森林に戻り。
変化に富んだトレイル。
暑い。暑さの質は日本とはまた違うが、暑い。
ありがたいことに湿度が低いので、汗をかいてもすぐ乾く。乾燥しているからか、体内に取り込む水分が染みる。
トレイルネーム「モンキー」というハイカーと挨拶したり、僕たちと同じように男のコンビで歩いているハイカーと挨拶をしたり。
写真を見返すと思い出すものだ。
美しい自然景観を楽しんで、初日のキャンプサイトに到着した。
道中の様子はひっそりとYouTubeに上げてたりするのでどこかで見つけてくれたら見て欲しい。
動画の補完的に書いてたりもする。
僕とじろさんによる"絶対に譲れない「動画チュウ」合戦"が見られるはずだ。

とにかくアメリカの景色は「すげ…」と声に漏らしてしまうくらい広大だった。

オントレイルで初回のランチ。トルティーヤは日本より安い。チーズ、ソース、ツナ類が豊富なのでよく食べたものだ。ところが日本でトルティーヤを使おうと思うと、惣菜パンのほうが安くて軽くてカロリーを取れる。日本てすごいぜ。
林道的なところ。すごいでっかいね。車も大きくなるもんだこれじゃ。
例の熊。僕は熊キャラクターが大好きである。ディズニーでは圧倒的プーさん派。この熊(スモーキーベア)はリアルだね。
謎の植物
アメリカにもコケはある。(コケ写真好き)
読めない。
リスが近い
こんな景色は見たことがない。
初日はこういった具合で寝た。シェルターを張るのが手間取ってじろさんに「なんで練習してこないんすか!」と怒られたものだ…
素晴らしい夜景に見惚れる。周囲には街の明かりがないので漆黒の空と、星。最も明るいのは星と月。
指導されながら張ったシェルター。じろさんのシェルターで本当に良かったとしみじみ思う。
ちょっとだけ、東海自然歩道の愛知県エリアの雰囲気を感じるスポット。
愛知ゾーン好きなんだよなぁ。

初日はなんとかこなして、無事眠りに着く。
僕はこの時まだイケイケである。
なーんだ、らくしょーじゃん!高島トレイルのが辛かったぜー!
くらいの気持ちだ。
後日訪れるどうしようもない試練に立ち向かうまでは…。

…続く。

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