Yosuke Isobe

渋谷のまちづくりに携わる37歳。「ワクワクすることにワクワクできる健全な心身」が最近の…

Yosuke Isobe

渋谷のまちづくりに携わる37歳。「ワクワクすることにワクワクできる健全な心身」が最近のテーマ。祭りとエンタメが好き。

マガジン

  • 都市雑感

    まちづくりに携わる人間が気になった、まちに関するあれやこれや

  • Cift Yosuke Isobeの場合

    【20世紀的資本主義の中の人から見た21世紀的ライフスタイル】 2017年4月28日、渋谷キャストという複合施設がオープンし、その住宅フロアに“Cift”というコミュニティが誕生した。 Ciftを一言で表現するのはとても難しいのだが、乱暴に言えば「『拡張家族であり協同組合』『共に暮らし、ともに働く』という21世紀型のライフスタイル開拓を試みる社会実験」とでも言えよう。 僕自身は、渋谷キャストをつくった企業の社員である一方で、縁あってCiftメンバーとしても参画している。言い換えれば20世紀的資本主義の象徴である企業の一員でありながら、21世紀型ライフスタイルの実験に身を置いている、そんな立ち位置だ。 ここではそんなCiftの思想や日々の出来事、そしてそれを20世紀的資本主義側から眺めた雑感を記していこうと思う。

  • PROTO【サラリーマンが会社の看板外して活動する実証実験】

    解体前のビルを拠点に半年間限定で活動するプロジェクト「PROTO」に、典型企業のサラリーマンが一個人として臨んだ記録。

最近の記事

2022年に読んでグッときた本12冊

大晦日の朝にふと思い立ち、ツラツラと書いてみる。まちづくりの仕事に携わる会社員が、育休も相まって移行期間っぽかった2022年一年で読んだ本の中から、まちづくり・ビジネス・思想・社会学の4ジャンルから3冊ずつ。 ◆まちづくり系1.ネイバーフッドデザイン まちづくりの仕事に携わる身として思わず唸った一冊。 まちにおけるコミュニティの在り方をどうデザインするかと言う言語化しづらい領域を構造化しているのがスゴイ。しかも複数の地域で取り組んだ経験がベースになっていて地に足がついてる

    • 都市とケアと商売 ─都市雑感#7─

      先日(というか1年半前)、ようやく「ブルシット・ジョブ─クソどうでもいい仕事の理論─」を読了した。 365ページにわたりぎっしりと書かれた文章から、デヴィッド・グレーバーの圧倒的な知と、なにか怒りにも似た圧力を味わった本だった。(読了するだけでも相当疲れた…) そこで主に語られていたのは「なぜブルシットジョブは生まれるのか」であったが、自分の興味を引きつけたのは別のポイントだった。それは「ケア労働こそ本来はもっと資源配分されるべきものだ」という主張だ。 読了後、次に手を

      • 都市と保存 ─都市雑感#6─

        半年ほど前、タイトルにある「都市と保存」というテーマでポッドキャストで話す機会があり、そこで自分で考えていたことを言葉に出してみると、「これはもう少しまとめたり調べたり言語化するべきだな」と思ったことがあった。 リノベ、古民家といったものが一つの主要なジャンルとして地位を確立しつつある昨今、自分なりに思うこと、感じることをつらつらと書き連ねてみる。 ■都城市民会館の解体ポッドキャストの出演から半年経ったこのタイミングで書こうと思ったキッカケは、Twitterで見かけたこの

        • 行政府のDXとラストワンマイルを支える家守会社の可能性 ─都市雑感#5─

          前回につづき、今回は開疎化をフックにこれからの“自治”について考えてみる。 なぜ自治かというと、もし開疎化が進んだとき、これからのまちの選び方においてじつは大事なポイントになるのではないかと考えているからだ。 たとえば疎な状況が好まれれば、週5の出社は前提でなくなり、住むエリアでの過ごす時間が長くなる。そうして人が動くよりモノが動く社会にシフトされたとき、通勤という縛りが緩くなったとき、住むまちを選ぶことの重みづけが変わってくる。 そうなると話はやや飛躍するが、究極的には

        2022年に読んでグッときた本12冊

        マガジン

        • 都市雑感
          7本
        • Cift Yosuke Isobeの場合
          9本
        • PROTO【サラリーマンが会社の看板外して活動する実証実験】
          28本

        記事

          都市雑感#4 ~開疎化×ワークスペースの考察~

          新型コロナウイルスによって引き起こされるパラダイムシフトについて、様々な切り口の論が飛び交うようになってきた。 そのなかでもシンニホンの著者であるヤフーCSO安宅和人さんが唱えた「開疎化」というキーワードがとくに大きな反響を呼んでいるように思う。 巷に騒がれている様々なパラダイムシフト案を含めて誰もが未来を予測できないと痛感するなか、あえてこの「開疎化」を一つの仮説として所与としたとき、不動産業に身を置くものとして『都市はどうなっていくのか』を思考実験として考察したいと思う

          都市雑感#4 ~開疎化×ワークスペースの考察~

          都市雑感 #3 ~多拠点サービスにまつわるあれこれ~

          【2/26追記:HafHの利用拠点が追加されたので追記しました】 2/18に株式会社アドレスが定額制の多拠点コリビングサービス「ADDress」を発表し、メディアを賑わしている。いま、ADDressに限らず、多拠点生活をサポートするサービスが勃興し始めている。アドレスホッパーと言う言葉が生まれ、リクルートは二拠点生活者を(良いか悪いかは置いておくとして)デュアラーと呼び始め、文化と言う意味でも大きなうねりを見せているように思える。 Ciftという多拠点生活者が多数を占めるコミ

          都市雑感 #3 ~多拠点サービスにまつわるあれこれ~

          Cift #9 ~仕組みを作る側と受ける側 それは政治に似ている~

          ■意思決定の方法Ciftが活動を始めて約一年。ちょっとずつ仕組みができてきた。その一つ、大きなものとして挙げられるのが、意思決定方法の構築である。 ・月1回、意思決定の場(リアル+オンライン)を持つ ・そこに上程する議案は事前にリアルの場で議論 ・そのうえで会議前に議案をオンラインで提示 ・会議までにオンライン上で議論する 詳細までは割愛するが、メンバーの多くが多拠点生活を営み、一堂に会する機会がほぼ皆無と言う環境でもワークするように、かつ、今後Ciftの規模が拡

          Cift #9 ~仕組みを作る側と受ける側 それは政治に似ている~

          Cift #8 ~拡大と深化 コミュニティあるある~

          ■Ciftは拡大することにした2018年が明けて間もなく、Ciftは拡大することにした。これからどんどん人数を増やすのだ。なぜか?それはCiftの究極的な目的である「世界平和」を達成するために必要だからだ。 順を追って説明しよう。そもそも2017年夏、このブログの冒頭のエントリーでCiftの概要について触れた際は「ともに暮らし(拡張家族)、ともに働く(協同組合)、多拠点生活のハブ」と説明した。しかし、そのエントリーでは詳しく触れられなかったが、これは手段であって目的ではない

          Cift #8 ~拡大と深化 コミュニティあるある~

          Cift #7 ~カネがない~

          ■メンバーのお財布事情突然だが、Ciftの拠点である渋谷キャストは、それなりのお家賃だ。(ただし新築・渋谷駅近で考えるとむしろお得かもしれないが。)さらにCiftのメンバーの多くは多拠点生活者。つまり家が2つ以上ある人が多い。普通に考えたら家賃もかさむ。移動費もかさむ。そんなライフスタイルを選択しているCiftのメンバーとやらはさぞかし儲かっていることであろう。 しかし実際は人によってかなり事情が違う。 もちろん一定以上の収入があり、だからこそ金銭に極端に縛られず、このC

          Cift #7 ~カネがない~

          Cift #6 ~パートナーシップと結婚制度と依存先の分散~

          ■パートナーシップも色々Ciftにいると結婚ってなんだろうと考えることが多い。ここではいろいろなパートナーシップの実践者が見本市のようにいるからだ。 独身もいる。 夫婦もいる。 離婚経験者もいる。 離婚してなお一定の理解者として関係を続けている人もいる。 お互いに多拠点生活を営み週末婚のような新婚もいる。 結婚しているが自分だけが東京に来る際の拠点にする人もいる。 レストランを経営する夫婦とその常連が3人で住んでいる部屋もある。 夫婦の家もありながら「シェア子育て」を目的に入

          Cift #6 ~パートナーシップと結婚制度と依存先の分散~

          Cift #5 ~拡張家族と血縁家族~

          もう2か月近く前だが、9月初旬に遅めの夏休みとして九州を巡った。 目的は二つ。一つは多拠点生活を送るCiftメンバーの各拠点を訪ねること。もう一つはともに福岡に住む両祖父母の家を訪ねること。 ■鹿児島最初に訪れたのは鹿児島。迎えてくれたCiftメンバーは、大阪を拠点に鹿児島でも事業を展開する経営者。 ド平日にもかかわらず、午後から丸々フルアテンド。しかも事前にヒアリングもしてくれて、どこにつれていくべきか自社のメンバーにも相談してくれていたというところに愛を感じる。 そん

          Cift #5 ~拡張家族と血縁家族~

          Cift #4 ~分人・Ciftの自分とその他の自分~

          作家の平野啓一郎が唱える分人主義という言葉がある。 一人の人間には、色々な顔がある。つまり、複数の分人を抱えている。そのすべてが〈本当の自分〉であり、人間の個性とは、その複数の分人の構成比率のことである。 (現代ビジネスより引用) 昔に比べると身を置く環境の数が増え(=職場と家庭だけではなく)、またSNSなどにより複数のコミュニティを気軽に行き来できるようになった。そのなかでどの瞬間が演じている自分で、どの瞬間が本当の自分、ということではないと言う。そのいずれも

          Cift #4 ~分人・Ciftの自分とその他の自分~

          Cift #3 ~企業人の僕が感じるCiftとか入居プロセスとか~

          前回長々とCiftとは何ぞやということについて書いたが、今回はそんなCiftに対して僕がどう感じているのか、スタート地点(とは言えもう3か月経った…)の備忘録として記したいと思う。 ■己が人生を手段と捉えられるかまず当初感じていたことで言えば“説明する相手を選んでしまう”という感覚だ。『拡張家族?協同組合?なんか難しそうだね(というか宗教なのそれ?ヒソヒソ…)』といったリアクションを想像して恐れてしまう気持ち。なにせ究極的な目的は平和であり、己が人生をその実現のための手段と

          Cift #3 ~企業人の僕が感じるCiftとか入居プロセスとか~

          都市雑感 #2 雑居ビルのある街並みを守りたい

          突然ですが僕は、デベロッパーに身を置きながら、雑居ビルを次々壊して再開発する東京の現状に納得がいっていません。 地震大国である日本はどうしても建物の寿命は限られている。寿命を迎えたビルを所有するオーナーは、経済合理性を考えると単独の建替えではなく、周辺のビルとともに再開発を志向するのは必然かも知れない。 また、デベロッパーは〔土地仕入→企画→建設→運用→売買〕と言うサイクル繰り返すことが事業収益の屋台骨なのだ(運用し続けることも多いけど、事業収支指標は売却前提)。なので開

          都市雑感 #2 雑居ビルのある街並みを守りたい

          都市雑感 #1 戦略的黙認か、小さな積み重ねか

          先日この記事を読んでからずっともんもんと考えていたこと。“公共”空間の活用促進について「面白いことは面白いとこからしか生まれないから、諦めてじっと見守るのが最大の支援」と考えるべきか、「日本らしく関係者巻き込みながら小さな事例を重ねる」と考えるべきかって話です。 http://heapsmag.com/tactical-urbanism-guerrilla 記事で掲げられている“Tactical Urbanism”をとても雑に要約すると「行政に頼らず市民自らゲリラで活動し

          都市雑感 #1 戦略的黙認か、小さな積み重ねか

          Cift ~Ciftとは何か全力で説明してみた~

          今回は「結局Ciftって何なのさ?」ということを全力で書いてみようと思う。長い。 ■CiftとはCiftはクリエイターたちによるコミュニティでありプロジェクトであり社会実験である。そしてここで言うクリエイターとは「21世紀型のライフスタイルを開拓する人」を指す。だからメンバーは世間が一般的に“クリエイター”と聞いて想起するデザイナーやアーティストに留まらず、弁護士や会社員、はたまたヒッピーまでいる。 それでは「21世紀型のライフスタイル」とはなにか。これを端的に説明するこ

          Cift ~Ciftとは何か全力で説明してみた~