見出し画像

舞台刀剣乱舞 せっかく気合いの入った年表を作ってくださってるので、刀ステシリーズ通しての物語を時系列でまとめてみる。主に自分用メモ。

※かなりのネタバレですので何卒ご注意ください

例のあの年表、たしか初出は維伝のパンフレットでしたか。

それまでもずっと好きだったけど、ここまで刀ステにハマることになった…いわゆる沼に!ドボン!となったのは、きっとあの年表のせいです。
今よりもっと抜けが多くて、半分くらい文字が滲んで読めない、毛筆縦書きの時代ものっぽいあの書付。歴史書のようでもあり、RPGの宝の地図的質感もあるあの……年表の説明だいぶ長いな。

とにかく、『見えないところを作られると見たくなる、というか絶対見たい、いやさ見ないままで終われるわけがない』という人間の本能に訴えかけるに等しいあの年表で、まんまと沼底に引きずりこまれたわけです。
…そんなやつは貴様だけだと言われそうですが、私は沼底で同じ性癖の方をずっと待ってます…。

物語の時系列と上演順が違うという構造も、末満健一氏の得意とするところであり、私がとても好きなところでもあります。
今回は物語の流れ、つまり年表の時系列に沿って、刀ステシリーズを通して散りばめられたストーリーのかけらを、整理してみたくなりました。
それぞれの感想を書き始めると一作につき何万字かかかるので(笑)全編通しての謎の部分だけをピックアップします。ステ本丸通史みたいな感じです。
主に自分用のメモなので、間違っているところがあったらご容赦ください。カッコ内が上演順です。

ーーー

◯序伝 跛行する行軍(5)

仲間が折られ(かけ)、最終的に撤退を余儀なくされる、のちに山姥切や長谷部がトラウマ的に語る出陣。
この出陣のあとに三日月宗近が顕現する描写がある。三日月は骨喰に御守りを渡す。この御守りがずいぶん後に効くのだけれど、なぜ顕現したての三日月が先を読んだかのような行動をしたのかという、ほんのりとした謎が呈示される。
重要人物である黒田官兵衛と弥助の登場。この時点で官兵衛はすでに時間遡行軍や刀剣男士の存在に自力でたどり着いている。

◯???(?)

◯虚伝 燃ゆる本能寺(1、2)

初演と再演のミラー構造が考察界隈をざわめかせた、そもそもの発端ともいえる作品。末満氏自身も「ただの再演ではない」とおっしゃっている。
近侍は三日月が勤めている。それを再度、山姥切に戻すというところから始まる。先の戦いで自信喪失している山姥切が、本丸をまとめようと奔走しながら徐々に自らの在り方を見つめ直し始める。
三日月から山姥切に贈られる、含蓄のある言葉の数々は、その後もストーリーの根底にずっと流れているテーマに関係してくるので、全部に耳をすませるべき。
「強くあれ、主はそう言っている気がする」山姥切の言葉に対する三日月の反応も見逃せない。なぜなら、この本丸の仲間たちに強くあってほしいと誰よりも願っているのは三日月だったんだ、と、のちに分かるから。
「これはまた、随分すすけた太陽だ」物語が進行したあとで、聞く者の涙腺を無条件に破壊することとなるこのセリフも爆誕。
山姥切と三日月の対話がいちばん多い作品なので、これを見ずして後のシリーズは語れないと言っても過言ではないと思う。

◯恕伝 呑み取りの槍(7)

日本号の逸話の話。ジョ伝円盤特典で収録されたものなので、ストーリー全般には特に影響はない。最後に、外伝へのブリッジ的に、このあと山姥切と長谷部と小夜で調査任務に向かう、と示される。

◯外伝 此の夜らの小田原(4)

小田原城で一夜限りとして上演された特別野外公演。こちらも大きくストーリーが動くことはないが、写しである山姥切が山姥を斬る、という、重要ワード「逸話」にまつわる話でもあるので油断はできない。

◯義伝 暁の独眼竜(3)

小夜を元気づけたいと、不器用なりに行動する山姥切。そんな近侍としての山姥切を、三日月は時に微笑ましく時に頼もしく思いながら見守っている。
伊達政宗の甲冑が、主君の燻らせた天下人への夢を体現した付喪神となって、関ヶ原の戦いを、出陣した刀剣男士ごとループさせる。どうやら円環の中に閉じ込められている、といち早く気づいた三日月。なぜ三日月だけが気づくことができたのか、は、のちのストーリーの伏線となる。
歌仙と大倶利伽羅の仲違いを取り持とうと、鶴丸が遠足を企画する。遠足を初めての経験だと言う三日月。三日月が「初めてだ」というものは結構重要なポイントなので、こんな他愛ないエピソードなのに油断も隙もない。さらにここで、三日月が楽しそうに拾っているどんぐりこそが、そののちに刀ステファンを一撃で死に至らしめる最終兵器となるとは、誰も思いもしなかったのである…。
修行へと旅立つ小夜に、お守りとしてどんぐりをひとつ手渡して見送る三日月。そして主との意味深なやり取りで終わる。…いやな予感がし始めたのは、まさにこのシーンからだった。

◯如伝 黒田節親子盃(6)

刀ステの3人目の主人公ともいえる、へし切長谷部が深掘りされる。
時間遡行軍を刀に取り憑かせた九十九刀を用いて刀剣男士を撃破しようとするも、敗れる弥助。このあとで官兵衛の深い調略の影響を受けて、刀剣男士を撃ち破ることよりも、さらにハッキリとした一つの目的へと傾倒することとなる。
官兵衛の、天下を手にするという野望は、敗北によって一旦潰えたかに見えた。しかし、如水と名を変えてからも、時間遡行軍や刀剣男士の動向を探っていたこと、そして、もう一つとんでもない「或るもの」を隠し持っていたことがのちに明らかになる。
未来からきた骨喰に、御守りを密かに持たされたことによって、山伏が刀剣破壊を免れていたことが示される。なぜ三日月が先を読(以下同)。
山姥切も過去のトラウマと向き合う。小夜が修行から帰ってくる。

◯天伝 蒼空の兵 -大坂冬の陣-(12)

黒田如水が刀剣男士との戦歴書を書き残していた、さらに時間遡行軍2体を捕らえ、阿形、吽形という名を与えた上で言葉を教えたり、人間に従うように躾けていたという衝撃の事実が明らかになる。
通常であれば刀剣男士の記憶は歴史の自浄作用によってその時代の人間からは消えることになる。もちろん如水や弥助の記憶も実際には消えているのだが(だから如伝の最後の戦いのことだけは戦歴書には記されていない)、如水の死後に戦歴書を託された弥助は、かつての主君織田信長を歴史のままに死なせてしまったという自らの絶望を思い出す。
歴史と諸説の関係。歴史にその死や滅亡が記されて残るのであれば、運命を知った人間が諸説に逃げることは歴史改変には当たらないのではないか、という如水が示したと思われる思想を確かめるべく動く弥助。真田信繁も利用し、恐ろしい策略を巡らせるも、刀剣男士に阻まれて失敗に終わる。
…すでにかなりの情報量ですが天伝はそういうあれなので…すみません。
ポイントは、弥助が自分の命を代償として顕現させたかった『信長を救う刀剣男士』は、人の姿を保つことすらできなかったこと(逸話が足りなかったため、と推測する)。逆に、阿形と吽形は真田の家臣たちの命という逸話を与えられた刀を拾い集め、そこから顕現が可能であると確信しているらしいこと。すでに死んでいる如水の名を呼んだこと(時間遡行するという意味なのか、のちに出てくるあれのことを言っていたのかは謎)。
逸話、物語は力となる、刀剣男士を強くする、という、その後のストーリーに大きく関わる示唆の数々。刀剣男士はその本能として、たとえ諸説であっても歴史に外れる行いを許すことはできない、と山姥切に言わせたこと。さらには、自分たちだけ何も失いたくないなどと思ってはいない、失う覚悟はできている、と言わせたこと。このあたりだろうか。
加州と山姥切の会話で、三日月が本丸の皆に強くあってほしいと思っている、と言及される。ちゃんと思いが届いているんだ、と見てるこっちは少し泣きそうになる。
そして、未来の本丸からきた太閤左文字によって、山姥切国広は旅に出たまま本丸には戻らない、というとんでもない情報ももたらされる。それを聞いた山姥切と加州にとっては、この時点では、まったく意味のわからない話。先の展開を知っている客席だけが凍り付くという、まさに末満氏お得意の一撃。
「山姥切国広は、歴史を初めから」太閤のセリフの続きは、きっとこれから明かされていくこととなる。

◯无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-(13)

真田信繁が歴史に抗って冬の陣で死を選び、(おそらくは)天伝の最後で集められた真田の刀を媒介として顕現した、史実には存在しないはずの真田十勇士がいる世界。すでに歴史改変の大業が決まってしまっている。放棄寸前とも言える世界に、三日月がやってくる。
政府の刀である大千鳥と泛塵は、政府から三日月宗近の観測を命じられていた。時の政府がすでに三日月宗近を警戒していることが示される。
阿形と吽形に如水と呼ばれる、謎の仮面の男が現れる。仮面の下も如水その人の顔ではあるのだが、実際にどういう存在であるのかは、まだ分からない。
断片的に語られる如水(らしきもの)の目的は刀剣男士との戦いの中で「然るべき答え」を見つけることで、その探しているものとは、三日月宗近も刀剣男士も如水も同じ、だということ。
…頭よすぎる人の言葉はよくわかりません、を地でいってます(笑)
三日月を「円環を巡り戦う者」と呼び、高台院という以前の円環にはいなかった者を呼び寄せたりと、如水(らしきもの)自身も円環を巡っている、もしくは三日月とこの歴史を観測している、ともとれる。
三日月が真田十勇士に対して言う「无なる逸話から生まれた者たちが、歴史を巡る戦いに何をもたらすのか、興味深い」という言葉も、真相を知ってから聞けばかなり重要なキーワードとなる。
三日月と鶴丸の対話もぞわぞわくる。この戦いに終わりがないとしたら、どうしたら狂わずにいられる、と吐露する鶴丸に、三日月が示した答えが「あの本丸の仲間とともにあること」。末満氏の血の色を疑いたくなること間違いなし(褒めてます)。
数珠丸の、名も物語、あの本丸での物語はきっと山姥切を強くするという言葉もまた、のちの過酷極まる物語を知る者は震えざるを得ない。
長谷部が如水(らしきもの)と対峙する。これも後々効いてくると思われる。
そして、ドラスト。物語の分岐を示唆されることで、多くの刀ステファンが情報量の海で溺死する事態となった(皆さん生きてます?)。

◯悲伝 結いの目の不如帰(8)

虚伝〜ジョ伝までの伏線の半分くらいが回収され、その倍くらいの謎が投下される、まさにシリーズの分水嶺と言える作品。
長谷部と不動が極となる(无伝を見た後だと、ここは長谷部と薬研になるのかも知れない、とも思うけど、これはあくまで推測に過ぎない)。
三日月が、ずっと歴史の円環を巡り続けている刀だという真実が明かされる。そのせいで歴史の結いの目となってしまったことで、三日月は政府の命により刀解される。
三日月はどうやら何もせずにただ歴史を繰り返しているわけではなく、先の真田十勇士や悲伝で出てくる鵺といった存在が与える影響を試しながら、もう幾度となく歴史を見守ってきた。にも関わらず、歴史は大きくは変わらない。歴史修正主義者と刀剣男士との戦いは、すべてが徒労なのではないか。そんな孤独が垣間見える。本当に狂っていないのか。もはや推し量ることすらできない底知れなさを感じる。
人々から寄せられた想いがそのモノを形づくるという小烏丸の言葉も趣深い。三日月宗近という刀も、それは例外ではないから。
その三日月の唯一の希望が、山姥切だった。最後に刀を交え、未来を託し、山姥切と小烏丸に見守られながら消えていく三日月。
…言葉にしているだけでつらいのでこの辺でやめますすみません。
三日月は、記憶を持ったまままた本丸のある時点へと戻る。三日月が何を為そうとしているのか、は、如水のそれと同じくまだ明かされていない。

◯慈伝 日日の葉よ散るらむ(9)

政府の監視が厳しいのか、時間遡行軍の襲撃を受けたためなのか、それとも単に手狭になったからなのか。本丸の引越しが描かれる。
変わらず賑やかな日常を送る刀剣男士たち。けれどその根底に、誰も触れない深い喪失感が漂っている。
気丈に振る舞っているように見える山姥切を気遣う長谷部や山伏。そこへ、自らのコンプレックスの根源ともいえる、山姥切長義が顕現する。
強さとは何なのか。ただ刀を振るっても、強くはなれない。そう悟った山姥切は、近侍の任を他に託して、修行へと旅立つ。天伝を見た後だとこれがとんでもないシーンであったと分かる。山姥切と、ここにはいないけれど加州は、この後本丸に帰れなくなるということを、もう知っていたという話になってしまうからだ。
無事に帰ってこられるお守りとして、五虎退が三日月からどんぐりを預かっていたこと、そしてそれを、三日月も一つ持っているのだと最後に明かされて、そこまで散々笑った分も含めて無事に情緒と涙腺大崩壊となる。

◯???(?)

◯維伝 朧の志士たち(10)

放棄された世界での戦い。近侍は長谷部になっている。
刀剣男士の本能と、物語が刀剣男士を強くするというテーマがはっきり描かれる。
政府の特命調査とは別に、主の密命を受けた鶴丸と小烏丸が、坂本龍馬の物語によって陸奥守を強くしようとしていたことから、ステ本丸の審神者にも裏で何か思惑がありそうだと分かる。
鶴丸と小烏丸には、さらにもう一つ目的があって、それが放棄された世界の仕組みを暴くこと、ひいては、放棄された世界にいる者を、つまりは三日月を救い出す方法を探ることだった。
无伝での三日月と鶴丸のシーンを見た後となれば、ここでの鶴丸の「ただ寂しいだけだ…」というセリフの説得力が一億倍となって襲いかかる。
そしてまた、衝撃の存在も現れる。山姥切の顔をした、時間遡行軍のような朧の存在。これが何なのかも現時点ではまだ分からない。
鶴丸の前に現れ、「物語をおくれ…」と呪文のように唱える朧の山姥切(らしきもの)の正体も、物語が刀剣男士を強くするというテーマと、天伝での太閤の「歴史を初めから」という一言から想像をふくらませるしか、今はできない。
個人的には、悲伝で三日月が「おぬし達に背負わせるわけにはいかん」と言った何かを、山姥切も背負うことを決意したのかな、と、ぼんやり思っています。

◯綺伝 いくさ世の徒花(11、14)

コロナ禍で当初予定されていた公演ができず、科白劇として昨年上演されたバージョンは、別の本丸の戦績書を通じて、ステ本丸が行った特命調査との相違点などを匂わせるもので、本来の綺伝本編は2022年に上演される。
しかしここに出てくる如水も、放棄された世界は繰り返されると気づいているので、黒田如水という存在はどの時間軸でも怖いという…ある意味天伝无伝へのヒント的なものは示されていた。

◯???(?)

ーーー

以上が、无伝時点で示されている時系列です。?は文字が滲んでまだ読めない部分。
こんなに長くなるとは思わなかった…メモだっつったのに…。

よく皆さんが、「末満さんの頭の中を見てみたい」とおっしゃっていて、私もいつも首がもげるくらい頷いています。
でも残念なことに私は末満さんではないので、あれこれと想像しながら、形にしてくださるのを待つしかないわけです。
どうかどうか、健康で長生きして、いつか刀ステシリーズ(と、TRUMPシリーズ)の大団円を見せてほしいと願っています。それまで私も生き延びますので。
最後になりましたが、末満健一さん、鈴木拡樹さんの健康と御多幸を心より祈念いたします。


よろしければサポートお願いします。楽しく読んでいただける記事を書く励みになります!