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水泳人生の振り返り〜大学編

 人生の最大の転機。大学編に突入。

 インターハイ12位で全国大会の決勝にも残ったことのない選手が日本代表に入るまでの話。

前回は高校までを振り返った。もっといっぱいエピソードはあるが後々少しずつ書いていく。

 名匠、田中先生の勧誘によって進学が決まった鹿屋体育大。鹿児島県の右側。鹿児島空港からバスに乗って1時間40分。交通の便が良いとは決して言えない、そんな場所にある。施設としては最高で、年中長水路のプールでトレーニングできる。

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 大学の練習スケジュールはこうだ。月火木金土、全て2回練習。土曜以外は午後練習の後筋トレがある。水、日曜はデイオフ。時間は5:30-7:30、16:00-19:00。入学当初はこうだった。2年目からは朝は15分早くなって5:15-7:40だった。練習がある日は4:30に起きる。家を出るときはもちろん外は真っ暗で、入学当初同期と朝練行く時に星空を見上げて「えらいところに来てもうたな」と言いながら歩いた。

 一つ上の先輩が宮本陽輔さんというのは自分にとって幸運だった。宮本さんは前年のインカレで大ベストを出し大会新で優勝していた。日本チャンピオンと練習ができる。こんな楽しい事はない。練習で勝てれば試合で勝てる。と自分に言い聞かせて練習した。4月5月は勝てなかったが6月ごろから徐々に勝てるようになってきた。8月の全国公では400で初めて4分を切る。そんな流れで挑んだインカレ。400はレギュラー落ちしたため1500のみの出場。このときベストタイムは15分42秒09だった。予選で15分17秒01。25秒の自己ベストで、なんと1位通過。決勝は宮本さんが隣だったため、練習と同じシチュエーションだと考えて緊張しすぎずに泳げた。結果さらに5秒ベストを更新し15分12秒40の大会新で優勝。1大会で30秒の自己ベスト更新。全国大会初決勝、初優勝だった。

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(写真は2011年)

 大学時代で特筆すべきは2012年ロンドンオリンピックの選考会だ。大学入学後順調に伸びてきたが、ここで挫折を味わう。当時中央大の一つ下の瀧口君は勢いがあった。勝てばオリンピックに行けるだろうと考えていた。もちろん派遣標準を切らないといけない。国内レベルが上がってきていて自分も自信はあった。だから1500で優勝すれば誰かしら標準を切ってオリンピックに行けると思っていた。レースは想定どおりだった。瀧口君との一騎打ちになった。ラスト50逃げ切って勝った。

しかし派遣標準まで

0.55秒足りなかった。

タッチした直後、「あぁーー⤵︎」という観客の低い落胆の声が響いた。

タイムを見た直後開いた口が塞がらなかった。

ショックは大きかった。秋にはインカレもあるので練習しなくてはいけないが、中々気持ちが乗らず、一週間で2回も寝坊したこともあった。

インカレでは明治の平井君、渡辺君に次いで3位に終わった。

2013の日本選手権はインカレで勢いづいた平井君が優勝。3位だったため世界水泳代表には入れず、ユニバーシアードの代表に選出された。これも転機である。

 周りには世界水泳代表を目指したけどユニバーシアード代表になった人、ユニバーシアード代表を狙って代表を勝ち取った人の2パターンに区別できた。自分は世界水泳代表を目指していたからこんな試合で満足できなかった。絶対メダルを取ると決めて大会に挑んだ。なんなら世界水泳に選ばれた選手よりも速く泳いでやると。競技に関する考え方や意識は高いところから低い所へ流れていくと思う。同調しやすい日本人ならなおさら。周りに惑わされないように、チームの思考レベルよりも高く保つ。そう考えて仲良く楽しく話すよりは、少し距離をとって自分の世界に入っていた。これがチームとして良いかどうかは意見が分かれると思う。ユニバーシアードの特徴である同世代の大学生が集まる状況の中、仲良しこよしのチームにならないためにも必要だと感じていた。結果は400はベストで2位、1500は2位、800はベストで優勝。調子が良いこともあり、急遽800リレーの決勝にも抜擢された。800リレーはヘッドコーチに予選でいいから出たいとアピールしていたが、リレーで代表に選ばれた選手がいるため絶対に出すことはないと断言されていた。心も身体も準備していない状態で予選終了後のリレー抜擢。4位と悔しい結果になった。

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世界大会で表彰台に立って、優勝までできた事は良い経験ができた。ロンドンの選考会で感じた無力感は払拭できた。

ここまでが大学水泳である。

 大学で伸びた要因は、

練習量が多くなった事、学校の授業が全て競技に活きてくる事、大きい故障をしなかった事。

もっとたくさんあるが何より、人に恵まれたこと、それに尽きると思う。


次回、社会人編。

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