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【読書】滅びの前のシャングリラ/凪良ゆう

「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。
なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのか――。

Amazonあらすじより引用

高校生の友樹を中心に、4人の視点でだんだんと物語が広がっていくのが面白かった。

特に母•静香の視点で書かれたパートが一番良かった。
細かいことは気にすんな!という感じのサバサバ系。
言葉遣いも、態度も男勝りな静香。家庭の温かさを知らない自分が、息子•友樹を育てていけるのか。
そんな思いを抱きながらも、1人で必死に働いて、彼の幸せを願ってきたのに。
それが急に1ヶ月後に終わるなんて。理不尽にも程がある。
いろんな思いを抱えながらも、それを表に出さず、今を生きる姿がかっこいい。

静香がりんごの甘煮を作っている時に
友樹が「お母さん『お母さん』みたいだね。」と言ったシーンがとても好き。
友樹が小さい頃、おやつの時間に家にいて、おかえりと迎えてやることはできなかったけれど
地球が滅亡するからこそ、何気ない団欒を味わうことができている。切なくて温かくて幸せな場面だなと思った。

何故今なんだ、何故もっと早く気付かなかったんだと思うことがあるけれど、「今だからこそ」「このタイミングだからこそ」なんだと思う。
後悔しても仕方ないので、そんなふうに考えられるようにしたいな。

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