『風の中へ』 詩と季節のお話
『風の中へ』
気持ちのよい青空の下
木々がさわさわ揺れている
ひとつ
風が吹いた
葉っぱの先がそよいでいる
ふたつ
みっつ
よっつ……
ちいさな薄紅が
土の上を舞っていく
誰かに別れを告げるかのように
くるくると懸命に走りながら
ひとつ
風が吹いた
花びらが散る
薄紅のちいさな姿は
緑色の風の中へと消えていく
2023.3.29
桜散る季節がやってきました。
萌木の緑が目に優しく、散りゆく桜との対比に和を感じます。
空に向かってのびのびと体を伸ばす木々。
くるくるくると風に吹かれて、地面を舞っていく桜。
一体どこにいくのかしら……と小さな花びらの姿を見送る私がいました。
その美しさはいつまでも胸に静かな余韻を残します。
出会いと別れの春。
来たる四月がみなさんにとって優しい時となりますように。
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