PPP的関心【『公民連携パークマネジメント~人を集め都市の価値を高める仕組み~』を読んで】
2022年も12月に入って残すところあと2週間余り。街にも「歳末感」が出てきました。そんな時節とは関係ないのですが(笑)寒い日は出かけずに家で本でも読もうということで、以前「地方公務員サロン」という公務員ネットワークの勉強会(株式会社ホルグ社主催)でお話を聞かせていただいた『自治体の財政診断入門「損益計算書」を作れば稼ぐ力がわかる』の著者である大和総研の鈴木文彦さんの新著(2022年12月)を手に取りました。
今回は新著『公民連携パークマネジメント~人を集め都市の価値を高める仕組み~』の感想などを書いてみました。
本の紹介
この本はそもそも「公園」の定義や機能、現状の概観から始まり、ケースの中で、それぞれのプロジェクトの背景や実現スキームなどが丁寧に紹介されています。特に「スキーム図」で表されることでプロジェクトの関係者間にある「関係」が理解しやすく、またCASEの編集・整理も体系的であることで学びと気づきが多い本だと思いました。
稼ぐ公園と三方よし
冒頭1章の3「稼ぐ公園とは何か」で著されている「三方よし=地方自治体は予算削減でよし、民間事業者は商売繁盛でよし、地域の住民は街の魅力が増してよし」は、これまで「PPP的関心」で書いてきた私の関心とも一致しているのではないか思います。
そもそも「公園」とは
国土交通省によるサイト「公園とみどり」によれば都市公園の”役割”として
■良好な都市環境の提供
■都市の安全性を向上させ、地震などの災害から市民を守る
■市民の活動の場、憩いの場の形成
■豊かな地域づくり、地域の活性化に不可欠(な空間)
という4つの役割があると記されています。
環境、安全を提供するためにも公園で「稼ぐ」
紹介している鈴木さんの著書の副題「人を集め都市の価値を高める仕組み」や先ほどの「三方よし」の視点から考えれば、公園の役割においてとりわけ■市民の活動の場、憩いの場(=幅広い年齢層の自然とのふれあい、レクリエーション活動、健康運動、文化活動等多様な活動の拠点)、■豊かな地域づくり、地域の活性化に不可欠な空間(=中心市街地のにぎわいの場となる公園・広場の整備や、地域の歴史的・自然的資源を活用した観光振興の拠点)がフォーカスされていることが伺えます。
公園の「役割」を果たしてゆくためにはいずれにしても費用が発生します。公的サービスの提供だから全て行政頼みでお願い!、というのは変わりゆく社会構造の中で難しくなりつつあります。
そうした背景を理解した上で尚且つ良好環境の整備や安全の確保をするための費用をどう捻出するのかという問題が生じます。そのような背景を踏まえ「地域の活性化に不可欠な空間」である公園の利用方法を「革新」しようという活動がクローズアップされているのだと思います。
公民連携と公的サービスの「持続可能性」
本の「おわりに」にある鈴木さんのコメントは、公的サービス提供における「公民連携」の意味を再確認させてもらいました。
PPPの意味の再確認させていただいたという意味でも、手にとってよかったと思う一冊でした。
我が街にある公園や広場の将来に関心がある、あるいは公園や広場の使い方を拡げることで地域に貢献したいと考えている方には一読の価値ありの本だと思います。
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