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読書「アップルを創った怪物」スティーブ・ウォズニアック著 井口耕二訳 ダイヤモンド社 神様は仲間をよんでくる

1 本書
アップルのもう一人のスティーブ。スティーブ・ウォズニアックの伝記的な本で、プロのインタビュアーさんとの会話を元に書かれています。英語独特の言い回しなのか翻訳の過程で生まれたのか、派手に目立つように書かれている感がぬぐえないですが、すごく、面白くて、読んで元気になりました。
Amazonの書評を見ると、ジョブス命的な人には評価が低く、技術系の人には評価が高いです。
若手のエンジニアさん、プログラマーさん、ぜひ、読んで下さい。

黎明期のアップルコンピューターのプロダクト、8bitのAppleIとAppleIIシリーズをほぼ一人で開発した話しが詳しく書かれています。スティーブ・ウォズニアックは開発の間、ヒューレット・パッカード(HP)に勤務していて、コンピューターの設計は趣味、それで世界を動かすプロダクトを生み出すのだから、すごい話しです。
印象的だったのは、上司にAppleIのことを説明したら、HPでは扱えないから、個人で販売していい話になったこと。日本の会社なら、どうだろう?ここまでする人いるのか?、会社が許可するのか?どうでしょう。

AppleI/IIについて、基板と筐体の開発、部品の調達、組み立て、特許保証など、個人で始めた会社でどのように取り組んだのか、技術者として知りたかったことが、書かれていました。
AppleI誕生前の、電話を無料でかける機械の開発秘話もあります。この話は、スティーブ・ジョブスの本にも詳しく書かれてます。加えて、ベトナム戦争反対運動、ロックフェスのプロモーションなんて話もありました。

2 この本との出会い
ビジネス系の本は、ほとんど読まないですが、スティーブ・ジョブスの本は2冊読み、有名なスピーチをyoutubeで見ました。でも、なんか、満ち足りなさがありました。プロダクトは誰が、どのように開発したのか?技術者として知りたかったです。この本は、たまたまネットで見つけて、答えを見つけようと読みました。満足してます。
ちなみに、私はAppleIIの現物を見た世代です。買えなくて、だいぶたってから、PC-8801でPCデビューしました。Apple製品は、Macbook、IPadminiなどを保有しています。

3 個人の力、仲間の力
前の記事「森の回廊―ビルマ辺境民族開放区の1300日」で著者の吉田さんに、神様が降りてきて、本が生まれたなんて書きました。AppleI/IIの開発も状況は同じだと思います。大きな違いは、最初の設計~開発はスティーブ・ウォズニアックが一人で行ったけれども、それを世に出す段階で、パートナーのスティーブ・ジョブス、アップルコンピューターのIPOを主導したマイク・マークラら仲間の力が結集したことです。神様が仲間を連れてきたんだと思います。CPUにモステックの6501/6502*を選んだのも、仲間の力によるものでした。

余談ですが、65系CPUは後に、任天堂の初代ファミコンに採用されます。任天堂のHPによると、日本でライセンス生産していたリコーが、買い手がなくて困って、ようやく見つけた先が任天堂。開発担当者がAppleのライバルだったコモドールのPETで65系のアセンブラを熟知していたから開発がスムーズに進んだ、と書かれています。

私は、長い間、組織で研究開発をしてきた人間であり、山登りは、社会人の集まる会に所属して活動してます。個人の力より、仲間の力の価値を高く見てます。仲間は、烏合の衆ではだめで、尖った人がいて、それを認める人、サポートする人が集まらないとならない。簡単に書いてますが、なかなか、そういかないです。

*6501/02の価格
モステックがマスクを修正する装置(技術)を保有していて、ライバルのインテルとモトローラより歩留まりのよい製造ができたから安価だったと、Wikipediaに書かれています。マスク修正装置って、なんだろう?レーザーのリペアー装置だろうか?ちょっと調べたけど、わからなかったです。

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