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遠藤貴「代理人は眠らない 世界への路を拓くサッカー代理人の流儀」

遠藤貴「代理人は眠らない 世界への路を拓くサッカー代理人の流儀」(徳間書店)。電子書籍版はこちら↓
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CJLQKVS8/
 遠藤貴は日本人初のFA公認エージェントである。その仕事として、日本代表のキャプテン・遠藤航のリバプールへの電撃移籍を始め、数々の世界的ビッグディールがある。その交渉術と舞台裏は、どのような過程で生まれたのか。虚々実々の駆け引きを具体的に明らかにする。サッカーやスポーツに興味をもつ人はもちろん、移籍ドラマを知りたいことだろう。それだけではなく、本書はビジネス書として、交渉力やプレゼン力の類稀なるお手本でもある。それは遠藤貴が、その生き方において、多くの学ぶべき点を備える人だからである。
 毎朝5時に起きて、毎日4〜5時間しか眠らない。ありとあらゆる情報へのチェックに怠りがない。朝の8時から、多くの人々の相談に乗る。そしてお酒を飲まない。飲めないわけではない。日本だけでなく、世界中から突然ある連絡に常に頭脳をスッキリさせておくためだ。遠藤貴は絶え間なく努力して、自らを律しているのだ。優れた実績は努力なしには得られない。その積み重ねがあるから、多くの成功事例を産む。
 単身でイギリスに渡り武者修行。先ずは語学を完璧にするのが基本。文法英語は通用しなかった。実践で通用する語学を必死で身につけた。そこからは、ありとあらゆるチャンスを逃さず、工夫して仕掛ける。チコちゃんではないけれど「ボーっと」生きていては、事態は何も打開しない。自らを振り返って「サッカー」を自分のコアとして、エージェントとして生きてゆくことを決心する。その先に選手のため、チームのために、誠心誠意で献身する。ヨーロッパを主戦場としたことで、年棒だけでなく、移籍金のコントロールによって、選手にどれだけ高いステージを提供できるかが変わってくる。そこが日本のサッカー界とプロ野球が、世界での活躍に差がついてしまった理由だ。エージェントの仕事は移籍だけではない。選手や監督たちが、マスコミ、詐欺、ハラスメントなど様々なストレスに晒されることへのケアもある。そこには仕事を超えた、家族とも言える結びつきが存在している。


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