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(新々)三つ子の魂百までも 5



「お仕事と云うよりも、協力のお願いに来たのです。
取材の協力です。勿論、お礼は出します。」


「そう言えば、林田さんの書いたあの取材記事を読みましたよ。
例の妖怪事件。男達が蒸発する記事。上手く書いてありましたね。
でも、全てを解決したのは、裕美さんでしたが。
あの時の御礼、貰っていない様な気がするな〜(^^)」
と、僕は皮肉を込めて、半分冗談混じりに笑いながら、言った。

林田は、少しばつが悪そうな顔になるが、

「その時の、御礼も含めてますので、今回の事件の協力もお願いしたいのです。どうでしょうか?」
と、姿勢を正し律儀に言う。

「所で、どんな事を記事にするのですか?」

「それは、裕美さんが帰って来たら話します。
所で、裕美さんお元気でしょうか?」

「裕美さんは、いつも元気です。元気いっぱいオロナイン⭕️ドリンクですよ。」
と、僕も元気いっぱいで明るく言った。

林田さんと楽しいお喋りが続いている最中に、
裕美さんが帰ってきた。

何故か、疲れた姿で、意気消沈している。
あまり見かけない、裕美さんの姿だが、林田さんに気がついたみたいで、少し微笑んで見せた。

「お久しぶりです。飯島さん」
と、林田さんは、裕美さんを気遣ったのか、立ち上がり
明るい声を出す。

裕美さんも生気が戻った様に、明るく言った。

「お久しぶりね。あの事件以来ですね。剛田君に聞きましたよ。
今は一緒にはいないそうですね」
と、笑顔で応えている。

「ええ、今は元のアパートに帰りました。」

「今日は剛田君に会いに来たのですか?」
と、聞く裕美さん。

「いえ、裕美さんにお願いがあって来たのですが・・・」

と、言ってポケットから、封筒を出してくる。

……ここからが、本番だな。林田さんの真の狙いが判るぞ……
と、僕は興味を持って待った。
裕美さんは、僕の横に座り封筒を受け取った。

その中に入っていた手紙を真剣に読んでいるが、
裕美さんの顔には疲れの色が残っている。

可哀想に、今日の仕事は辛かったのであろう。
裕美さんは、最近 外の仕事が多く、人の追跡もしているとの事。
(仕事の内容は、ここでは書けませので、悪しからず。)

手紙を読み終えた後、裕美さんは
「興味ある事件ですね、・・・・」
言って、席を立った。
……なんだろう?興味ある事件って……
と、僕も手紙の内容が気になる。

裕美さんは、炊事場に行き、お茶を淹れているみたいだ。

「その手紙、私もみてもいいですか?」
と、一応のお伺いを立てた。

「勿論ですよ、読んでください。」
と、林田は手紙を差し出してくる。

「なるほど、興味深いですね・・・でも、怖しい事件です。」
と、僕は慎重に応え、そして続けた
「この事件を、林田さんは取材するのですか?その協力を求めに
此処に来たのですか?」
と、林田さんの顔を覗き込んだ。



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